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そうして歩いているうちに迷宮の外に出た、外は鬱蒼とした大森林となっている。

「ここまでくればもう大丈夫ですね、すぐ近くの村からには駅もありますからそれで町に戻ろうと思います」

そう言うとレティカは頭を下げた。

「そうですか、では我々はまだまだやることがあるのでここでお別れですね……ということでいいですよね、ロイ様」

「ああ、そうだな」

俺とミスティアはレティカと別れて歩き出した。

「駅とか言ってたけど、この世界に鉄道とかあるの?」

「ありますけどこの先の村には無いですね、ここの駅っていうのは町や村を繋いでいる馬車です。この先の村には20人くらいの村人が住んでます」

「20人くらいか……少なくない?」

「少ないですね、村というより森の中の住めそうなところにちょっと丈夫なテント建てて住んでるみたいな感じでしょうか、駅は定時に出るというのではなく、町に行きたい人が出てきたらお金貰って馬車を走らせるという形のようです、あるところには大陸間を繋ぐカプセル・テレポート駅とか恒星間宇宙船とかそういうのもあるんですけどね」

「恒星間宇宙船?」

「ええ、ここで空に光ってる太陽みたいなのは太陽じゃありませんよ、我々はR2と呼んでいます、この世界の科学技術力を持ってすれば太陽系惑星である地球まで1秒で行けますよ、光の速度を超える技術まで完成しているようですからね、まあもっとも我々のターゲットとは関係ない話ですが」

そう言うとミスティアはこっちをチラッと見てきた。

「マジックアイテム・NNN72は任せましたよ、そこまでは送りますんで」

「ターゲットの居場所まではあとどれくらいだ?」

「このまま歩いて3日くらいですね」

「結構あるな」

「向こうのポジションは王様ですからね、千界からの刺客を警戒しているでしょうし、主な交通路にはこの世界の正規兵が村人に変装して立ってると思っていいです、地図に無い獣道を不眠不休で3日歩いて王都へと向かいます。トライアスロン・ロングを完走できる私ならなんともない道のりですが、ロイ様は大丈夫ですか?」

「俺も平気、3日間歩こうか」

3日後。
俺たちは王都についた、王都という割にはちょっと大きい町くらいのサイズに見える。
町には入りたい放題だが、城は城壁に囲まれている。
水をはった堀と高い壁、堀にかかった橋を渡ると大きな木製の門があり、兵士と思われる人たちが出入りチェックしている。
結構高い壁の上には人が立っていて辺りを見回している。
そろそろ日が暮れてきた。
よし、やるか。
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