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第一章 山森颯人 菅野淳太
初恋の裏切り
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昨年 中学1年生の春にて
「山森颯人です。よろしくお願いします。」
爽やかな空気。窓側を照らす光。田舎の中学校に進学した颯人は、元気に登校していた。
「颯人?だよね。よろしく~~!!」
笑顔で話しかけてくれる友達。颯人は「この学校ではうまくやっていける」と確信した。
そんな、平和なある日のこと。颯人は1人の女の子に恋をした。クラスメイトの明るいムードメーカー、滝野葵だ。
「颯人くん、いつも話面白い!!」
葵は颯人のことをたくさん褒めてくれた。葵は細かいところも気づくことができ、色々な人からモテる。颯人は初恋の人に想いを伝えたいと、心から想った。
そう、想っていた。
「颯人、お前…葵に手を出したのか?」
「…え、どういうこと?」
学校一の問題児グループに話しかけられ、いきなり胸ぐらを掴まれた。
「颯人に胸を触られたり、身体を異常に触ってきたりしたって、葵から聞いたぞ」
「は…??」
颯人は目を丸くした。勿論覚えはない。葵に会おうと、キョロキョロ周りを見た。そこには、悲しい顔を浮かべる葵の姿があった。
「ひどいよ、颯人くん…」
その周りに何人かの女子がおり、「サイテー」と口にしている。颯人は絶句して、足がガクガク震え出した。騙された、あるいは遊ばれていた。声が出なくなった。問題児たちは颯人の頬に向け、振りかぶった。拳は颯人の頬にクリティカルヒットし、体勢を崩した。
「お前そんな奴だったの?きも。」
蹴られる。蹴られ続ける。颯人は頭を抱えながら、床に蹲った。何も言えない。言葉が出ない。葵の方へ目をやると、そこにはニヤリと笑う葵がいた。颯人は涙を流しながら、問題児のクラスメイトからの一方的な蹴りに耐え続けた。
そこからいじめはエスカレートし、命の危険に及ぶことも。颯人は母に相談し、転校することになった。
*
5月2日
「……も、もう、お母さん…。学校になんて、行きたくないよ……。」
転校した今、人と話す勇気も出ず対人恐怖症となった颯人は、屋上へ続くドアの前で顔を腕に埋めて蹲っている。
ピンポンパンポン♪と、呼び出しのチャイムが鳴った。
《3年B組の山森颯人くん、相談室に戻ってきてください。担任の先生が呼んでいます。》
颯人は手を震わせた。今、相談室に戻ったら何と言われるだろう。足は動かなかった。泣きだしそうになった。そんな時に、近くから足音が聞こえる。どんどん颯人へ近づいてくる。だが、屋上前の踊り場だ。人が来るはずがない。……と、颯人は思っていた。
「見つけた~!」
颯人はびくりと全身を震わせた。階段を駆けて向かってくる人の顔を見た。
「ここで何してんの?ハヤト。」
転校初日に出会った、淳太だった。
「山森颯人です。よろしくお願いします。」
爽やかな空気。窓側を照らす光。田舎の中学校に進学した颯人は、元気に登校していた。
「颯人?だよね。よろしく~~!!」
笑顔で話しかけてくれる友達。颯人は「この学校ではうまくやっていける」と確信した。
そんな、平和なある日のこと。颯人は1人の女の子に恋をした。クラスメイトの明るいムードメーカー、滝野葵だ。
「颯人くん、いつも話面白い!!」
葵は颯人のことをたくさん褒めてくれた。葵は細かいところも気づくことができ、色々な人からモテる。颯人は初恋の人に想いを伝えたいと、心から想った。
そう、想っていた。
「颯人、お前…葵に手を出したのか?」
「…え、どういうこと?」
学校一の問題児グループに話しかけられ、いきなり胸ぐらを掴まれた。
「颯人に胸を触られたり、身体を異常に触ってきたりしたって、葵から聞いたぞ」
「は…??」
颯人は目を丸くした。勿論覚えはない。葵に会おうと、キョロキョロ周りを見た。そこには、悲しい顔を浮かべる葵の姿があった。
「ひどいよ、颯人くん…」
その周りに何人かの女子がおり、「サイテー」と口にしている。颯人は絶句して、足がガクガク震え出した。騙された、あるいは遊ばれていた。声が出なくなった。問題児たちは颯人の頬に向け、振りかぶった。拳は颯人の頬にクリティカルヒットし、体勢を崩した。
「お前そんな奴だったの?きも。」
蹴られる。蹴られ続ける。颯人は頭を抱えながら、床に蹲った。何も言えない。言葉が出ない。葵の方へ目をやると、そこにはニヤリと笑う葵がいた。颯人は涙を流しながら、問題児のクラスメイトからの一方的な蹴りに耐え続けた。
そこからいじめはエスカレートし、命の危険に及ぶことも。颯人は母に相談し、転校することになった。
*
5月2日
「……も、もう、お母さん…。学校になんて、行きたくないよ……。」
転校した今、人と話す勇気も出ず対人恐怖症となった颯人は、屋上へ続くドアの前で顔を腕に埋めて蹲っている。
ピンポンパンポン♪と、呼び出しのチャイムが鳴った。
《3年B組の山森颯人くん、相談室に戻ってきてください。担任の先生が呼んでいます。》
颯人は手を震わせた。今、相談室に戻ったら何と言われるだろう。足は動かなかった。泣きだしそうになった。そんな時に、近くから足音が聞こえる。どんどん颯人へ近づいてくる。だが、屋上前の踊り場だ。人が来るはずがない。……と、颯人は思っていた。
「見つけた~!」
颯人はびくりと全身を震わせた。階段を駆けて向かってくる人の顔を見た。
「ここで何してんの?ハヤト。」
転校初日に出会った、淳太だった。
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