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「苦しみのレイラ」作.勿忘リン

苦しみのレイラ

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この作品は、勿忘リン作の「苦しみのレイラ」を簡潔にまとめた作品です。
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 仲良しだった。私の小学生時代は、8人グループで遊んでいた。メンバーは、私…リョウコ、ミカ、ユイ、ミサキ、サクラ、コノハ、アン、そして、レイラ。レイラは8人の中で、少し浮いていた。小さい頃からずっとクマのぬいぐるみを持ち歩いており、すごく大切にしていた。私はずっと不思議に思っていた。
 レイラはクラスの男子に虐められていた。クマのぬいぐるみを奪い取ったり、紙にクマの絵を描き、レイラの目の前で破り捨てたり、しょうもない事をやっていた記憶がある。そんな時に、私たちは許さなかった。ぬいぐるみを逆に奪いとり、レイラに返したり、男子に激怒したこともあった。レイラは泣きながら感謝してくれた。そんなレイラが、私たちは大好きだった。
 小学4年生の時。アンが不登校になった。授業が追いつけなくなって、放棄してしまったらしい。レイラとアンは小さい頃から仲良しで、レイラは凄く心配した。レイラはほぼ毎日アンの家に行き、話を聞いたり、一緒に勉強していたらしい。
 ミカとユイは、他校の男の子に恋をした。ミカは他校の男の子と映画館に行ったり、ショッピングに行ったりして、私たちのグループで遊ぶ事が少なくなった。ユイは男の子に夢中で、色々な手を尽くしていた。2人が欠けたことにより、8人で遊ぶ事がかなり少なくなった。
        ((略))
 小学6年生の夏。8人で遊ぶことは一切無くなった。アンとレイラは談笑会。ミカとユイは恋愛に夢中。私、ミサキ、サクラ、コノハで一緒に遊んでいた。
 小学6年生の冬。レイラが消えた。アンの家に行った後だった。私たち7人は久しぶりに集結し、レイラを探した。警察も出動した。吹雪の日だった。耳が凍りつきそうになりながら、必死に探した。そして、午後9時、私とサクラが一緒に行動していた時。ようやく見つけた。横たわり、血を吹き出していた、レイラを。
 レイラは亡くなっていた。飛び降り自殺らしい。ふかふかの雪の上に、ベットに倒れ込んでいるかのように、亡くなっていた。笑顔だった。
 その次の日の学校の机に、手紙が置いてあった。7人分の手紙だった。全員分の手紙ーー。小学生の頃の思い出、日頃の感謝が手紙に詰まっていた。私たちは泣き出した。そして、教卓の上には、レイラが持っていたクマのぬいぐるみ。継ぎ接ぎだらけの、愛が詰まったぬいぐるみ。私たちは泣き出した。レイラを虐めていた男子達も、自然と泣いていた。
 そして、卒業式。レイラは卒業できなかった。だから、残された7人だけで、アンの家で卒業式のようなものを挙行した。レイラの為に、手書きで卒業証書のようなものを作り、写真を撮った。私たちは号泣していた。惨めに泣く私たち。もう、取り返しのつかないことなのに。レイラは優しかった。一緒にいて楽しかった。どうして。そして、クマのぬいぐるみを見た。そして、ぬいぐるみを抱きしめた。

※この物語はフィクションです
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