ミモザ 〜秘密の恋〜

zabi

文字の大きさ
12 / 17
第12話

消えない背徳感

しおりを挟む
 そして待ちに待った彼女との日帰り旅行当日。
いつもは妻が仕事の日で俺が休みの日は仕事の疲れで起きれずに寝ていたが、その日は早く目が覚めた。
とゆうよりわくわくがとまらなく夜寝るときなかなか寝付けずにいた。
小学校の運動会の前日のような気分。

その旅行に行くと二人で決めてからもほぼ毎日夢で彼女と旅行に行く夢をみていた。
夢って不思議だ。まだそこの場所に行ってないからいつも目的地にたどり着く手前で目が覚めてしまう。
まだいってないからなのか。けれどその夢の中でたどりつけていなくても幸せを感じるほど楽しい。

それに幸い俺は妻と別の部屋で寝ているから万が一寝言は言っていても大丈夫。

 この日は友達と遊びに行ってくると妻に伝えていたから早く起きてくるのもわかっていただろうが、あまりわくわくした表情をみせず、まだ時間に余裕はあるけど トイレに行きたくてたまたま目が覚めた 感じを出し、起きて準備をした。

妻はもうすでに仕事着に着替え子供のお弁当を作っていた。
 
 「朝早くからお疲れ様」
と俺は軽い口調で口にする。

 「今日は上手にお弁当できてよかったよ。喜んでくれるといいな」
眠たいながら一生懸命作っていた妻を見て、俺はワクワクの気持ちが一瞬にして凍りついた。

いつもは俺が仕事の時、妻が起きる前には家を出ていたからわからなかったが、毎日こんなに頑張っているんだとその時目の当たりにした。


この時に俺には最後のチャンスをもらっていたのかもしれない。
なんでもいい。熱が出たとか、子供の体調が悪くてとか、彼女にLINEで伝えればよかった。
まだ泥沼の中にいる俺を地上へと戻してくれて、王道の幸せルートを歩かせてくれたかもしれない。

しかし俺はそのチャンスをすぐに自分の意志でいとも簡単に断り、居心地のいい泥沼の世界からでようとしなかった。


 お弁当を作り終え子供を起こしにいった妻を背中に、俺は早々と準備をして、家をでた。

あの朝の背徳感は心の片隅に残っていて、ずっと戦っていたが、彼女と旅行に行けるのも今回で最後かもしれない。
今日しかない。とそっちばかりが前向きな気持ちでいた。
 
 
 時間より20分早く待ち合わせ場所のコンビニにつき彼女にLINEを送る。
  
 「おはよう。無事俺は着いた。後どれぐらいかかりそう?」
しばらくして既読がつく
 
 「ごめん。子供がなかなか準備が遅くて、でも旦那もギリギリまで寝てて」
 「時間より少し遅れるかもだけど必ず行くから」
母親の大変さを彼女と妻に思い知らされた。

自分は旅行の事しか考えていなかった。休みの日でまだ時間あるんだからせめて子供が起きる顔だけでも見ればよかったと。
悪いことしてるけど、子供に直接いってきます と言えばよかったと。
彼女はキチンと子供の事はちゃんとしてる。俺とこんな関係でありながらも子供に対する愛情は人一倍だ。

 タバコに火をつけあまり好きじゃないブラックのコーヒーを買い、苦いそのコーヒーを味わってどうすることもできないモヤモヤを取っ払おうとする自分がいた。


待ち合わせの予定の時間から10分が過ぎ、彼女が来た。

 「ごめん。お待たせ。なかなか準備が遅くて。旦那もすぐ起きてくれなくてさ」
息を切らし彼女は言う。

 「本当にお疲れ様。大変だったな」
と言い彼女の頭を撫でた。

 どうして妻にはしてやれなかったんだろう。彼女には自然とできた頭を撫でるという行動。もちろん彼女は喜んでくれた。
妻にだって同じことをしてれば喜んでくれたかもしれない。

当たり前にいる環境の怖さを感じてしまった。


彼女が言う。
 「抜け出すの大変だったんだね。お疲れ様」
彼女は俺に対しそんな言葉を放って精一杯腕を伸ばし俺の頭を撫でてきた。

一瞬で俺の頭の片隅に残っていたものを取っ払ってくれた。
本当に彼女の力ってすごい。


頭を撫で返してくれた彼女の行動と、いつもの甘く心地いい香りに包まれ、
俺は全てを忘れ彼女と旅立っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。 その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。 全15話を予定

処理中です...