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7.5話 サキュバスの女王

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 私を生み出した帝国は、私が滅ぼした。
 研究者たちをドレインしたことで私たちの作り方、使用法を理解する。
 女王の能力を使ってサキュバスに他国を襲わせて、対応できなかった国に対し、サキュバスに対抗できる力を持った冒険者を派遣する。
 サキュバスを撃退することで恩を売ると同時にスパイを配置する作戦だった。

 サキュバスに対応できた国は、どのような対応をしたのか確認することで、更に強いサキュバスまたは別のモンスター作成を予定していた。
 しかし私が生まれたことで帝国は滅びた。

 原因はダンジョンコアの暴走。

 ダンジョンの発見は8年前にソロの冒険者が発見して報告した。
 ダンジョンは資源の宝庫であり、国の宣伝としても効果のある代物だったが、帝国はダンジョンを隠した。

 ダンジョンの宣伝をする前に行った調査で、騎士2名の犠牲はあったがコアを発見する。
 隊長の騎士がコアに触れると魔物の製造が可能であると判明、好奇心からドラゴンを創造してしまう。

 突然現れたドラゴンは創造主の命令があるまで動くことはなかった。
 魔物を生み出せることがわかり、命令することができる。
 反撃してこないドラゴンを倒して素材にすることもできた。

 コアに触れれば誰にでも魔物の製造ができることも確認され、ダンジョンの存在は隠蔽された。

 コアに魔力を送り込めばダンジョンの拡張が可能であることも発見され、魔力のみならず魔物以外の死体をダンジョン内で作ることで、魔力よりも効率よくダンジョンの拡張ができることもわかった。

 様々な効果を持った部屋の設置ができることも発見され、ダンジョン内に牧場を作ることでダンジョンは急成長した。
 そして私が生まれる。

 コアがダンジョンを維持するために溜めていたエネルギーが、急激に消費されたことでダンジョンの維持が難しく、暴走を始めた。
 人間風に言えば高額な買い物をしたことで、破産した。

 私はコアからの命令によりダンジョンを維持するため、人間達をドレインしていった。
 ダンジョン内にいる人間だけでは足りず、ダンジョンを飛び出していくサキュバスたち。
 ある程度エネルギーを集めたことで理性を取り戻した私は、帝国を乗っ取ることにした。

 コアの操作方法も理解している私は、ダンジョンをできるだけ小さく、使う機能はサキュバスとスライムの量産。
 スライムは外で活動するサキュバスからエネルギーを受け取り運搬させるため。

 なぜスライムに運搬させるかといえば、液体を吸収することが得意な魔物であるから。
 サキュバスが搾り取った液体をエネルギーに変えることで、徐々にサキュバスを増やして帝国をサキュバスの国にする。

 私はサキュバスの女王。今は、あの方が望むスライム。
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