邪竜と聖竜に懐かれた黒騎士~設定してたイメージとは似て非なる異世界を管理中?~

フィーたら

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序章

妙にリアルなんですけど…

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「ちょっと!
これって…
一体どうなってんのよ!」

魔法使いの女が神官の男に対し、大きな声で明らかに慌てた感じで問いかける。
それに対し、青ざめたような顔の男が静かに返答する。

「私に聞かれましても…
ただ、あの者から発せられている魔力、尋常ではありませんね…」


もしかして、こいつらってオレの姿が見えてるのか?
確かにさっきから目が合ってる気はしてたけど…
やっぱ気のせいじゃないってことか?
てことは、後ろにいるドラゴンもオレのことが見えてる?

オレは再び振り返る。
ブラックドラゴンは微動だにせずこちらを見つめている。
どうやら様子を窺っているようだ。

う~ん…
状況から察するに、ホワイトドラゴンの代わりにオレが召喚されてしまった、という設定の夢なんだろうな。
にしても…
妙にリアルな夢だ。
なんとなくアニメのようでもありCGのような感じで見ていた人間やドラゴンが、まるで実際にそこにいるかのような本物に見えてしまってる。

というより、オレ自身もだ。
さっきのドラゴンの咆哮を耳にした時もそうだが、自分の手や指を動かした時の感覚も起きている時そのものだ。
まさか、これって…
いやいやいや!
あり得ないだろ!


「おい!
そこのあんた!
一体何者なんだ!?」

背後から聞こえてきたのは神官とは別の男の声。
つい先程まで見ていた夢から判断するに、その声の主は戦士の男だろう。
どうやら、この場にオレという存在が実在しているのは完全に確定したようだ。
つまり、ここで自分が何かしらのアクションを起こさないと話は先に進まない…ということか。

てか、何者?って聞かれてもなぁ。
オレも突然過ぎてどう答えたらいいのか?がわからん。

にしても、さすがは夢の中って感じのご都合主義だな。
ついさっきまでドラゴンと勇者達って必死に戦ってたのに、突然登場したオレのことを待ってくれてるんだものな。

さて…
自分の顔はわからんけど、両手両足、胴体とか見える部分は普通にオレ…というか人間。
てことは、今のオレは本来召喚されるはずだったホワイトドラゴンに憑依してるってわけじゃないみたいだな。
なら、同じ人間である勇者側につくべきだろう。


「正直、自分でもどうなってるのかわからないんですが、少なくともあなたたちの敵じゃないですよ」

オレは再び振り返り、戦士の男の問いに対しそう答えた。

と、次の瞬間。
冒険者パーティーは臨戦態勢に入る。
その対象は表情から察するに明らかにオレに向けてのものであった。


え?
どういうこと?
なんで?


「ほう、これは興味深い。
貴様は魔族であったか」

まさかの展開に少し焦っているオレの耳に入ってきたのは女性の声。
それは自分の背後から聞こえてきた。
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