邪竜と聖竜に懐かれた黒騎士~設定してたイメージとは似て非なる異世界を管理中?~

フィーたら

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第1章 竜人の国

オレって何者なの?

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時間にして10秒程だろうか。
リーゼロッテの体全体を包んでいた謎の淡い光は消えていった。


おぉ~すげぇ~…
これが魔法ってやつか!
やっぱエフェクトみたいなものって出るのかぁ。
確かに有るのと無いのじゃ全然雰囲気変わってくるもんなぁ。
…って…ん?

初めて魔法を使ったオレは感動の余韻に浸っていた。
が、光が消えたというのに2人からは何の反応もない。

まさかのノーリアクション!
いや!
これは逆に!のパターンか!?
なんかめっちゃ驚いたような表情のまま固まってるし…
もしかして竜人には効き目がないとか?
てか、下手したら逆効果だったとかする!?


「…えっと…
今のって何の効果も無かった…みたいな?」

「!
いや、すまぬ。
我としたことが驚きのあまり少々呆けておったわ…」

「…して、リーゼロッテよ。
体に何か変化はあったか?」

「あ!
…えっと…はい!
…つい先程まで感じていた激痛がまるで嘘のように無くなりました…」

「それはなによりじゃ」

「ブラッドよ、感謝する」

イングリッドがオレに頭を下げる姿を見たリーゼロッテも慌てて立ち上がり深く頭を下げた。

「ありがとうございます!

…あの…イングリッド様…
こちらのお方は…その…魔族…なのでしょうか?」

「魔族の言葉を話しておるのだからそう思うのも無理はない。
我も最初はそう思っておったしのぅ。
じゃが、どうも違うようじゃ。
本人も自分が魔族なのかどうか?わかっておらぬようじゃしな。
…不服か?」

「いえ、滅相もございません。
ただ、私は魔族の言葉が話せませんので、もし良ければ私の感謝の気持ちを伝えて頂ければ…と。
それにイングリッド様がお連れになったお方に対して不満などございません。
…しかし…
先程の魔法…一体何者なのか?というのは正直気になるところではあります」

「やっぱり…さっきの魔法って何か変だったんですか?
2人とも驚いた顔してましたし…」

「え…あの…その…
イングリッド様…」

「そういえば言ってなかったのぅ。
ブラッドは魔族の言葉しか話せぬが、聞く分には人間の言葉は理解できておる。
なので、先のそなたの発言はちゃんと伝わっておるぞ。
今、問われているのはあの魔法についてじゃ。
何かおかしな所があったのか?とそなたに尋ねておる」

「いや!
おかしいも何も!
…失礼しました。
先程の魔法、誰がどう見ても常識とはかけ離れていると理解できると思うのですが」

「我も同意じゃ。
長く生きておるが、その効果もさることながら七色に光る異形の二層魔法陣など見たことないからのぅ。
しかも無詠唱とは…」

「そっか…やっぱり特殊な魔法だったのか…
でも、一応は聖属性魔法ってことになってるみたいだけど?」

「聖属性魔法…じゃと?
この世界では、そのような属性は存在せぬ。
…というのが常識なのじゃが、実際にこの目で見てしまったからのぅ。
そなたらにしか使えぬ類の魔法なのか、或いはまだこの世界では解明されていない属性なのか、というところか…」


イングリッドが無言で思案していると、リーゼロッテがその沈黙を破って口を開く。
魔族の言葉が理解できない彼女にとっては、どういった会話の流れで無言になってしまったのかが気になったのであろう。

「あの…イングリッド様。
こちらのお方が王配になられるのでしょうか?」

「…そういえばそうじゃったのぅ。
あの男も勘違いしておったが、ブラッドは我の婿候補ではない。
そもそも我が使徒様の妻になど…恐れ多いわ」

「使徒様?
………
……

イングリッド様!
使徒様ってどういうことですか!?」


あ…ヤベ…
イングリッドちゃんにオレのことを使徒様って呼ぶのをやめてくれって言ったけど、内緒にしといてとは言ってなかったわ…
オレが神の使徒だなんて広く知れ渡ったら、他の異世界人にもすぐバレるような気が…
てなると…
偽名使った意味ねぇ~!


「どういうことも何も、神の使徒だから使徒様じゃ。
そなたもブラッドの力を今見たところであろう?」

「確かに奇蹟のようなお力を目の当たりにしたところですから、こちらのお方が神の御使い様だと言われれば受け入れられます。
ですが!
そのようなお方に対してイングリッド様はなぜ普通に接しておられるのですか!?」

「それがブラッドの望みじゃからのぅ。
我とて昼に出会った時は、最大の敬意を表しておったのじゃぞ」

「…今、昼に出会った…と仰られましたか?」

「そうじゃ。
魔の渓谷でヒューマンどもと遊んでおったら突如七色に輝く光の柱が天から降り注いできてのぅ。
そこに現れたのがブラッドじゃ。
どこか落ち着いて話ができる場所に行きたいとのことだったので我はここに戻ってきたというわけじゃ。
当然歓迎も兼ねてのぅ」

「…そういう事情だったのですね…
ですが、まさかあの伝承通りの現象が本当に起きるなんて…
ということは…つまり…」

「うむ。
ブラッドはこの世界の者ではない。
そして…」

「…かしこまりました」

そう返答すると彼女は跪く。

「私の名はリーゼロッテ。
竜人国ドラゴネシア現女王イングリッド様に仕える者として、今ここにブラッド様への忠誠を誓います」


いやいや!
そんないきなり忠誠を誓うって!
オレ、ただの一般人ですよ!
って言っても、この世界の住人じゃない時点で信じてもらえないんだろうなぁ。
てか…
そもそもこんなにもあっさりとオレのことを神の使いだなんて信じ込んでる2人が知ってる伝承ってどんな内容なんだ?
なんとな~くだけど嫌な予感がする…
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