21 / 27
赤⑪
蒸し暑い梅雨の季節にそろそろ差し掛かろうという頃、黒が四か月ぶりに会社に復帰した。
俺はその日、朝からずっとそわそわしていた。
いつもより早めに出社し、隣の机をちらちら見る。
あいつはまだ来ていない。
そろそろ来るかな・・・
なぜか俺が緊張してきた。心臓がドキドキする。
「・・・おはよう」
少し緊張気味で黒がオフィスに入ってきた。
その瞬間周りが色めき立つ。
「お、黒じゃん」
「おー久しぶりー体調どう?」
「痩せたか?どうしたんだよ、お前」
口々に話しかけられ少し照れ気味に答えている。
「・・・・・・」
俺は自分のデスクに座ったまま、その様子を眺める
黒はしばらく何人かと話した後、自分のデスクに近づいてきた。
席は変わらず俺の隣だ
その時俺と目が合って、また照れたように少し微笑んだ。
ドキッとする。
こいつ・・・・・・・・・・・こんな、かっこよかったけ?
少し痩せたけど端正な顔に、散髪して少し短くなった髪が良く似合ってた。
細身だけど少し筋肉も付いていて、スタイルがかなり良く見える。久しぶりに見るスーツ姿がやけに眩しい。
近くで見るとあまりのカッコよさに見惚れてしまった。
「・・・・・」
あまりにじろじろ見てくる俺に、黒が何か言おうとしたその時
「黒君、久しぶり」
白の声がした。
かつての想い人の声に、俺もついそちらを向く。
少し頬を赤らめ、嬉しそうに黒に近づく。
彼女は相変わらずキレイだ。その美しさに何度俺は心を痛めただろう。
以前とは違う痛みだけど、今でも彼女を見ると少し胸が痛い。
端から見てると、お似合いの美男美女のカップルに見える。
俺は複雑な気持ちで、二人の様子をちらちら見る。
黒がしばらく彼女と話してたら、少し離れた場所から緑の声が聞こえた。
「おう、黒」
「あ、緑さん!」
白にごめんのジェスチャーをした後、黒が嬉しそうに緑のもとへ向かう。
・・・あれ?
なんか、気のせいだろうか。緑に向ける黒の笑顔、他の皆に向ける笑顔と少し違わないか?
かなり心許してるような、なんつーか・・・違和感を覚え、胸がもやっとする。
「黒君、元気になってよかったね」
白に話しかけられハッとした。
「あ、うん。そうだね」
俺は上の空で答え、二人の様子から目が離せなかった。
その日の仕事帰り、いつも通り黒の部屋に行く。
黒と向かい合って夕飯を食べる。
その日は長い時間、黒は緑のデスクで何やら話し込んでいた様子を思い出す。
時折冗談を言ってた様子で、二人で笑いあっていた。
もちろん、仕事の話もしていたのだろうが・・・・
こいつら、こんなに仲良かったっけ?
チラチラと黒の様子を窺う。
「どした?」
「いや、えーっと・・・」
緑のことを聞きたかったが、さすがにストレートには聞きにくかった。
「えーっと、今日会社どうだった?」
「ああ、楽しかったよ」
黒は嬉しそうに話す。
「みんな変わってなかったなー。まぁ、ゆうて四ヶ月しか経ってないもんな」
そりゃそうかと笑顔になる。
いつもならその笑顔がすごく嬉しいはずなのに・・・緑に向ける笑顔を思い出す。
黒はよほど嬉しかったのか、いつもよりテンションが高い。
「なんか、でもすごく久しぶりに感じたな、懐かしかったな」
「そうだよな」と同意した。こいつにとっては、すごく長い道のりだったに違いない。
「・・・・・その、療養中は緑さんとは一度も会ってなかったのか?」
さりげなく聞くつもりが、少し探るような口調になってしまい、少し慌ててしまう。
しかし黒は気にする素ぶりはなく、
「いや、電話で何度か話したよ。体調とか、カウンセリングの話したり」
「そっか。。。」
初耳だった。まぁ、でもそりゃそうか。上司に近状の報告くらいはするわな。結構電話してたんかな・・・?
「どのくらい連絡してたんだ?」
「いや、そんなに。1ヶ月に1回か2回ぐらいだよ」
「ふーん」
そんなもんか、思ったより多くない。
「緑さん以外は会社の奴と連絡してなかったのか?○○さんとか」
緑のもう一つ上の上司の名前を挙げる。
「・・・いや、緑さんだけだったな、実はカウンセリングの先生、紹介してくれたのが緑さんでさ」
え、そうだったのか。聞いてないぞとばかりに驚く。
「流れでそのままずっと、緑さんに近状報告することになったな。」
「・・・医者は緑さんの紹介だったのか?」
「あぁ、昔からの付き合いらしくて。すごくいい先生だよ」
黒は本当に感謝しているようだった。
そうだったのか、それであんな・・・
この時、俺は一瞬変な違和感を感じた。
俺は言わずもがな、長期療養に追い込んだ張本人なのに、こうしてカウンセリングの事を聞いたりしている、黒も何の違和感もなく普通に俺の質問に答える。
この関係は通常ならありえないよな・・・異常な光景のはずだ。なのに俺たちは普通に会話している・・・
とりあえずこの違和感は無視した。今は緑との関係が気になる。
「そうだったのか、それでか」
「ん?」
「いや、なんか、緑さんに会って、すげー嬉しそうに見えたから・・・」
「・・あぁ、緑さんにはすげー世話になったから・・・あの人がいなかったら、会社辞めてただろうな・・・」
「・・・!」
衝撃の言葉だった。この言葉で緑に完全に負けたと思った。
黒が復帰できたのは、自分の助けも多少あったと思ってた、思い込んでいた。
元凶つくったやつが、何をうぬぼれてたのか、圧倒的な差を見せつけられてしまい、ショックでもう何も言えなかった。
それからというもの、会社で黒が緑と一緒にいる姿をみると、俺はもう気が気じゃなくなった。
二人が笑いあってる姿をみると胸が痛い・・・
俺には見せたことない笑顔だ。嫉妬で気が狂いそうになる。
ってか前から思ってたけど、緑の奴、黒に親切すぎないか?
俺とは明らかに態度が違う。なんでだよ
・・・・・まさか、あいつ、黒のこと好きなんじゃ・・・
良からぬ感情がふつふつと沸き出てくる。
まさかこんなに緑に嫉妬する日が来るなんて、思いもしなかった。
数日たつと本格的に黒も業務に関わることになり、早速××社とのプロジェクトに関わることになった。当然のようにその業務は緑も関わっているので、ますます緑と一緒にいる姿をよく見るようになった。
部屋で俺と一緒にご飯を食べているときも、仕事の話をすることが多くなった
「今日、××社の上の人と面談があって、緑さんと一緒に行ったんだけど・・・すげー気難しそうな人でさ、でも緑さんが・・・」
黒は緑の話をよくするようになった。その言葉の端々に信頼と尊敬がにじみ出ている。
ある日俺はついに耐えきれなくなった。
いつも通り会社の話、緑の話をしだしたものだから、黒に近づきキスをした。
まさかの不意打ちに黒は驚いて、身体を硬直させた。
俺はもう黙れと言わんばかりに、何度も唇にキスをする。
「・・、ん、ふぁ、ん、ふ、ン、んん・・・」
いつもよりちょっと強引なキスだったが、満更でもない様子に俺は喜んで、ますます深い口づけをする。
「あ、う・・・ん、ン、ん、ふ、ぁ、あ・・・」
黒も気持ちよさそうに応えてくれた。
ベッドにつれていき、上から覆いかぶさって、何度も何度もキスをした。
「ん!ん、ふぁ、あ、ン」
いつもより激しいキスに最初は戸惑ってたものの、だんだん気持ちよさそうに応えてくれる。
こんな顔するのは俺だけだ、今は俺だけを考えてくれてる。
興奮してさらにキスが激しくなった。
金曜日だったので、そのまま泊まって土曜日の朝を迎える。
起きると隣には、黒がすやすや気持ちよさそうに寝ている。
二人とも裸のままだ。
俺は黒の頭を撫で、そのままキスをした。
黒は気づかずそのまま眠っている。昨夜のキスやセックスを思い出す。
この身体、表情、声も緑は知らないだろう。どうだ、見たか。と勝手に優越感に浸る。
昨日の嫉妬が嘘のように無くなっている。朝がすがすがしい。
俺は鼻歌交じりの上機嫌で、朝食を作り始めた。
しかし、その余裕も会社では嘘のようになくなる。
相変わらず黒と緑が一緒にいるからだ
途端に気が気じゃなくなり、また嫉妬で気が狂いそうになる。
部屋にいるときも、会社と緑の話をたびたびするものだから、どうしても我慢できなくなる。
そのたびに俺は強引にキスをして、何とかこっちに気をそらそうとする。
そんなことが何度か続いた。
金曜の夜、またセックスをして前回と同じように、その日は泊まってそのまま朝を迎えた。
また上機嫌になった俺に
「なんか、最近のお前さ・・・」と黒は何か言いたげな様子を見せた。
「ん?」
「いや、・・・何でもない」
黒は最近の俺の様子の変化に、気づいているようだったが、深くは追究してこなかった。
いつもと同じように、俺が朝ごはんを作り、黒にブラックコーヒーを入れる。
黙々とそれを二人で食べる。
朝日が窓から差し込んで、黒を照らしている。
・・・綺麗だな、と思った。何度かみた光景、ずっと続けばいいな。
この時俺は、前から思っていたことを口にしてしまった。
普段は思ってても言わなかったのに、緑への対抗心でつい言ってしまったのか、
大失態を犯してしまう。
「・・・あのさ、・・・・・・・・・一緒に暮らさね?」
とたんにあいつの顔が凍り付いた。
「無理、だよ」
迷わず答える。はっきりと拒絶される。
顔が強張り、声が震えている。
「・・・!あ、えっと」
俺は慌てて「いや、今すぐって意味じゃなくて」と言いかけたのだが、
「無理」
ありえない、とはっきりと言う。そのまま食べかけの朝ごはんを片づけ始める。
「く、黒、あの」
「悪いけど」目を合わせずに言う。
「今日はもう帰ってくれ」
はっきりと拒絶された。
「・・・・・・・・・」
俺は自分の部屋に帰り、天井をぼーっと見上げる。
あんなに、あんなにはっきりと、拒絶されると思ってなかった。
あぁ・・・・・あーーーーーーーーー!!!
心の中で叫ぶ
やっちまった、やっちまった、やっちまった・・・!!
どうして、大丈夫だと思ってしまったのか、自分の浅はかさにうんざりした。
ああ、殺してやりたい、あの時の自分、どうしてあんな事をしてしまったのか・・・
どうして、どうして・・・・!!
あれがなければ、あんなことしなければ、今頃・・・・・・・・・今頃?
「・・・・・・・・・・」
あの出来事がなければ、俺たちはどうなってたんだろう。
俺はずーっとあいつに嫉妬したままで、その気持ちを必死に隠して、会社の同僚として過ごしてたのか、
どこかのタイミングであいつと和解して、仲良くなって、仲のいい同僚、もしくは親友のような関係になれたのか、
どこかのタイミングであいつを好きになって、告白して、晴れて恋人同士の関係になれてたのか。
・・・そんなことありえるか?そんなこと、そんなわけ、絶対にない。絶対ありえない。
俺達の関係、俺達の今の関係は、あの出来事がなければ・・・
その先は考えたくなかった。考えちゃいけないことだった。
俺はその日、朝からずっとそわそわしていた。
いつもより早めに出社し、隣の机をちらちら見る。
あいつはまだ来ていない。
そろそろ来るかな・・・
なぜか俺が緊張してきた。心臓がドキドキする。
「・・・おはよう」
少し緊張気味で黒がオフィスに入ってきた。
その瞬間周りが色めき立つ。
「お、黒じゃん」
「おー久しぶりー体調どう?」
「痩せたか?どうしたんだよ、お前」
口々に話しかけられ少し照れ気味に答えている。
「・・・・・・」
俺は自分のデスクに座ったまま、その様子を眺める
黒はしばらく何人かと話した後、自分のデスクに近づいてきた。
席は変わらず俺の隣だ
その時俺と目が合って、また照れたように少し微笑んだ。
ドキッとする。
こいつ・・・・・・・・・・・こんな、かっこよかったけ?
少し痩せたけど端正な顔に、散髪して少し短くなった髪が良く似合ってた。
細身だけど少し筋肉も付いていて、スタイルがかなり良く見える。久しぶりに見るスーツ姿がやけに眩しい。
近くで見るとあまりのカッコよさに見惚れてしまった。
「・・・・・」
あまりにじろじろ見てくる俺に、黒が何か言おうとしたその時
「黒君、久しぶり」
白の声がした。
かつての想い人の声に、俺もついそちらを向く。
少し頬を赤らめ、嬉しそうに黒に近づく。
彼女は相変わらずキレイだ。その美しさに何度俺は心を痛めただろう。
以前とは違う痛みだけど、今でも彼女を見ると少し胸が痛い。
端から見てると、お似合いの美男美女のカップルに見える。
俺は複雑な気持ちで、二人の様子をちらちら見る。
黒がしばらく彼女と話してたら、少し離れた場所から緑の声が聞こえた。
「おう、黒」
「あ、緑さん!」
白にごめんのジェスチャーをした後、黒が嬉しそうに緑のもとへ向かう。
・・・あれ?
なんか、気のせいだろうか。緑に向ける黒の笑顔、他の皆に向ける笑顔と少し違わないか?
かなり心許してるような、なんつーか・・・違和感を覚え、胸がもやっとする。
「黒君、元気になってよかったね」
白に話しかけられハッとした。
「あ、うん。そうだね」
俺は上の空で答え、二人の様子から目が離せなかった。
その日の仕事帰り、いつも通り黒の部屋に行く。
黒と向かい合って夕飯を食べる。
その日は長い時間、黒は緑のデスクで何やら話し込んでいた様子を思い出す。
時折冗談を言ってた様子で、二人で笑いあっていた。
もちろん、仕事の話もしていたのだろうが・・・・
こいつら、こんなに仲良かったっけ?
チラチラと黒の様子を窺う。
「どした?」
「いや、えーっと・・・」
緑のことを聞きたかったが、さすがにストレートには聞きにくかった。
「えーっと、今日会社どうだった?」
「ああ、楽しかったよ」
黒は嬉しそうに話す。
「みんな変わってなかったなー。まぁ、ゆうて四ヶ月しか経ってないもんな」
そりゃそうかと笑顔になる。
いつもならその笑顔がすごく嬉しいはずなのに・・・緑に向ける笑顔を思い出す。
黒はよほど嬉しかったのか、いつもよりテンションが高い。
「なんか、でもすごく久しぶりに感じたな、懐かしかったな」
「そうだよな」と同意した。こいつにとっては、すごく長い道のりだったに違いない。
「・・・・・その、療養中は緑さんとは一度も会ってなかったのか?」
さりげなく聞くつもりが、少し探るような口調になってしまい、少し慌ててしまう。
しかし黒は気にする素ぶりはなく、
「いや、電話で何度か話したよ。体調とか、カウンセリングの話したり」
「そっか。。。」
初耳だった。まぁ、でもそりゃそうか。上司に近状の報告くらいはするわな。結構電話してたんかな・・・?
「どのくらい連絡してたんだ?」
「いや、そんなに。1ヶ月に1回か2回ぐらいだよ」
「ふーん」
そんなもんか、思ったより多くない。
「緑さん以外は会社の奴と連絡してなかったのか?○○さんとか」
緑のもう一つ上の上司の名前を挙げる。
「・・・いや、緑さんだけだったな、実はカウンセリングの先生、紹介してくれたのが緑さんでさ」
え、そうだったのか。聞いてないぞとばかりに驚く。
「流れでそのままずっと、緑さんに近状報告することになったな。」
「・・・医者は緑さんの紹介だったのか?」
「あぁ、昔からの付き合いらしくて。すごくいい先生だよ」
黒は本当に感謝しているようだった。
そうだったのか、それであんな・・・
この時、俺は一瞬変な違和感を感じた。
俺は言わずもがな、長期療養に追い込んだ張本人なのに、こうしてカウンセリングの事を聞いたりしている、黒も何の違和感もなく普通に俺の質問に答える。
この関係は通常ならありえないよな・・・異常な光景のはずだ。なのに俺たちは普通に会話している・・・
とりあえずこの違和感は無視した。今は緑との関係が気になる。
「そうだったのか、それでか」
「ん?」
「いや、なんか、緑さんに会って、すげー嬉しそうに見えたから・・・」
「・・あぁ、緑さんにはすげー世話になったから・・・あの人がいなかったら、会社辞めてただろうな・・・」
「・・・!」
衝撃の言葉だった。この言葉で緑に完全に負けたと思った。
黒が復帰できたのは、自分の助けも多少あったと思ってた、思い込んでいた。
元凶つくったやつが、何をうぬぼれてたのか、圧倒的な差を見せつけられてしまい、ショックでもう何も言えなかった。
それからというもの、会社で黒が緑と一緒にいる姿をみると、俺はもう気が気じゃなくなった。
二人が笑いあってる姿をみると胸が痛い・・・
俺には見せたことない笑顔だ。嫉妬で気が狂いそうになる。
ってか前から思ってたけど、緑の奴、黒に親切すぎないか?
俺とは明らかに態度が違う。なんでだよ
・・・・・まさか、あいつ、黒のこと好きなんじゃ・・・
良からぬ感情がふつふつと沸き出てくる。
まさかこんなに緑に嫉妬する日が来るなんて、思いもしなかった。
数日たつと本格的に黒も業務に関わることになり、早速××社とのプロジェクトに関わることになった。当然のようにその業務は緑も関わっているので、ますます緑と一緒にいる姿をよく見るようになった。
部屋で俺と一緒にご飯を食べているときも、仕事の話をすることが多くなった
「今日、××社の上の人と面談があって、緑さんと一緒に行ったんだけど・・・すげー気難しそうな人でさ、でも緑さんが・・・」
黒は緑の話をよくするようになった。その言葉の端々に信頼と尊敬がにじみ出ている。
ある日俺はついに耐えきれなくなった。
いつも通り会社の話、緑の話をしだしたものだから、黒に近づきキスをした。
まさかの不意打ちに黒は驚いて、身体を硬直させた。
俺はもう黙れと言わんばかりに、何度も唇にキスをする。
「・・、ん、ふぁ、ん、ふ、ン、んん・・・」
いつもよりちょっと強引なキスだったが、満更でもない様子に俺は喜んで、ますます深い口づけをする。
「あ、う・・・ん、ン、ん、ふ、ぁ、あ・・・」
黒も気持ちよさそうに応えてくれた。
ベッドにつれていき、上から覆いかぶさって、何度も何度もキスをした。
「ん!ん、ふぁ、あ、ン」
いつもより激しいキスに最初は戸惑ってたものの、だんだん気持ちよさそうに応えてくれる。
こんな顔するのは俺だけだ、今は俺だけを考えてくれてる。
興奮してさらにキスが激しくなった。
金曜日だったので、そのまま泊まって土曜日の朝を迎える。
起きると隣には、黒がすやすや気持ちよさそうに寝ている。
二人とも裸のままだ。
俺は黒の頭を撫で、そのままキスをした。
黒は気づかずそのまま眠っている。昨夜のキスやセックスを思い出す。
この身体、表情、声も緑は知らないだろう。どうだ、見たか。と勝手に優越感に浸る。
昨日の嫉妬が嘘のように無くなっている。朝がすがすがしい。
俺は鼻歌交じりの上機嫌で、朝食を作り始めた。
しかし、その余裕も会社では嘘のようになくなる。
相変わらず黒と緑が一緒にいるからだ
途端に気が気じゃなくなり、また嫉妬で気が狂いそうになる。
部屋にいるときも、会社と緑の話をたびたびするものだから、どうしても我慢できなくなる。
そのたびに俺は強引にキスをして、何とかこっちに気をそらそうとする。
そんなことが何度か続いた。
金曜の夜、またセックスをして前回と同じように、その日は泊まってそのまま朝を迎えた。
また上機嫌になった俺に
「なんか、最近のお前さ・・・」と黒は何か言いたげな様子を見せた。
「ん?」
「いや、・・・何でもない」
黒は最近の俺の様子の変化に、気づいているようだったが、深くは追究してこなかった。
いつもと同じように、俺が朝ごはんを作り、黒にブラックコーヒーを入れる。
黙々とそれを二人で食べる。
朝日が窓から差し込んで、黒を照らしている。
・・・綺麗だな、と思った。何度かみた光景、ずっと続けばいいな。
この時俺は、前から思っていたことを口にしてしまった。
普段は思ってても言わなかったのに、緑への対抗心でつい言ってしまったのか、
大失態を犯してしまう。
「・・・あのさ、・・・・・・・・・一緒に暮らさね?」
とたんにあいつの顔が凍り付いた。
「無理、だよ」
迷わず答える。はっきりと拒絶される。
顔が強張り、声が震えている。
「・・・!あ、えっと」
俺は慌てて「いや、今すぐって意味じゃなくて」と言いかけたのだが、
「無理」
ありえない、とはっきりと言う。そのまま食べかけの朝ごはんを片づけ始める。
「く、黒、あの」
「悪いけど」目を合わせずに言う。
「今日はもう帰ってくれ」
はっきりと拒絶された。
「・・・・・・・・・」
俺は自分の部屋に帰り、天井をぼーっと見上げる。
あんなに、あんなにはっきりと、拒絶されると思ってなかった。
あぁ・・・・・あーーーーーーーーー!!!
心の中で叫ぶ
やっちまった、やっちまった、やっちまった・・・!!
どうして、大丈夫だと思ってしまったのか、自分の浅はかさにうんざりした。
ああ、殺してやりたい、あの時の自分、どうしてあんな事をしてしまったのか・・・
どうして、どうして・・・・!!
あれがなければ、あんなことしなければ、今頃・・・・・・・・・今頃?
「・・・・・・・・・・」
あの出来事がなければ、俺たちはどうなってたんだろう。
俺はずーっとあいつに嫉妬したままで、その気持ちを必死に隠して、会社の同僚として過ごしてたのか、
どこかのタイミングであいつと和解して、仲良くなって、仲のいい同僚、もしくは親友のような関係になれたのか、
どこかのタイミングであいつを好きになって、告白して、晴れて恋人同士の関係になれてたのか。
・・・そんなことありえるか?そんなこと、そんなわけ、絶対にない。絶対ありえない。
俺達の関係、俺達の今の関係は、あの出来事がなければ・・・
その先は考えたくなかった。考えちゃいけないことだった。
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。