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昔のハナシ

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「お母さん?お父さん?」

今日は珍しく起きていない両親を起こしに行った私は信じられないものを目にした。血だまりの中に二人が倒れていたのだ。

「・・・・・え?」

私が最初に発した言葉はそれだった。
(なんでお父さんとお母さんが倒れてるの?)

「ねぇ、起きて。二人とも。朝だよ?なんで起きないの?」

私は目の前の光景が信じられずに、二人を揺らして起こそうとした。でもどれだけ頑張っても二人が目を覚ますことはなかった。

「う・・・そだ。な・・・で?・・・カイくんは?・・・どこ?」

私は弟を探した。弟は・・・リビングで倒れていた。弟までもが死んでいた。

「・・・え?・・・いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

私は耐え切れず叫んでしまった。
(どうして?なんで?私から家族を奪わないでよぉ。)

私は冷たくなった弟を抱きしめて泣き続けた。声が掠れて出なくなるまで泣いた。そんな時
プルルルル

「な・・・に?で・・・・わ?」

電話がかかってきた。私はそれに出た。

「も・・・しもし?・・・だ・・・れ?」

それは私も知っている人からの電話だった。

『俺だよ。響介だよ。篠ちゃん。』

私はその優しい声に安心し、また泣き出してしまった。
私が急に泣き出したので響ちゃんは慌てていた。

『えっ?えっ?どうしたの?篠ちゃん。なんで泣いてるの?』

私は響ちゃんに、起きたら自分以外の家族が死んでいたことを話した。響ちゃんはすぐに駆けつけてくれた。私は響ちゃんに抱き着きながら泣いた。

「響ちゃん・・・なんで・・・なんでみんな死んじゃったの?・・・誰が殺したの?・・・なんで私から大事なものが奪われたの?・・・ねえなんで?・・・なんでなの!・・・誰か教えてよぉ・・・。」

そう言いながら・・・。響ちゃんは警察や救急車の用意を素早くしてくれた。私はただ泣いていることしかできなかった。

響ちゃんは行き場のない私を引き取って育ててくれると言ってくれた。

「あーあ。綺麗な髪が赤くなっちゃったね。帰ったら洗おうか。」

私の髪は色素が薄く、灰色の髪だ。響ちゃんは私の髪を綺麗だと言ってくれる。

「ほら。泣かないの。かわいい顔が台無しだよ。」

そう言って響ちゃんは涙を拭ってくれる。私のことを可愛いなんて言うのは響ちゃんぐらいしかいない。

「ほら。もう帰ろう?」

そう手を差し伸べる響ちゃんの手を私は取るかどうか迷った。
(こんな私なんかが・・・みんなを殺した私なんかがこの手を取って良いのかな?)

「あー。いまみんなを自分が殺したんだとか思ってたでしょ?そんなことないよ。みんなは篠ちゃんが大好きで守ってくれたんだよ。決して篠ちゃんが殺したとか思ってないと思うよ?・・・それでも自分が殺したんだと思ってしまうなら、皆の分を生きなきゃ。それが償いとなる日が絶対に来るはずだから。生きていてよかったと・・・助けてもらってよかった思える日が絶対に来るから。」

(響ちゃんはエスパーかな?)
私は響ちゃんの言葉を信じて手を取ることにした。いつか・・・償いとなることを信じて・・・。



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んー。頑張った僕!

今度は響介側の話を書こうと思ってます。どうして響介はあんなタイミングで電話をしてきたのでしょうか?

早めに更新できるように頑張りますので、どうか次も読んでください。お願いします!

(ついでにお気に入り登録してくれると嬉しいなぁ・・・)

面白くなかったらごめんなさい。
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