聖女召喚でなぜか呼び出された、もう30のお兄さん(自称)ですが、異世界で聖人することにしました。

藜-LAI-

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17.魔物の侵攻①

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 頭の中で鐘を打ち鳴らすような痛みが走り、依斗はゆっくりと瞼を開く。
「起きたか」
 聞き慣れた声に顔を向けると、ベッドに腰掛けて依斗の顔を覗き込む服を着たジレーザと目が合った。
「ん、今何時だ」
「二時を回ったところだ。倒れてから半日ほど経ったな」
 ゆっくりを体を起こした依斗を支えると、ジレーザは深刻な表情で言いにくそうに口を開く。
「起きたばかりで魔力も完全には回復してないだろうが、結界が起動した」
「え」
「驚くのも無理はない。昨日の今日だからな」
 ジレーザは立ち上がって地図を手にベッドに戻ると、それを依斗の前に広げてよく聞いてくれと真剣な顔をする。
「被害は想定より悪い状況に陥ってる」
 広げた地図には大きく目立つ印が書き込まれ、方方に散らばったその印が意味するところが、依斗にはまだ理解出来ない。
「悪い状況って。結界内に瘴気が溢れて、民衆が暴徒化したんじゃないのか」
「いや、暴徒化は起こってるが、それと別で各所に大型の魔獣……魔物が湧き出て騎士団が応戦してる」
「そんな」
 依斗は地図に視線を落として茫然とする。
「当然のことだが、魔物には私たちが使える程度の魔法も物理攻撃も通用しない」
「暴徒化した民衆の対策は」
「そちらに関しては、まだ魔法が有効だ。なんとか抑え込んではいるが時間の問題と考えるべきだろうな」
「急がないと!」
 依斗はベッドから立ちあがろうとするが、足に力が入らずにその場でバランスを崩して倒れ込む。
「な……んで」
「圧倒的に回復に要する時間が足りてない」
 気遣うように抱き起こすと、気付いてないのかと眉を寄せて、ジレーザは依斗の顔を覗き込む。
「今回は〈ネグロシス〉が引き起こす衝動が起こってないだろ」
「いや、意識が飛ぶ前にお前に襲い掛かった記憶はある」
「それだけだ。ヨリトは私に抱きついてすぐに意識を失った。そしてさっきまで眠ったままだった」
「マジかよ。え、でもチンコ痛くないし」
「だからそばで控えてたんだがな」
「どういうことだ」
 いつも通りなら魔力の枯渇から飢餓状態に陥り、意識がなかったとしても、ジレーザを組み敷いて最低でも三日はベッドの上で性を貪るはずだ。
 気を失う前、確かに〈ネグロシス〉を使って瘴気を祓った。
 それがなにもせずに眠っていただけどなると、考えられるのは、その力を行使する前にジレーザから魔力を受け入れたことが原因だろうか。
「まさか、事前の魔力のやり取りか」
「あるいはそれが原因だろうな」
「そんな簡単なことでチンコの暴走止められたのかよ」
「まあここまで来たら結果論だがな」
 ジレーザが淡々と答えるので、依斗は拍子抜けして肩を落とす。
 確かにジレーザが言う通り、手探りの中で身体を重ね合わせて心を通わせ、紆余曲折を経て行き着いた答えではあるが、まさかこんなにも単純な理屈だとは思いもしなかった。
「つまり他人の魔力を取り込みさえすれば、魔力の枯渇を回避出来る上に、性的な暴走も起こらないってことかよ」
「かなり邪道で正攻法ではないから、安直に答えとするのは尚早かも知れんが、あながち間違ってはいないだろうな」
「でもこの体の怠さはなんだ」
「聖剣〈ネグロシス〉を使ったことに変わりはないんだ。ヨリトの魔力が枯渇してない訳じゃない」
「マジかよ。このままチンコも枯れたらどうしよう」
「貴様はそんなことしか言えんのか」
「そんなことじゃないだろ、チンコ勃たなかったら、お前のあんなところやこんなところを気持ち良くしてやれない」
「ほざけ」
 言うと同時にジレーザの手が依斗の頭を叩くと、依斗が呻き、ジレーザは呆れたように溜め息を吐いて、今後の動きだがと地図を広げ直す。
「結界内に瘴気が溢れているこの状況では、魔物の対応にあたっている騎士団が暴徒化するのも時間の問題だ」
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