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日付変わって朝の別荘。
彩香はいつも通り、ではなくリゾート仕様のメイド服を朝からしっかり着て働いていた。
朝食が終わった明衣が元気に宣言した。
「よし!海に行こう!」
と明衣が和泉から預かっていた袋を大きく持ち上げた。
「それ、何入ってるの?」
「ふっふっふ。これね、和泉さんから私たちへのプレゼント!」
とリビングのテーブルにいきなり袋の中身をぶちまけた。
「こ、これって・・・」
「お姉ちゃん、ふみにいもいるのに!」
「いいじゃん。ただの布なんだし」
「み、みずぎ・・・」
「そう、和泉さんがね、私たちに似合う水着選んでくれたの」
「お姉ちゃん、私のもあるの?」
「当然。その辺抜かりないわよ和泉さん」
「やったぁ。わたしスクール水着のつもりだったから嬉しい!」
と水着の山をゴソゴソとあさり出す結衣。
「そういうところは姉妹ね。ねえ、水着って結構高いんじゃないの?」
心配そうな顔をする彩香。
「うん。でもね、和泉さんは大丈夫なんだ」
「え?どうして?」
「副収入があるんだって。あれの」
「あれ?」
「ほら、コスプレよ!そのリゾートメイド服、にゃんパラで使うって言ってたじゃない」
「そうね」と彩香は自分の着ているメイド服を見下ろした。
「そういうの、タダでやるわけじゃないから。デザイン料とか制作料とか、結構な金額になるみたいなんだ。和泉さんの場合、制作の方は外注も使ってるって言ってたから、かなりの金額になるみたいよ」
「そ、そうなんだ・・・和泉さんってすごい人だったんだね」
「ね!わたしもこの前聞いてびっくりしちゃった。こんなことも仕事になるんだね」
感心したように思い出している明衣。
「でも、編集部もやってるんだね」
「だって・・・ねぇ♡」
「え?何かあるの?」
「あはは。なんでだろうねぇ」
と笑顔でとぼける明衣だった。

「あった、わたしの!」
結衣が自分の名前の書いてある水着を見つけた。
「うん。袋に名前書いてあるから自分の取って。あ、あとで撮影して和泉さんに送るからね。それが水着代だって」
「そうね。タダでもらうのもなんだし・・・」
そこは彩香も納得したようだった。
「じゃあ、着替えて海行こう!」
彩香たちはそれぞれの水着を持って着替えに行った。
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