エルフで聖女で転生者

もぶぞう

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第1章 聖女、働くってよ

第5話 シャルロッテさんと銭湯

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シャルロッテさん一行が落ち着いたら銭湯です。
旅の疲れを取ってもらわないとね。

ちゃんと男湯女湯に別れてるので大丈夫よ?
建物に入ってすぐ、ずらりと並んでいるマッサージチェアに驚いていたけれど、それは後回し。
座って「あ゛~」とやってるエルフたちに驚いてるのかもしれない。

シャルロッテさんは美魔女ね。
50歳くらいだと思うけれど、ナイスバディよ。
神官服を脱いだら凄いのね。

この世界の神官は結婚できるみたいだけど、シャルロッテさんは未婚。
あの神様に人生捧げちゃったなんてもったいない。
エルフの森で見つけたへちまで洗って、ポーション配合のオイルでボディマッサージしてあげましょう。
若々しいエルフたちにも人気の商品よ。


「シャルテ、わたしを治療したときにお腹の辺りにヒールを掛けたと聞いたのだけど、あれは何?」


あー、こっちじゃ毒抜きして終わりなの?
ダメージを受けているであろう肝臓と腎臓のケアはしないのか。


「えーと、ですね。
毒が体に入ったら当然体も対処しようとする訳ですよ。
この辺りにある肝臓が解毒を頑張ったり、こことここの辺りの腎臓が血液をろ過してたりするのです。
なので、毒によってダメージを受けていたり、頑張り過ぎて弱ってたりする訳です。
他の内蔵もダメージを受けているかもしれないけれど、とりあえずこのふたつの内蔵が大丈夫なら良いかなと。
お酒を飲み過ぎたときに肝臓にヒール掛けると効きますよ?」


おぼろげな知識だけどね。
掘り下げて聞かれると困るのよ。
無償で知識をバラ撒くのも嫌だし。


二日酔いの里長に肝臓ヒールを掛けたら驚かれたっけ。
頭が痛いのにお腹にヒール掛けたのが不思議だったらしい。
しかもちゃんと治ったので。
と言うか、二日酔いで聖女に頼るなや。
エルフたちは重症の怪我や病気では頼らないくせに二日酔いでは良く呼ばれるようになった。


「そうなのですね。
内蔵それぞれの働きを知っているのですか。
神殿にある書物では対処療法でしか分かっていないのです。
突き詰めれば同じ結論に成るのかもしれませんが、症状が出ていないと分からなかったことを推測できるのは良いですね。
それに全身にヒールを掛けるよりは魔力の節約に成りそうです。」


予防的処置の考えも無かったか。
対処療法では手遅れもあるだろうに。
検査機器が無いから仕方ないのか。
血液検査とか無さそうだものね。


シャルロッテさんは自分の右脇腹に手を当てヒールを掛けた。
酒飲みなのかしら。
あっ、コーヒー牛乳を作らないと。
シャルロッテさんのポーズを見て思い出した。
湯上りに腰に手を当てコーヒー牛乳を飲むのは基本よね。
コーヒーと牛乳を見付けないといけないのだけれど。
とりあえず牛乳が見付かればフルーツ牛乳でも可。

女性神官も互いに肝臓ヒールを掛けている。


「襲われたときにそこをやや後ろから殴りつけると相手にかなりのダメージを与えることができますよ?
あばら骨の境から上へえぐるようにね。
正面からだとこちらが左手になるのでやや弱いですけれど。
蹴り入れられたら相手はダウンするんじゃないでしょうか。
下手すると死にますけどね。」


レバーブローはこの世界でも効くよね?


「それ程大事な臓器なのね?
できれば攻撃目標ではなくて、治療の為に覚えたいわ。」


まあ、神官ならそうよね。
でも女性の護身に覚えておくのもいいわよ?


銭湯から上がればマッサージチェアの虜となったシャルロッテさん。
ポーション入りオイルを塗ったときにも感じたけど、シャルロッテさんの背中が少し張っているのよね。
馬車での旅のせいかしら。
一晩寝ればポーション入りオイルの効き目も出ると思うけど。
エルフたちと一緒に「あ゛~」と成っていた。
きっと帰りに一台買っていくわね。
最新式はちゃんと手揉みを再現しているのよ。
エルフたちの執念恐るべし。

ツボとかも経験から何となく理解しているのよ?
長命種でそれぞれの知識が蓄積されたエルフの里にはこの世界の真実が詰まっているのかもしれない。
多分まると徹底的にやる性質のせいだと思うけど。
各種マッサージチェアのように。
ただの凝り性よね、マッサージチェアなだけに。

こう言うときこそ大精霊がツッコミに来てくれたら良いのに。
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