エルフで聖女で転生者

もぶぞう

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第1章 聖女、働くってよ

第12話 スキルの書

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温泉に入りながら魔物ダンジョンの構想中なシャルテです。
シャルロッテさんたちは神殿を隈なく見て満足している。


「シャルロッテさん、魔物の出るダンジョンでは神官にも鍛えてもらうけど良いよね?
シャルロッテさんならワイトは倒せる?」


「ワイトなら倒せると思います。
そこまで鍛えるのですね。
そうなれば神官としても一人前に成るでしょう。
後は日常的に魔力を消費して増やしてもらえば良いでしょう。
聖女様のお仕事を減らせると思いますよ。」


おう、バレバレですか。
わたしが聖女のお仕事に積極的でないのは知ってるものね。


「神官として欲しい素材とか有る?」


「そうですね、薬草は欲しいですが、エルフの里からも買えますよね。
できればスキルの書が欲しいところですね。」


スキルの書はダンジョンで見つかる宝箱から偶に出る。
使うことでその書にあるスキルを習得できる優れモノだ。
魔法を習得する場合もある。
普通は10階層程度では出ない。
DP余ってるから大盤振る舞いしても良いのだけれどね。


「聖魔法のスキルを得れば孤児でも仕事に困らなくなるわね。
似非えせ神官も減るわよね。
神様がDP沢山くれたからスキルの書を出しても良いかも。
そのつもりだったのかもしれないし。」


どうせ一般人は入れないのだから、6階層からスキルの書は出す方向で行きましょう。
宝箱は3階層からね。


「スキルの書とは気前が良いね。
聖女の仕事を肩代わりさせる気満々じゃないかい、シャルテ。
エルフが拾ったら格安で神殿に売ってあげようかね。
シャルテのダンジョンだものね。」


「格安じゃなくても買ってくれるんじゃない?
暴落しても困るわよね。
ダンジョンの入場料は取らないんだし。
他所じゃ取るんでしょ?」


「そうだね、領主か冒険者ギルドが取るね。
その上獲物を売るにも税を掛けるのだからボロ儲けさ。
入る者は命賭けてると言うのにね。」


上前刎ねるどころじゃないでしょうよ。
そりゃあダンジョン産のあれこれが高くなる訳だわ。


「DPなんてものが有るのだから、入る人が居なくなったらダンジョンが枯渇するんじゃないの?
入る人減っただけでお宝にDP掛けられなくなって、更に不人気になるよね?
入場料を取ってる人はダンジョンの仕組み分かってないのね。
所有者でもないのにお金だけ取ってるってことよね。」


「なるほどね。
不人気なダンジョンが崩壊するのはそのせいだね。
崩壊のときに魔物を全部吐き出すから被害は大きいのにね。

吐き出させないようにコアを見付けたら壊すから所有者になることは滅多にないのだろうさ。
上手くダンジョンで経済を回している所は知っているんだろうね。
ダンジョンで潤っているから入場料が安いのではなくて、入場料が安いから経済も潤ってるんだ。
代を重ねてそれを忘れると崩壊へ向かったりするのだろうさ。
簡単に入場料で稼ごうと値上げすると大損することになるね。」


さすが里長、年の功。
崩壊の例を沢山知ってるんだね。


「DPと言うのを聞いたことが無かったのは秘伝とされているからなのですね。
知らずに入場料や税を上げたところは要注意ですか。
崩壊に備えないといけないのですね。
神殿が伝えても自分の代では崩壊しないと思っていそうです。」


「下手にスキルの書が沢山出ると噂が広まったりしたら入れろと言ってくる奴が増えそうだよね。
怪我は治してもらえるとも思われそうだし。

転移陣を使わないとここに入れないようにしておいた方が良いよね。
神様が転移陣の使用許可で弾くか、わたしがこの地のダンジョンコアの設定で弾くのか分からないけれど。
ここの結界の外に怪我人や病人を直接連れて来られても困るし。」


神様通信でわたしがダンジョンコアでこの町への入場許可規制をすることとなった。
やっぱり神様通信でDPが少し増えるわね。


「シャルテの許可制ですね。
神殿側に周知しておきましょう。
直接来ても入れないことも。
ドイテ王国が突然自分の領土内であると宣言しないと良いですね。」


「言いそう。
そうなるとドイテ王国の転移陣を神様が使えなくしたりするんじゃないかな。
DP沢山あるからここの結界を変形してこちら側の国境を封鎖しちゃっても良いしね。

神官になって1年以上経ってない者は入れないようにしようか。
にわか神官が増えそうだよね。
人柄を神殿が見極めてくれないと、転移陣に取り残される事態が起こるよね。
結局、精霊情報で許可不許可を決めるからわたしの許可と言うより精霊の許可だね。
大精霊、お願いね。」


「そりゃあシャルテが一々出張って見極めるのは本末転倒だしね。
転移陣に取り残されるならまだしも、未知の場所へ跳ばされないと良いな。
精霊に任せるとなれば起こり得るさね。
精霊の怖さをしくも教えることになるね。」


「そう言うことなら任せて。
どの国でも神殿内なら精霊も居られるし、神官と怪我人病人、それからその付き添いの見極めも転移陣に乗る前に済ませるわ。
転移陣に乗れない時点で諦めさせてね。
無理に乗ろうとする者はどこかへ転移させるわ。
精霊のいたずらが復活ね。」


大精霊も乗り気ね。
別の場所に跳ばされる可能性があるとなれば転移陣に乗るのも緊張するわね。
ああ、乗る前に跳ばされることもあるのね。
ダンジョンに入りたいのなら他所のダンジョンにでも跳ばしちゃえば良いのよね。


「シャルテ、それ採用。
ダンジョン狙いの人はどこか他のダンジョンに跳ばしてあげるわ。
大丈夫、浅い層にしておくから。」


「いや、無防備のままなら浅い層でも死ぬでしょ。
せめて安全地帯に置いてあげないと助かる道が無いわよ?」


大精霊だけでなく、安全地帯なら許容しているわたしにもふたりの神官は顔を青くしてるわね。

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