エルフで聖女で転生者

もぶぞう

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第1章 聖女、働くってよ

第19話 ドイテ王国門前2

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引き続き尋問しますよ。


「その依頼はドイテ国内で行われましたか?」


「ああ、もちろん、そこの町だ。」


「門番さん、国内での殺人依頼は罪に問えますよね?」


「ああ、もちろんだ、あ、です。」


「それが騎士であっても?
しかも、第二王子のお付きで、その第二王子も一緒にこちらへ来るようです。」


「そ、それは……。」


「無理でしょうね。
さて、これからどうなるでしょーか。

1番、マルケスたちを見た王子が何かの罪を着せてマルケスたちに攻撃して消そうとする。

2番、エミリアを見付けて引き渡しを要求する。

3番、引き渡さないわたしに攻撃して、どさくさでエミリアも殺そうとする。

恐らく全部合ってるでしょう。
小物みたいなので分かり易そうです。

ああ、大丈夫マルケスたちも結界で守ってあげるから。
お仲間はもっとマルケスの近くに寄って。

おっと、先に護衛が来たようです。
シャルロッテさんたちは守ってもらってくださいね。
手出し、口出しは禁止です。
門番さんたちもですよ。
お偉いさんに盾突けないでしょう?」


シャルロッテさんたちの護衛にも手出し、口出しをしないように言っている間に王子一行がやって来た。


「おい、あいつらがエミリアを襲ったと言う盗賊だな。
捕えよ、抵抗する者は殺して構わん。」


襲ったとか誰に聞いたのよ。
襲う前に終わったとか考えもしないのね。
設定甘すぎるわよ?

捕まえるそぶりも見せずに魔法で攻撃し始めた騎士たち。
切り付けて結界に弾かれて転んでるし。


「いっちばーん。」


わたしの声でこちらを見た王子。
エミリアを見付けたわね。


「なっ、エミリア無事だったか。
女、エミリアをこちらに渡すのだ。」


「にばーん。」


「何をしている、もうよい、女を捕えよ。
抵抗するなら殺しても構わん。」


ほぼ同じセリフになってるわよ、王子。
騎士たちも同じく捕まえるそぶりも見せずに攻撃し始めた。


「さんばーん。
もう良いでしょう、精霊、やっておしまいなさい。」


王子も騎士も門から出てるので堂々と反撃しますよ。
出てなくてもするけどね。

精霊があっと言う間に王子と騎士たちを蔦でぐるぐる巻きにした。
詠唱ができないように口も塞いでるわね。


「ドイテ王国第二王子による宣戦布告をエルフであり聖女であるシャルテが受けました。
これよりドイテ王国はエルフ、精霊、神殿の敵となります。
まずは攻撃してきた王子や騎士たちを処するところですが、王国の申し開きを聞いてあげましょう。
ただし、王子たちがわたしを聖女と知らなかったことは言い訳にもなりません。

すみやかに王城へ連絡しなさい。
返答は神殿の神像にしなさい。
3日後には処しますからね。
それと同時にドイテ王国へ報復します。
わたしが納得する返答なら譲歩してあげましょう。
マルケスたちはそちらに引き渡しますから彼らの証言も参考にすると良いでしょう。
精霊が見ていることは忘れないでね。
理不尽な処刑は口封じととらえます。

恐らくドイテの神殿の転移陣は閉鎖されています。
この門もわたしが閉鎖します。

さあシャルロッテさん、帰りますよ。
それらはわたしが持って行きます。」


王子たちを浮かせて持って行きますよ。
エミリアたんはシャルロッテさんの馬車に乗った。
わたしも御者台に乗って帰りますよー。


シャルロッテさんはエミリアに事の成り行きを聞いている。
よくある婚約破棄なんですけどね。
第二王子がエミリアに冤罪で国外追放を言い渡したと。
別に真実の愛を見付けた訳では無いようです。
エミリアが優秀で気に入らなかったとか。
馬鹿が馬鹿だったと言う理由ですね。

そう言えば定番の取り巻きも居なかったわね。
側近を付けられない程馬鹿だったのね。
王は切り捨てそうね。
切り捨てても許さないけどね。

放置していたツケを払ってもらいましょうか。


あっ、これってエルフと精霊の怖さを示す結果になってない?
創造神様の思い通りじゃないの。
王族が絡んでいるから周辺国へも知られるわよね。
聖女の活動の下地作りよね。

甘々な新ダンジョンの揺り返しが来たわ。
ノリノリでやっちゃったじゃないの。
返答を神様経由にしたのは良かったわ。
神様にもこの茶番に付き合ってもらうわよ。
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