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捜査開始
36. 十日目(謹慎二日)、長方形の薄い金属板の秘密
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左足を引きずりながらトイレを出るとズボンの右ポケットに入手した品を入れ
て公園の入り口へと急ぐ。しばらく歩いているとパトロール中の警官と遭遇し、
職務質問を受けてしまう。
「どうかされましたか?」
「お恥ずかしい話ですがジョギング中、石に引っ掛けて転んでしまい足首を痛め
たんです。家は近所なので一人でも帰れます」
「夜中のジョギングは本当に気を付けて下さいね」
親切な警官は後藤の言葉を素直に信じて自転車に乗るとパトロールを再開して
姿を消した。電球を外すのに戸惑っていれば確実に連行されていたと思うと自分
の強運に感謝する。
公園の入り口近くの両端に置かれている高さ1メートルの石碑に腰を降ろして
今後の予定を検討する。自宅に帰るべきか捜査を続行するべきか。しばらく考え
ても結論が出ない為、ズボンのポケットから例の物を取り出して両面を見比べる。
片面には何も表記されてないが反対側には凹みが在り文字が書かれている様に見
える。
光を求めて街灯の近くに移動すると数字が十一桁とマイナスが二個表記されて
いる事が分かった。マイナスが表記されている場所は、左端から数えて三番目と
四番目の間と七番目と八番目の間の中間に描かれていた。それを元に観察し直す
と見慣れた数字へと変化した。
「090-3○○○-10○4だな」
携帯電話の番号だと分かると帰宅の選択肢を削除して公衆電話から掛ける事に
決めた。
「トルゥールルー……」
真夜中に電話するのが非常識な事は百も承知だったが自分が決めた解決日まで
残り僅かと迫っていたので何を言われても覚悟の上だった。
「カチャ」
敵か味方かどちらの人物が応答するのか想像もつかないので鼓動が早くなって
いく。
「どちら様ですか?」
「……」
相手の出方を伺う為に偽名を名乗るか正直に実名を名乗るかを考えている後藤。
「もしかして悪戯電話ですか?」
沈黙している時間が長い為、印象が悪くなり、疑われている可能性を否定でき
ない反応だった。雲行きが怪しくなる前に行動を起こさなければ。このままでは
交渉所では無くなってしまうので慌てて後者のプランに変更する。
「夜分遅くに申し訳ございません。西新宿署の刑事をしております。後藤と言い
ます」
「刑事さんでしたか。ご苦労様です。深夜なのに私に何か御用でしょうか?」
「実はある男性が運転を誤って女性と接触事故を起こして死亡させていた事件で
捜査をしておりまして加害者の男性は事故後、幼児退行と失語障害になっていた
事が分かりました。何かご存知の事があれば情報を頂きたくて電話を致しました」
「その捜査は打ち切られたと聞いておりますが……」
「お恥ずかしい話、私が個人的に進めております」
「警察組織の中で単独捜査をするっていうのは、今時、珍しい方ですね。中々、
できる事ではありません。何か不思議な点でも!?」
「初対面の人に言うのは本当はダメなんですけど木島刑事という方が謎の死を遂
げてまして本当の意味で未解決の事件を放って置くことが耐えられないんです」
「そうでしたか。所で私の電話番号は何処で知りましたか? 差し支えなければ
教えて下さい」
後藤は正直に薄い金属板に表記されていた事を告げた。
「そうでしたか。ではあなたは、先ず信用できる方だ。私は先程、後藤さんの話
に出て来た亡くなった木島刑事の兄でプレス工場を経営している聡と言います。
是非、あなたに見て貰いたい部屋があるんです」
聡は公園から徒歩二十分の住所を丁寧に説明すると先に電話を切った。
て公園の入り口へと急ぐ。しばらく歩いているとパトロール中の警官と遭遇し、
職務質問を受けてしまう。
「どうかされましたか?」
「お恥ずかしい話ですがジョギング中、石に引っ掛けて転んでしまい足首を痛め
たんです。家は近所なので一人でも帰れます」
「夜中のジョギングは本当に気を付けて下さいね」
親切な警官は後藤の言葉を素直に信じて自転車に乗るとパトロールを再開して
姿を消した。電球を外すのに戸惑っていれば確実に連行されていたと思うと自分
の強運に感謝する。
公園の入り口近くの両端に置かれている高さ1メートルの石碑に腰を降ろして
今後の予定を検討する。自宅に帰るべきか捜査を続行するべきか。しばらく考え
ても結論が出ない為、ズボンのポケットから例の物を取り出して両面を見比べる。
片面には何も表記されてないが反対側には凹みが在り文字が書かれている様に見
える。
光を求めて街灯の近くに移動すると数字が十一桁とマイナスが二個表記されて
いる事が分かった。マイナスが表記されている場所は、左端から数えて三番目と
四番目の間と七番目と八番目の間の中間に描かれていた。それを元に観察し直す
と見慣れた数字へと変化した。
「090-3○○○-10○4だな」
携帯電話の番号だと分かると帰宅の選択肢を削除して公衆電話から掛ける事に
決めた。
「トルゥールルー……」
真夜中に電話するのが非常識な事は百も承知だったが自分が決めた解決日まで
残り僅かと迫っていたので何を言われても覚悟の上だった。
「カチャ」
敵か味方かどちらの人物が応答するのか想像もつかないので鼓動が早くなって
いく。
「どちら様ですか?」
「……」
相手の出方を伺う為に偽名を名乗るか正直に実名を名乗るかを考えている後藤。
「もしかして悪戯電話ですか?」
沈黙している時間が長い為、印象が悪くなり、疑われている可能性を否定でき
ない反応だった。雲行きが怪しくなる前に行動を起こさなければ。このままでは
交渉所では無くなってしまうので慌てて後者のプランに変更する。
「夜分遅くに申し訳ございません。西新宿署の刑事をしております。後藤と言い
ます」
「刑事さんでしたか。ご苦労様です。深夜なのに私に何か御用でしょうか?」
「実はある男性が運転を誤って女性と接触事故を起こして死亡させていた事件で
捜査をしておりまして加害者の男性は事故後、幼児退行と失語障害になっていた
事が分かりました。何かご存知の事があれば情報を頂きたくて電話を致しました」
「その捜査は打ち切られたと聞いておりますが……」
「お恥ずかしい話、私が個人的に進めております」
「警察組織の中で単独捜査をするっていうのは、今時、珍しい方ですね。中々、
できる事ではありません。何か不思議な点でも!?」
「初対面の人に言うのは本当はダメなんですけど木島刑事という方が謎の死を遂
げてまして本当の意味で未解決の事件を放って置くことが耐えられないんです」
「そうでしたか。所で私の電話番号は何処で知りましたか? 差し支えなければ
教えて下さい」
後藤は正直に薄い金属板に表記されていた事を告げた。
「そうでしたか。ではあなたは、先ず信用できる方だ。私は先程、後藤さんの話
に出て来た亡くなった木島刑事の兄でプレス工場を経営している聡と言います。
是非、あなたに見て貰いたい部屋があるんです」
聡は公園から徒歩二十分の住所を丁寧に説明すると先に電話を切った。
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