黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

文字の大きさ
57 / 136
捜査開始

57. 十日目(謹慎二日)、二人からのFAXの内容

しおりを挟む
 再配達の商品が届いてFAXを取り付けた後に用紙をセットすると10分後
に東氏からFAXが届いた。時刻は正午を10分過ぎてた所なので。これまた
偶然の産物なのかが判断出来ずにいた。書かれた内容に目を通していくと箱庭
に入っていた疑似人形の瞳が取り外し可能になっており、青は精神状態が良好
を黄色は普通で”赤が最悪”を意味していて毎日、健康状態を人形を通して確認
しているとの事だった。

 人形の瞳にそんな仕掛けがあったなんて初耳だったので実物で確認してみた
いと言う気持ちが芽生えていた。
「肝心のビデオテープが無いならFAXする意味が無い気もするが折角の好意
に文句を言うのも失礼なのかもしれない」

 食欲は出て来ないが喉の渇きを放置しておく訳にはいかないので白湯を飲む
事にした。

 30分が経過した頃、FAX機独自の高音気味の機械音を響かせると軽快に
動き出して用紙に文字や柄等を転写させていく。用紙を確認すると小林のサイ
ンが書かれた一枚の地図のコピーに〇が二ヶ所だけ書かれており、後はX印で
虻沼の自宅の場所が書かれていた。〇については聡が住んでるアパートとアケ
ミが住んでいる場所(高層マンション)と書かれていて名前が朱実となってい
た。実名かどうかは今の所、確かめる手段は無いが話のとっかかりには十分な
材料と認識した。意外だったのが虻沼も近くに住んでいる事だった。

(さて次にどうするか?)
 白湯が空になった所でグラスをシンクへと戻しに行くと見覚えのあるトート
バッグが視界に入った。FAXに気を取られていて卒業アルバムがある事を完
全に忘れていた事に気付いた後藤。

 卒業アルバムの全てのページに目を通すと庭村と書かれた生徒が居た事が、
判明したが下の名前と顔写真が見事に切り取られており、追跡の糸が途絶えた
様に感じたのだが”庭村””という苗字に親近感を覚えていた。
「庭村って、どこかで見た記憶があるが、何処だったかなー」
 念の為、自分の警察手帳のメモ欄を確認すると接触事故で無くなった愛里さ
んの父親の苗字が庭村と書かれていた。
(これが意味する事は黒沢警部と庭村は同級生という共通点が浮かんだ訳か)
 後は当時の学年主任である山城先生の住まいが何処にあるかだ。卒業アルバ
ムには、それらしき暗号は見当たらないように思えたが何か見落としている気
がする。
「そうだ、付箋の裏を確認していないよな」
 メモ用紙だけだと勝手に思い込んでいたので裏返して付箋に対して目を凝ら
す為に近付けていくと僅かであったがオレンジの残り香がしたような気分にな
った。文字が書いていない事が分かったが別段、落ち込む程の事でも無かった。
(オレンジの香りから暗号を発想したならば、必然的に出て来る言葉は『炙り
出し』だな。って事はロウソクの火で炙れば文字が浮かび上がる筈だ)

 自室の机の引き出しからマッチとローソクを取り出してローソクの芯に火を
着けると付箋に何も書かれていない側を上に向けてローソクの火に近付けて、
紙が焦げない程度の絶妙な距離感を保ちながら炙り作業を繰り返して行くと、
望んでいた住所が浮かび上がった。その場所を小林が送ってきた地図に加える
と面白い現象が出現する事となった。聡が住んでるアパートを北とすると東に
歩いて5分の距離に山城先生の庭付きの自宅があり、南西の方角に15分歩く
と朱実が住んでる高層マンションに辿り着き。三点の場所を線で結ぶと二等辺
三角形になり、その中心の×印が虻沼の自宅となっている事が分かった。
「只の偶然にしては出来過ぎる気がするし、もはや気持ち悪いレベルだ」
(魔の三角地帯または、魅惑のデルタ地帯と言っても差し支えないレベルだか
ら中心の場所へは君子危うきに近寄らずで行こう)
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

怪異の忘れ物

木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。 さて、Webコンテンツより出版申請いただいた 「怪異の忘れ物」につきまして、 審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。 ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。 さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、 出版化は難しいという結論に至りました。 私どもはこのような結論となりましたが、 当然、出版社により見解は異なります。 是非、他の出版社などに挑戦され、 「怪異の忘れ物」の出版化を 実現されることをお祈りしております。 以上ご連絡申し上げます。 アルファポリス編集部 というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。 www.youtube.com/@sinzikimata 私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。 いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

怪奇蒐集帳(短編集)

naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。  怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——  どれもがただの作り話かもしれない。  だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。  本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。  最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

処理中です...