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捜査最終日

72. 十一日目(謹慎三日)、サユリ宅にて⑨  恩田の願望1

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「恩田さん。うなされてたけど大丈夫?」
 恩田の肩を揺らしながら悪い夢から覚ます行動に出ていたサユリ。
「サユリか? 嫌な夢を見た。夢と言うよりかは消したい過去だけ
どな……」
「消したい程って辛い経験をしたって事だよね? 過去に一体何が
あったの?」
「今はそっとして置いてほしいとしか言えない。猛烈な行為が終わ
って俺の頭の中も真っ白になったら、その時に話すよ。だから今は
お前の胸の谷間に俺の顔を埋めさせて欲しい」
「恩田さんが甘え上手なのは知らなかったし、その条件で良いなら
OKだよ。他には何かある?」
「今は無いけど思い付いたら言うよ」
「そう。じゃぁ、待ってるね!」
 真顔で言ってくる恩田に対して悪夢にうなされていた事実を直視
しているだけに可笑しい台詞には聞こえなかった。

 サユリは、恩田の上半身を起こすと自分の胸を密着させてリード
するように両手で彼の頭を抱え込みながら胸の谷間に導いていく。
恩田は何も考えずに、されるがままに、その場所に辿り着くと安住
の地であるかのように表情が柔らかくなり、目をトロンとさせた後、
瞼を閉じて柔らかい双丘に身を委ねて沈黙の人となった。

 女性であるサユリは男性の気持ちを100%理解する事は出来な
いけど以前付き合ってた彼氏がプチプチシートの気持ち良さを性的
な気持ち良さに昇華したものだと言った事を思い出していた。それ
が何を意味しているのかは当時は理解できなかったが今も理解して
いる訳ではなかった。他には男性の憧れの願望であるとも聞いた事
があった。全ての男性に当てはまる訳ではないそうだが国民的RP
Gや国民的少年漫画でも取り上げている事でそういう気持ちが芽生
えた可能性も否定しなかった気がする。

 次は何をお願いしてくるのか、興味半分、怖さ半分が正直な気持
ちだった。いくら消したい過去があったとして全て彼の要求を呑む
つもりはなかった。消したい過去を持つ人間は恩田だけの特別な事
ではなく、只、口に出さないだけで多くの人が抱えている悩みであ
って刹那的な快楽に潜在的な憧れを持つのをサユリは理解していた。
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