黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

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捜査最終日

注意:93. 十一日目(謹慎三日)、山城の告白⑫

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 ある日、妻は用事で夜遅くと言って出掛けるフリをして、
突然、連絡も無しに夕方、家に帰宅してきたんです。私は、
自宅に一人っきりになるとカーテンを開けて全裸で中学時代
のユカの写真を眺めながらマスターベーションをするのが日
課でしたから、あまりの異様な光景に浮気の現場に鉢合わせ
るよりもショックだったみたいで有無も言わさず離婚の一点
張りでした」
「そりゃ、奥さんからすれば、そうなるでしょうね!」
「私は近所の手前もあるので直ぐには無理だと話して前向き
に離婚を進める事を条件に彼女に譲歩して貰いました」
「やはり離婚というと慰謝料を請求されたんですか?」
「ユカからは慰謝料に関しては1銭も要求しないと言ってく
れましたが中学時代の写真は目の前で処分して欲しいと懇願
されましてね……」
「奥さんの要求は、そう来ましたか。ユカさんにとっては、
悪夢の写真でも山城さんにとっては大切な写真だったんです
よね!?」
「えぇ、私にとっては。唯一、男の部分を身近に感じられる
貴重な宝物だったので断腸の思いで処分に応じました。灰皿
の上にメラメラと燃えながら湾曲する2枚の写真を見ながら
嗚咽まじりに号泣してました。あんなに泣いたのは初めてか
もしれません」
「その姿を奥さんであるユカさんに監視されていたんですよ
ね。裏切り行為をした夫に対して彼女にとっての復讐だった
んでしょうか?」
「好きだった人が変質者みたいに見えたかもしれません。私
は彼女の気持ちを考える余裕すら無くなってましたから……」
「ユカさんは山城さんによって再び、人間不信になった可能
性がありますよね?」
「恐らく間違いないでしょう。しかし、問題は彼女ではあり
ません。私にとって大切なのは至急、新たな宝物と成り得る
写真が必要だった事ですよ。ハッハッハッ」
 突然の笑い声に頭がイカれてしまったのではないかと疑う
後藤だったが山城は、そんな想いに構わず話を続けた。
「実は後藤さん。あなたが知りたい事と繋がっているんです
よ。数日前に、ある人物から非通知の電話が掛かってきまし
て一週間以内に後藤と名乗る巡査が訪れるので、その人物に
室木の携帯電話の番号を教えてやって欲しいと頼まれました」
「知らない人物ですよね!?」
「そうです。全く知らない男性の声でした。その男は私には
あなたが熱望する写真を提供する事が出来ると言い切りまし
て玄関に小包を届けてあるから、それを見て判断して欲しい
と提案してきました。きっと気に入るだろうとも」
「実に怪しい話になってきましたね。で小包には何が入って
いたんですか?」
「中には、ユカの裸の写真の別アングルの加工写真の2枚と
VHSテープが一本ありました。後、携帯番号もありました」
「写真よりもテープの中身が気になりますね!」
「ツレないな~。ここまで話を聞いた仲じゃないですかっ」
 山城は後藤の両手首を握りながら懇願する瞳で見ていた。
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