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28話 新メンバー加入ですわ
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「お帰りにゃさいませ、ご主人様!」
モモの元気なお出迎えの声がフロアに響きわたる。今日もめろでぃたいむは好調に営業中である。
「モモ、お土産があるんだ」
「にゃんと!」
「隣国まで仕事で行ってね、これはそこの名産の木彫りなんだ」
「ありがとうございますにゃ」
モモは木彫りの小物入れを眺めた。精緻な彫り物にはくつろぐ猫が彫られていた。
「いいなぁ、いいなぁ」
「いいなぁ、いいなぁ」
ミッキとフィーがそういいながらグルグル回るとお客は苦笑して鞄に手を入れた。
「ほら、みんなの分もあるよ!」
「わー」
みんなそれぞれにお土産を貰って嬉しそうである。お客の中にはこの様にお土産や差し入れを持ってくるものもいた。ただし食べ物飲み物だけはリリアンナが禁じている。
「何を入れようかしら、キャンディ?」
セシルは箱を眺めながら考えた。リボンでもいいかもしれない。めろでぃたいむが開店してから数ヶ月、みんなそれぞれ制服の着こなしに個性が出てきた。
イルマは胸元のリボンにブローチをあしらい、セシルはリボンを、クリスティーナは少し着崩し、ミッキとフィーはおそろいの髪留めを右と左につけて見分けを付けやすくし、モモは黒いチョーカーをしていた。
「ところで……」
「はいにゃ?」
「あの子はどうしたんだろう」
お客が指差すのは窓の外だ。みんなが指し示した方向を見ると、少年が窓に張り付いて中を見ていた。
「あらぁ」
イルマが声をかけようとすると、少年はハッとして走り去ってしまった。それだけならされで終わる話なのだが、少年は毎日のようにやってきては中を覗いている。
「あの子、またきてるぜ」
「ご帰宅したいのかしらねぇ」
「子供の小遣いじゃここはちょっと高いからな」
イルマとクリスティーナがそう話し合った。そしてその翌日もその少年はやってくる。
「あのー、暑くなあい?」
季節はもう夏だ。それになんだか少年が日に日に痩せて、みすぼらしくなっている気がする。イルマは見かねて少年に声をかけた。
「……あの」
「ん?」
「これ……」
少年がおずおずと紙切れを差し出した。クシャクシャになったそれは――以前メイド募集でリリアンナが配ったメイド募集の紙だった。
「あら、どこかに落ちていたのかしら。拾ってくれたの?」
「違くて……」
少年は意を決したようにイルマを見つめた。
「僕、ここで働きたいんだ」
「え? そうねぇ、厨房はもう人手は足りているけど……」
「そうじゃなくて! めっメイドになりたいんです!」
「……へ?」
イルマは目が点になった。どうしたらいいか分からないときは妖精さんに相談である。
「――と、言う訳でこの子がここで働きたいって言ってまして」
「うーん……」
さすがのリリアンナも予想外の出来事に考え込んだ。
「お願いします! 誰よりもここの衣装を着こなしてみせます」
「じゃあ、ちょっと着て貰おうかしら」
「ハイ!」
少年はメイド服に着替えた。そしてさんばらに伸びた髪をまとめてカチューシャでまとめると驚くほど整った顔が現れた。
「……歳はいくつですの」
「十六です」
「それにしては華奢ね」
ピンクのミニスカートからは長い脚が伸びている。すね毛などもない。
「きれいな脚ね」
「……手入れしてますから」
少年は少し赤くなりながらそう答えた。
「どうするんです、妖精さん」
「う~~~~ん、あり寄りの……ありですかしら」
「って事は」
「いいわ、ここで働いて頂戴。ただし、あなたが男だって事は……」
「はい、決してばれないようにします」
少年がそう答えると、リリアンナは首を振った。
「いいえ、全面に押し出して頂戴」
「「ええー!?」」
イルマと少年は同時に驚きの声を出した。
「あら、忘れたの? ここはみんなの個性が売り物なのよ。男の娘なんて貴重な属性、隠しておくなんてもったいない!」
「そう、ですか……」
「貴方名前は?」
「ルディです」
「じゃあ、お店での名前は『ルル』にしましょう」
ルルは世話になっていたおじおばの家から飛び出してきたのだ、と言ったので寮に入る事になった。そしてしばらくダンスや歌、接客の練習をしてから店頭に立った。
「新人のルルです。よろしくお願いします」
「かわいいねぇ、結婚してくれー」
「いやだなぁ、僕男ですよ」
「なっ!?」
いろんなご主人様方の度肝を抜きつつ、ルルには着実にファンがつきつつあった。
「あのなめらかな肌、桜色の唇、ぱっちりとした瞳……」
「すらりと伸びた脚、折れそうな細い腰……」
「どこかはかなげな雰囲気、守ってやりたい……」
「でも……」
ご主人様達はため息をついた。
「男なんだよねぇ~」
「だがそれでもいい」
「いや、それがいい」
ルルの不思議な魅力の前に危ない感情に支配されつつあるご主人様方であった……。
モモの元気なお出迎えの声がフロアに響きわたる。今日もめろでぃたいむは好調に営業中である。
「モモ、お土産があるんだ」
「にゃんと!」
「隣国まで仕事で行ってね、これはそこの名産の木彫りなんだ」
「ありがとうございますにゃ」
モモは木彫りの小物入れを眺めた。精緻な彫り物にはくつろぐ猫が彫られていた。
「いいなぁ、いいなぁ」
「いいなぁ、いいなぁ」
ミッキとフィーがそういいながらグルグル回るとお客は苦笑して鞄に手を入れた。
「ほら、みんなの分もあるよ!」
「わー」
みんなそれぞれにお土産を貰って嬉しそうである。お客の中にはこの様にお土産や差し入れを持ってくるものもいた。ただし食べ物飲み物だけはリリアンナが禁じている。
「何を入れようかしら、キャンディ?」
セシルは箱を眺めながら考えた。リボンでもいいかもしれない。めろでぃたいむが開店してから数ヶ月、みんなそれぞれ制服の着こなしに個性が出てきた。
イルマは胸元のリボンにブローチをあしらい、セシルはリボンを、クリスティーナは少し着崩し、ミッキとフィーはおそろいの髪留めを右と左につけて見分けを付けやすくし、モモは黒いチョーカーをしていた。
「ところで……」
「はいにゃ?」
「あの子はどうしたんだろう」
お客が指差すのは窓の外だ。みんなが指し示した方向を見ると、少年が窓に張り付いて中を見ていた。
「あらぁ」
イルマが声をかけようとすると、少年はハッとして走り去ってしまった。それだけならされで終わる話なのだが、少年は毎日のようにやってきては中を覗いている。
「あの子、またきてるぜ」
「ご帰宅したいのかしらねぇ」
「子供の小遣いじゃここはちょっと高いからな」
イルマとクリスティーナがそう話し合った。そしてその翌日もその少年はやってくる。
「あのー、暑くなあい?」
季節はもう夏だ。それになんだか少年が日に日に痩せて、みすぼらしくなっている気がする。イルマは見かねて少年に声をかけた。
「……あの」
「ん?」
「これ……」
少年がおずおずと紙切れを差し出した。クシャクシャになったそれは――以前メイド募集でリリアンナが配ったメイド募集の紙だった。
「あら、どこかに落ちていたのかしら。拾ってくれたの?」
「違くて……」
少年は意を決したようにイルマを見つめた。
「僕、ここで働きたいんだ」
「え? そうねぇ、厨房はもう人手は足りているけど……」
「そうじゃなくて! めっメイドになりたいんです!」
「……へ?」
イルマは目が点になった。どうしたらいいか分からないときは妖精さんに相談である。
「――と、言う訳でこの子がここで働きたいって言ってまして」
「うーん……」
さすがのリリアンナも予想外の出来事に考え込んだ。
「お願いします! 誰よりもここの衣装を着こなしてみせます」
「じゃあ、ちょっと着て貰おうかしら」
「ハイ!」
少年はメイド服に着替えた。そしてさんばらに伸びた髪をまとめてカチューシャでまとめると驚くほど整った顔が現れた。
「……歳はいくつですの」
「十六です」
「それにしては華奢ね」
ピンクのミニスカートからは長い脚が伸びている。すね毛などもない。
「きれいな脚ね」
「……手入れしてますから」
少年は少し赤くなりながらそう答えた。
「どうするんです、妖精さん」
「う~~~~ん、あり寄りの……ありですかしら」
「って事は」
「いいわ、ここで働いて頂戴。ただし、あなたが男だって事は……」
「はい、決してばれないようにします」
少年がそう答えると、リリアンナは首を振った。
「いいえ、全面に押し出して頂戴」
「「ええー!?」」
イルマと少年は同時に驚きの声を出した。
「あら、忘れたの? ここはみんなの個性が売り物なのよ。男の娘なんて貴重な属性、隠しておくなんてもったいない!」
「そう、ですか……」
「貴方名前は?」
「ルディです」
「じゃあ、お店での名前は『ルル』にしましょう」
ルルは世話になっていたおじおばの家から飛び出してきたのだ、と言ったので寮に入る事になった。そしてしばらくダンスや歌、接客の練習をしてから店頭に立った。
「新人のルルです。よろしくお願いします」
「かわいいねぇ、結婚してくれー」
「いやだなぁ、僕男ですよ」
「なっ!?」
いろんなご主人様方の度肝を抜きつつ、ルルには着実にファンがつきつつあった。
「あのなめらかな肌、桜色の唇、ぱっちりとした瞳……」
「すらりと伸びた脚、折れそうな細い腰……」
「どこかはかなげな雰囲気、守ってやりたい……」
「でも……」
ご主人様達はため息をついた。
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「だがそれでもいい」
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