シェフが私のことを好きになる確率

hayama_25

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第13話

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「…何名様でしょうか?」

 平然とした態度を保とうと必死だった。
 心の中の混乱を隠すために、冷静を装った。

「一人だよ」 

「ご案内します。こちらのお席にどうぞ。メニューが決まりましたらお声がけください」

 震える手でメニューを渡し、彼を席に案内した。 
 どうして今、よりにもよってここで再開してしまうんだろう。

 厨房に戻ると律が声をかけてきた。

「莉乃の知り合い?」

 知り合いなんかじゃない。そんなものよりももっと…

「そんな感じ、」 
 悟られたくなくて短く答えた。

 過去の思い出が次々と蘇り、胸が締め付けられるようだった。

「…注文俺が取りに行こうか?」

 律は何かに気づいたみたいで、そう言ってくれた。

 だけど、ここは自分で対処したほうがいい。
 自分の問題は自分で解決しないと。


「大丈夫」

 強がりながらも、心の中では不安が募っていた。

 再び恭介さんのテーブルに向かうと、心臓が早鐘のように打ち始めた。

 心の整理がつかないまま、彼の前に立った。

「ご注文はお決まりでしょうか?」 

 声が震えないように努めたが、内心の動揺は隠せなかった。

 彼の目を見つめると、過去の痛みが蘇ってきた。

「莉乃」 

 彼の声が、私の心に響いた。

 私は、聞こえないフリをした。

「ねぇ、どうして無視するの?」

 久しぶりに聞いた恭介さんの優しい声。

 過去の思い出と現在の感情が交錯し、言葉が出てこなかった。

 恭介さんが、私の手首を掴んだ。

「…離してください」
 彼の手を振り払おうとしたが、力が入らなかった。


「話をしよう」

 恭介さんの声が冷静であることが、逆に私の心を揺さぶった。

「何の話ですか」

 どうして今更現れて話を聞けなんて。
 そんなの、自分勝手すぎる。

「俺はまだ納得してない」

 納得?
 笑わせないで。

「何をですか?そもそも、どうしてあなたが納得する必要があるんですか?」

 私は、怒りのあまりつい大きな声を出してしまった。

「俺の話も聞いて」

 言い訳なんて聞きたくない。

「何を聞けって言うんですか?私の誕生日にあなたが浮気をしたことですか?もう、なにもかも終わった話です」

 言葉が溢れ出し、止まらなかった。

「俺はまだ終わってない」

「仕事中です。迷惑です」
 冷静を取り戻し、静かな声でそう言った。

「何時に終わるの?終わるまで待ってるから」
 彼の言葉に、心が乱れた。

「教えたくありません。お話することなんてありませんから待たないでください。」

 彼の目を避けるように、視線を落とした。

「莉乃、」

 恭介さんが私の名前を呼ぼうとしたその時だった、




「俺の従業員に何か?」
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