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初コンサート編 4
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コンサートが終わった後、
「純怜」
雄大お兄ちゃんに声をかけられた。
「はい」
「顔、手当するからそこ座って」
「いや、でも、このぐらい…」
ちょっと痛いけど。
幸い傷もそこまでひどくないし、
「いいから」
雄大お兄ちゃんが強く言った。
「はい…」
私は渋々座った。
「ちょっと滲みるよ」
雄大お兄ちゃんがそう言いながら、消毒液を塗った。
「っ…」
私は痛みに顔をしかめた。
「痛い?」
雄大お兄ちゃんが心配そうに尋ねた。
「大丈夫、です…」
私は無理に笑顔を作った。
「純怜にこんなことするなんて、許せない」
怒りを抑えきれない様子だった。
「でも、ちょっとかすっただけなんで心配しないでください」
安心して貰おと思って言ったんだけど
「顔の傷だけじゃないよ」
「え?」
「心にも、傷できちゃったでしょ」
と雄大お兄ちゃんが優しく言った。
「それは…」
私は言葉に詰まった。
「守れなくてごめん。あの人のことも許せないけど、俺にも腹が立ってるんだ」
私のためにそんな顔、
「雄大お兄ちゃん…」
涙がこみ上げてきた。
「俺たちがついてるなんて大口叩いたくせに、何も出来なかった」
雄大お兄ちゃんが自分を責めた。
違う。そうじゃない。
「雄大お兄ちゃんがああ言ってくれたから、私はファンの前で踊りきることができたんです。だから、そんな風に言わないでください」
「はぁ。励ますどころか励まされちゃって、情けないなぁ」
雄大お兄ちゃんがため息をついた。
「そんなこと…」
「よし、出来たよ」
と雄大お兄ちゃんが手当を終えた。
「ありがとうございます」
「いくら小さい傷でも早く処置しないと後が残っちゃうからね」
もう一度、お礼を言おうとした時、
「純怜ちゃーん」
陽向くんが駆け寄ってきた。
「陽向くん…」
陽向くんに思い切り抱きしめられた。
「怖かったよねぇ、痛かったよねぇ。すぐ近くに居たのに守ってあげられなくてごめんね…」
陽向くんが涙声で言った。
「そんな…、」
「俺も、隣にいたのに、ごめん」
と凛月くんも謝った。
みんな…
守ってあげられなかったって自分を責めてる。
「私、みんなが居てくれたから最後までやりきる事が出来ました。むしろお礼を言わないといけないのに、謝らないでください」
「純怜ちゃん…」
「あいつは会社で処理したから心配すんな」
凌久くんが冷静に言った。
「分かりました」
「警備をもっと強化するか…」
と天馬兄が考え込んでいた。
そして話は、私の名前の掛け声だけ小さかったことに。
「あれわざとですよね、ちゃんと公式のホームページにも書いておいたのに」
「そうだね」
もっと呼びかけるかって話し合っていたけど、
「…私は嬉しかったです」
私は微笑んだ。
「え?」
「だって誰も言ってくれないと思ってたから。小さくても聞こえてたってことはそれだけ応援してくれてる人がいるってことじゃないですか。認めたくないって思ってる人にも無理やり言わせるなんて事、私はしたくないです」
綺麗事だって言われるかもしれないけど、私なりのプライドだ。
「あー、ほんとそういうとこ」
と凛月くんが笑った。
「だめですか、?」
やっぱり綺麗事だって言われるかな。
「純怜がいいならいいんだけど…後々、辛くなるかもしれないよ」
智哉兄が心配そうに言った。
「大丈夫です」
私は強く言った。
私が認めて貰えるように頑張ればいいだけだから。
「智哉兄、この大丈夫は信用していい大丈夫です」
と凛月さんが言った。
「…そうか。じゃあ、明日のコンサートも気を抜かずに頑張るぞ」
「はい!」
コンサートが終わって、少しずつだけど私のことを認めてくれるファンも増えていった。
来年、再来年にはみんなと同じように肩を並べられるようになるのかな、なんて少しの期待に胸を膨らませ、明日のコンサートに備えた。
「純怜」
雄大お兄ちゃんに声をかけられた。
「はい」
「顔、手当するからそこ座って」
「いや、でも、このぐらい…」
ちょっと痛いけど。
幸い傷もそこまでひどくないし、
「いいから」
雄大お兄ちゃんが強く言った。
「はい…」
私は渋々座った。
「ちょっと滲みるよ」
雄大お兄ちゃんがそう言いながら、消毒液を塗った。
「っ…」
私は痛みに顔をしかめた。
「痛い?」
雄大お兄ちゃんが心配そうに尋ねた。
「大丈夫、です…」
私は無理に笑顔を作った。
「純怜にこんなことするなんて、許せない」
怒りを抑えきれない様子だった。
「でも、ちょっとかすっただけなんで心配しないでください」
安心して貰おと思って言ったんだけど
「顔の傷だけじゃないよ」
「え?」
「心にも、傷できちゃったでしょ」
と雄大お兄ちゃんが優しく言った。
「それは…」
私は言葉に詰まった。
「守れなくてごめん。あの人のことも許せないけど、俺にも腹が立ってるんだ」
私のためにそんな顔、
「雄大お兄ちゃん…」
涙がこみ上げてきた。
「俺たちがついてるなんて大口叩いたくせに、何も出来なかった」
雄大お兄ちゃんが自分を責めた。
違う。そうじゃない。
「雄大お兄ちゃんがああ言ってくれたから、私はファンの前で踊りきることができたんです。だから、そんな風に言わないでください」
「はぁ。励ますどころか励まされちゃって、情けないなぁ」
雄大お兄ちゃんがため息をついた。
「そんなこと…」
「よし、出来たよ」
と雄大お兄ちゃんが手当を終えた。
「ありがとうございます」
「いくら小さい傷でも早く処置しないと後が残っちゃうからね」
もう一度、お礼を言おうとした時、
「純怜ちゃーん」
陽向くんが駆け寄ってきた。
「陽向くん…」
陽向くんに思い切り抱きしめられた。
「怖かったよねぇ、痛かったよねぇ。すぐ近くに居たのに守ってあげられなくてごめんね…」
陽向くんが涙声で言った。
「そんな…、」
「俺も、隣にいたのに、ごめん」
と凛月くんも謝った。
みんな…
守ってあげられなかったって自分を責めてる。
「私、みんなが居てくれたから最後までやりきる事が出来ました。むしろお礼を言わないといけないのに、謝らないでください」
「純怜ちゃん…」
「あいつは会社で処理したから心配すんな」
凌久くんが冷静に言った。
「分かりました」
「警備をもっと強化するか…」
と天馬兄が考え込んでいた。
そして話は、私の名前の掛け声だけ小さかったことに。
「あれわざとですよね、ちゃんと公式のホームページにも書いておいたのに」
「そうだね」
もっと呼びかけるかって話し合っていたけど、
「…私は嬉しかったです」
私は微笑んだ。
「え?」
「だって誰も言ってくれないと思ってたから。小さくても聞こえてたってことはそれだけ応援してくれてる人がいるってことじゃないですか。認めたくないって思ってる人にも無理やり言わせるなんて事、私はしたくないです」
綺麗事だって言われるかもしれないけど、私なりのプライドだ。
「あー、ほんとそういうとこ」
と凛月くんが笑った。
「だめですか、?」
やっぱり綺麗事だって言われるかな。
「純怜がいいならいいんだけど…後々、辛くなるかもしれないよ」
智哉兄が心配そうに言った。
「大丈夫です」
私は強く言った。
私が認めて貰えるように頑張ればいいだけだから。
「智哉兄、この大丈夫は信用していい大丈夫です」
と凛月さんが言った。
「…そうか。じゃあ、明日のコンサートも気を抜かずに頑張るぞ」
「はい!」
コンサートが終わって、少しずつだけど私のことを認めてくれるファンも増えていった。
来年、再来年にはみんなと同じように肩を並べられるようになるのかな、なんて少しの期待に胸を膨らませ、明日のコンサートに備えた。
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