5 / 181
第4話
しおりを挟む「心桜、帰ろう」
長かった一日が終わり、翔先輩が教室まで迎えに来た。
「先輩、えっと…今日はちょっと用事があって…先に帰ります」
「用事って?」
どうしよう、そこまで考えてなかった。
「えっと、」
「嘘ついてる?」
バレた
「う、嘘なんて、」
「心桜が嘘つく時、敬語使うって知ってる?」
「っ、」
私にそんな癖があったなんて、
「なんで嘘つくの」
悲しそう…
でも、いま先輩と話してたら喧嘩になる。
「考え事したいから、一人で帰りたくて…じゃ、じゃあまた明日!」
もう、逃げてしまおう
「待って」
「っ、何、」
腕を掴んで離してくれない。
「朝から俺の事避けてるよね」
「別に避けてないよ…」
「避けてるよ」
「避けてないってば」
また、きつく言っちゃう。
「正直に話して」
正直に…?
みんなに優しくしないで、私だけに優しくして。
なんて、言えるわけない。
「別に話すことなんて何も無い。離して」
「話してくれるまで離さない」
掴まれていた腕に力が強く入るのが分かった。
「話なんてない。ただ一人帰りたいだけ」
お願い。離して。
わがまま言って困らせたくないんだよ。
「尚更、それが理由なら一人でなんて帰せないよ」
「なんで、」
「一人で帰りたいなんて思わせちゃったから。ねぇ、言っててくれないと分からないよ」
言うまで、離してくれなさそう。
「…今日の朝、」
「朝…?あぁ、彩音ちゃんとはほんとに何も無くて、」
「そうじゃなくて。あの人に、柊先輩が、私の事を子ども扱いしてて、カップルに見えないって言われて、言い返せなくて…」
「え、彩音ちゃんが?心桜にそんな事言ったの?」
やっぱり先輩には聞こえてなかったんだ。
「うん…」
それなら、先輩は信じてくれないんだろうな。
きっと、私の聞き間違いで終わるはずだ。
「そんなこと言う子じゃないんだけどな…」
やっぱり。
「もうい『だけど心桜が嘘つくわけないし』」
「嫌な思いさせてごめんね」
「え、信じて、くれるの…?」
「…?当たり前でしょ?」
信じてくれないんじゃないかって勝手に思い込んでた
「彩音ちゃんには俺が話しておくよ」
「…」
「これからは、何かあったら俺のこと避けずに正直に言って欲しいな」
「ごめんなさい、」
「何かしてあげたくても、どうすることも出来ないし、避けられると、結構悲しいからさ」
先輩…
今日一日避けて、悲しい思いをさせてしまった。
「ごめんね、気をつける」
「じゃあ、帰ろっか」
「うん、」
「あ、そう言えば、明日どこ行きたいか決めた?」
この前のデートで映画は行ったし…遊園地にも行ったし…
「うーん、特になくて、」
「じゃあショッピングモールでブラブラする?」
「うん!」
「じゃあ、明日12時噴水広場の前で集合しよう」
「分かった。楽しみだな~」
まさか、あんな事になるなんて思ってもいなかったけどね。
7
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
友達の肩書き
菅井群青
恋愛
琢磨は友達の彼女や元カノや友達の好きな人には絶対に手を出さないと公言している。
私は……どんなに強く思っても友達だ。私はこの位置から動けない。
どうして、こんなにも好きなのに……恋愛のスタートラインに立てないの……。
「よかった、千紘が友達で本当に良かった──」
近くにいるはずなのに遠い背中を見つめることしか出来ない……。そんな二人の関係が変わる出来事が起こる。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる