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第10話
しおりを挟む「はぁ?喧嘩して逃亡した挙句、一日無視してるわけ?」
色々言いたいことはあるけど、とりあえず
「無視してるんじゃなくて、避けてるだけ」
「だから、つまりは無視してるってことでしょ。えぇ。そんなことしたら、先輩かわいそうじゃん」
私だって分かってるよ、、
「だってぇ」
避けてるのは悪いと思うけど、私だって可哀想だもん。悪いのは私だけじゃないもん。
「まぁ心桜の気持ちも分かるけど、話し合うべきなんじゃないの?時間が経てば経つほどヒビが入るよ」
ヒビが入る…
「同じこと言ってる」
「え?」
なんか一緒にいたら落ち着くと思ってたけど、咲月と似てるからか。
「遥希くんと同じこと言ってる」
「遥希…?」
あ、そうか。遥希くんのことまだ話してなかった。
「遥希くんは『心桜ちゃん、ご飯食べよ』」
まさかのご本人登場
ご飯って…
「昼ごはん?」
「うん」
でも、あれは、嘘で…
「あれは先輩を避けるための嘘じゃなかったっけ、」
「そうだけど、嘘だからこそ一緒に食べないと疑われるよ?」
確かに。咲月と食べてるところを見られたら、嘘がバレてしまう。
それに、まともな言い訳なんて思いつかない。
「確かに…でも、ここまで付き合わせちゃって、申し訳ないよ」
「別にいいよ。その先輩に先約があるって嘘ついたのは俺だし。最後まで責任取るよ」
なんて優しいんだ。
「ちょっと待って、二人はいつの間に仲良くなったの?話してるとこなんて、今まで一度も見たこと無かったんだけど」
そうそう。遥希くんの話をしようとしてたんだ。
「昨日ばったり会って、話を聞いてもらったの」
「ちょっと!うちの心桜に何も変なことしてないでしょうね?」
「別に、してないよ」
なんか仲良し…?
「あれ?二人とも知り合い?」
「幼なじみだよ」
通りで…雰囲気似てると思ったんだ。
ずっと一緒にいたら性格似るって言うもんね。
「というか、二人きりでご飯食べるの?それって浮気じゃない?」
何を言い出すかと思ったら、
「浮気じゃないよ」
今頃先輩も沙紀先輩と食べてるんだから。
それにお互いやましい気持ちなんて全くない。
だからセーフ。
「そうは言ってもねぇ、周りの人がどう思うか」
「周り?」
私は先輩のことしか眼中にないけど
「彼氏持ちなのに男と二人でご飯食べてるところなんて見られたら…考えただけでもおそろしい」
変な噂が広まるかもしれないよって…
例えば浮気とか?それとも
「別れた。とか?」
「そうだよ。あんた責任取れんの?」
責任て、私達が別れるのは時間の問題で、だから…
「ちょ、ちょっと待って。話が大きくなりすぎてるから」
「心桜のことが心配だから言ってるんだよ」
「…るよ」
遥希くんが何か言ったけど、声が小さくて聞き取れなかった。
「何て?」
「その時は、責任取るよ」
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