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1章 いびつなこころ
18話 悪夢
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18話 悪夢
――朝だ。目覚めは、可もなく不可もなく、ごく普通の朝だった。ひとつ変わったことがあるとするならば、夢だろう。久しぶりに見た。前半はアンブラが生まれたとき、後半は、階段から落ちて第二子が亡くなったとき。
前者は、幸せの絶頂期といえる。初めての出会いから6年、必死に仕事をして、ようやく今の地位を手に入れた。プロポーズして、一度振られて、もう一度プロポーズをした。そのときから、彼女の悩みとして「心の面影」があったのかもしれない。
アーティファクト・キングダムのルールとして、王族以外は重婚不可、結婚した者は原則離婚不可と決められている。安易な気持ちで結婚すると痛い目を見るぞ、ということか。もちろん、すべての夫婦が離婚危機に陥るとは限らない。離婚するには、正当な理由と裁判が必要だ。お金も時間もかかる。
一度振られたとはいえ、私たちは結婚した。知り合ったころ、付き合っているときでさえ、喧嘩なんてしなかった。ノナは私より6つ年下だが、実年齢より大人びていた(むしろ私が子供っぽかった)。私たちは多くの時間を共にし、ノナは私の夢を叶えてくれた。地位、土地、財産を手に入れ、家庭を築くこと。2年後にアンブラが生まれた。全部叶えられた。申し分ない。アンブラを抱いたとき、それが人生のピークだったかもしれない。うまく行き過ぎた。ノナの厚意に甘えていたんだ……。
後者は今でもずっと忘れることができない。アンブラの誕生から2年後のこと。裏口につながる階段で見た恐怖。あのとき、世界が本当に崩れたと思った。ノナが助からないかもしれないと恐怖を抱いた。結果、お腹の子は生まれることなく、ノナは悪夢から覚めて助かった。絶望に打ちひしがれたあの瞬間、ノナも一緒に壊れてしまった。
まだ、悪夢は終わっていない。続いている。
朝になると、ふたりとも消えていた。まるで、昨日のことさえも嘘のように感じる。本当に夢だったのかもしれない。夢ならば、覚めなければ良いのに。布団から出て、窓を全開にした。少し肌寒い風に吹かれて、ナイトウェアの袖を引っ張る。まだ春だ。鳥のさえずりが響き、花の匂いが漂う。清々しい朝。幸せな夢は覚めてほしくないが、朝が来ないでほしいとは思わない。生きることを諦めなければ、活路は開けるはずだから。
着替えや朝食を済ませ、仕事に取り掛かる。あまりにも忙しくて、ノナとアンブラのことを忘れていた。気づけば夕方。ノナの夕食の時間が始まる。早めに食べて、また呼ばれることを想定しておこう……。
――朝だ。目覚めは、可もなく不可もなく、ごく普通の朝だった。ひとつ変わったことがあるとするならば、夢だろう。久しぶりに見た。前半はアンブラが生まれたとき、後半は、階段から落ちて第二子が亡くなったとき。
前者は、幸せの絶頂期といえる。初めての出会いから6年、必死に仕事をして、ようやく今の地位を手に入れた。プロポーズして、一度振られて、もう一度プロポーズをした。そのときから、彼女の悩みとして「心の面影」があったのかもしれない。
アーティファクト・キングダムのルールとして、王族以外は重婚不可、結婚した者は原則離婚不可と決められている。安易な気持ちで結婚すると痛い目を見るぞ、ということか。もちろん、すべての夫婦が離婚危機に陥るとは限らない。離婚するには、正当な理由と裁判が必要だ。お金も時間もかかる。
一度振られたとはいえ、私たちは結婚した。知り合ったころ、付き合っているときでさえ、喧嘩なんてしなかった。ノナは私より6つ年下だが、実年齢より大人びていた(むしろ私が子供っぽかった)。私たちは多くの時間を共にし、ノナは私の夢を叶えてくれた。地位、土地、財産を手に入れ、家庭を築くこと。2年後にアンブラが生まれた。全部叶えられた。申し分ない。アンブラを抱いたとき、それが人生のピークだったかもしれない。うまく行き過ぎた。ノナの厚意に甘えていたんだ……。
後者は今でもずっと忘れることができない。アンブラの誕生から2年後のこと。裏口につながる階段で見た恐怖。あのとき、世界が本当に崩れたと思った。ノナが助からないかもしれないと恐怖を抱いた。結果、お腹の子は生まれることなく、ノナは悪夢から覚めて助かった。絶望に打ちひしがれたあの瞬間、ノナも一緒に壊れてしまった。
まだ、悪夢は終わっていない。続いている。
朝になると、ふたりとも消えていた。まるで、昨日のことさえも嘘のように感じる。本当に夢だったのかもしれない。夢ならば、覚めなければ良いのに。布団から出て、窓を全開にした。少し肌寒い風に吹かれて、ナイトウェアの袖を引っ張る。まだ春だ。鳥のさえずりが響き、花の匂いが漂う。清々しい朝。幸せな夢は覚めてほしくないが、朝が来ないでほしいとは思わない。生きることを諦めなければ、活路は開けるはずだから。
着替えや朝食を済ませ、仕事に取り掛かる。あまりにも忙しくて、ノナとアンブラのことを忘れていた。気づけば夕方。ノナの夕食の時間が始まる。早めに食べて、また呼ばれることを想定しておこう……。
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