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2章 殺してしまいたい
66話 感想
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「……はぁ」
昔聞いたことがある。
「溜め息なんてついていると、幸せが逃げちゃうよ?」
生理現象というか、息を吐くように溜め息をついているというか、なんだか違う意味な気がする。
そもそも幸せってなんだろう? きっとそこでまた大層な言葉を聞く。
「今日死んだ人にはあしたがないの。だから、後悔しないで今を生きるの。それが幸せってものでしょ?」
死んだ人が、生きている人たちに何か言うことはできない。所詮、生きている人たちの作り出した妄想に過ぎない。あの世だとか、地獄だとか、神様とか。本当に見た人がいるとして、それを信じる人がいるのだろうか? まあ、いたとして、それが何になるだろう? きっと、「それ」を願って命を絶った人もいるはず。
幸せの押し付け。生きていることが幸せの形だとして、私は今そうではないと思っている。歩き疲れてしまったから。目的がなくなってしまったから。意味を与えてくれる人がいなくなったから。
息をしても苦しい。生きている気がしない。ちっとも人間らしい生活を送れていない。心が乾ききって枯れている。幸せだと思っていない。悲観すると同時に、諦めの感情も浮かぶ。その言葉通り、本当は衣食住が整っていて、あしたが用意されている環境で生活出来るだけで感謝するべきだ。未来は絶対来るわけないから。
ただ、そうだとしても苦しいものは苦しい。こんなに辛いなら、垂れ下がった糸を切って奈落の底に落ちてしまいたいくらい。「生きていればいいことがあるよ」とか「今だけ苦しいよ」と言われたって、そんなの「生きている人」の感想だ。ただの空気の振動で、いくらでも消せる画面の文字で、インクの染みでしかない。無駄。無駄だった。意味なんて最初からなかった。
とにかくもう疲れた。死を待ちながら歩き続ける。こんな生活は、いや……。
「ピロリン」
「あ……う……」
着信音で現実に戻る。そんなことより、家のことをやらないと。スマホは……スタンド……じゃなくて、床に落ちていた。彼なわけないのに、勝手に期待して開いてしまう。
「オーレリアン?」
どうでもいいと思いつつチャット欄を開く。たった1日会っていないだけで、なんだか懐かしい気持ちになる。そこには、私への心配と今日の授業のメモが送られていた。
「……バカね。時間の無駄」
私の付加価値はどのくらいだろう? 何が正解だろう? 或いは、何が間違いだろう? こんなバカみたいなメッセージを送ってきて、何の意味があるの?
「いいや。読んだから……」
腕に力が入らなくて下がり、瞼が落ちる。チャット欄を開いたまま、スマホが毛布の上に置かれた。返信せず、息をすることも忘れ、何もかも放り出して夢の世界へと走り出した。
昔聞いたことがある。
「溜め息なんてついていると、幸せが逃げちゃうよ?」
生理現象というか、息を吐くように溜め息をついているというか、なんだか違う意味な気がする。
そもそも幸せってなんだろう? きっとそこでまた大層な言葉を聞く。
「今日死んだ人にはあしたがないの。だから、後悔しないで今を生きるの。それが幸せってものでしょ?」
死んだ人が、生きている人たちに何か言うことはできない。所詮、生きている人たちの作り出した妄想に過ぎない。あの世だとか、地獄だとか、神様とか。本当に見た人がいるとして、それを信じる人がいるのだろうか? まあ、いたとして、それが何になるだろう? きっと、「それ」を願って命を絶った人もいるはず。
幸せの押し付け。生きていることが幸せの形だとして、私は今そうではないと思っている。歩き疲れてしまったから。目的がなくなってしまったから。意味を与えてくれる人がいなくなったから。
息をしても苦しい。生きている気がしない。ちっとも人間らしい生活を送れていない。心が乾ききって枯れている。幸せだと思っていない。悲観すると同時に、諦めの感情も浮かぶ。その言葉通り、本当は衣食住が整っていて、あしたが用意されている環境で生活出来るだけで感謝するべきだ。未来は絶対来るわけないから。
ただ、そうだとしても苦しいものは苦しい。こんなに辛いなら、垂れ下がった糸を切って奈落の底に落ちてしまいたいくらい。「生きていればいいことがあるよ」とか「今だけ苦しいよ」と言われたって、そんなの「生きている人」の感想だ。ただの空気の振動で、いくらでも消せる画面の文字で、インクの染みでしかない。無駄。無駄だった。意味なんて最初からなかった。
とにかくもう疲れた。死を待ちながら歩き続ける。こんな生活は、いや……。
「ピロリン」
「あ……う……」
着信音で現実に戻る。そんなことより、家のことをやらないと。スマホは……スタンド……じゃなくて、床に落ちていた。彼なわけないのに、勝手に期待して開いてしまう。
「オーレリアン?」
どうでもいいと思いつつチャット欄を開く。たった1日会っていないだけで、なんだか懐かしい気持ちになる。そこには、私への心配と今日の授業のメモが送られていた。
「……バカね。時間の無駄」
私の付加価値はどのくらいだろう? 何が正解だろう? 或いは、何が間違いだろう? こんなバカみたいなメッセージを送ってきて、何の意味があるの?
「いいや。読んだから……」
腕に力が入らなくて下がり、瞼が落ちる。チャット欄を開いたまま、スマホが毛布の上に置かれた。返信せず、息をすることも忘れ、何もかも放り出して夢の世界へと走り出した。
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