ごめんね、足りなかったよね。

fireworks

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2章 殺してしまいたい

82話 話し合い

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 オブラートに包みながら話をした。
 彼氏と別れたこと、無意識に自傷してしまうこと。眠れないこと、食事量が少ないこと。終始両親の顔色は変わらず、私は間違ったことを言っていないか不安になった。ルームライトで明るくしているのに、夜闇に沈みそうなほど暗かったから。
「というわけです」
「そうか」
「あと、進路を変えたいんです」
「はぁ? 進路を変える? 医者になりたいんじゃなかったのか」
 タイミングが悪かったかもしれない。よりによって、こんなに父が感情を見せるなんて思いもしなかった。普段は妹を擁護するのに。いや、私を批判することで庇っている気になっているかもしれない。
「医者は違うの。本当になりたいわけじゃなくて」
「文理選択はとっくに終わっただろう。今から進路変更なんてできるのか?」
「先生には相談してるの。春に決定するから、変更だったらできる」
「そうなのか」
 ここにきても何も話さない母。疲れているのか、夫が絶対なのか、一切口を開かない。
「だが、今変えられるといったって、どこに行くんだ? 何を目指しているんだ?」
「食事を……作ってみたいの」
「毎日作っているじゃないか」
「そうじゃなくて、その――」
 なんて言ったらこのふたりに伝わるだろうか。どんな言葉が相応しいだろうか。そもそも、正解なんてないんじゃないか。だったら、その、私の、やっていることは。
 一体何だったの?

『今日話す日って言ってたよね。どうだったの?』
『それなんだけど……。思ったより時間がかかって。こんな時間になってごめんね』
 24時になるまでに両親(ほぼ父)と話し合った。結果は……ああ、思い出したくない。うまくいかなかったことはわかる。拗らせてしまった。もう少し早く話していればよかったな。
『おつかれさま』
『ああ……。まだ何も終わっていない……。全然まとまらなかった……』
『また話してみようよ。間に合うから』
『うん……。そうだね』
 12年生になる前でよかったけれど。そんなこと考えている場合じゃなかったな。
 こんな時間でもオーレリアンがすぐに出てくれるから、驚き。
『両親にカウンセリングを受けるよう言ってみたの。仕事で忙しいから、すぐには無理みたい。断られなかったけれど、ふたりはあまりよく思っていないかも』
『そんなに……。大変だね』
『まあ……そういうものだと思っていたけれど』
 ふたりはこういう人だったし。
『今日いっぺんに話したの?』
『うん。どうせ言うなら早めに終わらせたくて』
 ……少しだけ話をして。
『電話かけてくれてありがとう。もうそろそろ寝ようか』
『うん。おやすみなさい』
『おやすみなさい』
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