ごめんね、足りなかったよね。

fireworks

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2章 殺してしまいたい

92話 姉

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 父の言う時間まで、オーレリアンとメイク用品を見ていた。色々な種類があるのはいいことだけど、その分迷うから大変だった。驚いたことといえば、私よりオーレリアンがずっとメイクに詳しかったこと。
 そういえば、レンはメイクを指定したくせに、たまに変えたらまったく気づかなかった。ふてくされながらいつものに戻しても、特に反応しなかったし。
「どんな色が好き?」
「赤とピンクがいいな」
「ブランドにこだわりある?」
「んー、あんまりないよ」
「今までどういうものを使っていたの?」
「アイシャドウはこれで、アイライナーはこれで……」
 どこをどう見ればいいかわからなかったけれど、オーレリアンの質問に答えて、見て回ることが面白かった。メイクしているとはいえ、男女で多少なりとも違うはず。
「例えばこういうものはどう?」
「うーん、もっと赤に近い色がいいな」
「あ、それならこれが……。割高だけど……」
「確かに。あんまり高いと買えないな……」
 少し違うと伝えたら、すぐに別のものを提案してくれた。手の出しやすい価格から、防犯アラームのついた高価なものまで。
「……詳しいね」
「?」
「メイク」
「ああ、そうだね」
 そう聞くと、オーレリアンはくすっと笑った。
「6歳離れた姉がいて、とても詳しくてね。近くで見ていたから興味を持ったんだ」
「お姉さんがいるの?」
 6歳離れているということは、今は23歳くらい? どんな人だろう。オーレリアンと母ユリシアは似ているような。そのお姉さんということは、同じような顔か、父に似た人なのかもしれない。
「うん。今ひとりぐらしで家にいないけど、俺よりもっと詳しいよ」
「そうなんだ……。ほかに兄弟はいるの?」
「いないよ。姉ひとりだけ」
 ちょっと気になるけど、話が脱線しそうだからやめておく。
 ほしいメイク用品をバスケットの中に入れ、待機列に並ぶ。程なくして呼ばれると、会計をしてお金を払う。別の袋にすべてしまわれ、辞典の入った袋をオーレリアンに持たせていることに気がついた。
「あの、それ持つから」
「いいよ。両手が塞がるでしょう。持つよ」
「そうだけど……」
 バッグと、メイク用品の入った袋でいっぱい。これに辞典を加えたら重くなること間違いなしだけど、いつまでも持たせているわけにはいかなかった。
「そういえば、ご家族はどこにいるの?」
「あ……。そろそろゲームを手に入れたのかな? 連絡が来ないからわからないけど。どうなんだろう? もうすぐ時間だけど……」
「ほかに行きたいところある?」
 疑問ばかりで、どちらも答えになっていない。
「ううん。今のところ……」
「いそうなところに行ってみない?」
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