ごめんね、足りなかったよね。

fireworks

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2章 殺してしまいたい

104話 お願い

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※103話でタヴィアンはアンナに渡された薬を飲みました。タヴィアンは薬物中毒で幻覚や幻聴に悩まされています。ただ、アンナにお熱で気にしていません。ところで、アンナはだれかを狙って苦しめる計画を企てているようです。

「おはよう」
「おはよう……」
 あの不気味なふたりのことなんか知らない私は、オーレリアンのことをずっと考えていた。
 私は彼にとってどういう存在なのか、私が彼をどう思っているのか。気にしないようにしていた疑問が一気に浮上して、恥ずかしさがこみ上げる。昔抱いていた感情に似ているようで、まったくの別物。不思議なことに、抵抗はなく受け入れてしまいそうで怖い。
 友達と言っていたけど、本当にそうかな? それだけなのかな?
「日中は昨日より暖かいんだって。雪だるま作ろうよ!」
「アハハ……ソウダネ」
「え、もしかして嫌?」
「そうじゃないけど、そうだっていうか」
「?」
 微妙な噂が流れてから、友達と過ごす時間が減った。その分、オーレリアンといる時間が増える。話すことにも慣れ、隣の席に(オーレリアンが)座ることが多くなった。もともと座席は決まっていなかったから、自由なのだけど。それにしても、1日の大半、話してばっかりだ。授業は聞いているけど、問題を解く時間、休み時間はずっと。
「そうだ。あのね」
 オーレリアンが何か言おうとしたら、先にベルが鳴ってしまった。数学演習の先生が前に立ち、威厳ある声で呼びかける。
「今日はプレテストですよ。早く席に着きなさい」
「プレテストだって。集中したいから話しかけないでね」
「うん。わかったよ」
 返事だけはいいな……。

 ランチは、パン、ほんの少しだけのシチュー、サラダ、スープ。食べる量が増えたし、過度な運動をしない限り戻さなくなった。おかげで喉はすっきり。あんなに苦いもの、毎日毎食繰り返していたと思うと恐ろしい。今は、食事の時間が楽しいと思える。味覚も戻ってきたし。わかりやすいのは辛味や塩っけ、よく感じるのは旨味と甘味。体重は……家に帰ったら測ろう。
「うん。美味しい!」
「本当によく食べるようになったね。それも美味しそうに」
 向かいに座るオーレリアンと話しながら食べる。それだけで嬉しかった。

 昼休み、本当に校庭に出て雪だるまを作ることになった。寒いからコートを羽織り、そのほか防寒具をつけて雪を丸める。生徒もちらほらいて、雪合戦したり遊んだりと楽しそう。当然、雪だるまを作る人たちもいる。時間が限られているから、なるべく早く制作に取りかかった。
「これでどう?」
「うん。いいね」
「よし、今度は……」
 10分くらい経って完成! 仕上げに、頭の上へ帽子をかぶせた。……可愛い顔。よくできた! オーレリアンのおかげで。
「いいじゃん」
「やっとできた!」
「そうだね? あ、ところでお願いがあって」
「お願い?」 
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