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36話 見破る人
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36話 見破る人
大学生活はいつも通り。これといった変化なし。講義を受けて、休み時間に友人と話して、また講義。昼休みはカフェテリアで集まって、食べつつ談笑。試験前ということもあり、学生の間には妙な緊張感が漂っていた。
「いただきます」
私たちは2年生だからある程度慣れているけど、去年の今ごろは初めての試験に恐れおののいた。未知の不安というものは何よりも恐ろしくて、必要以上に身構えた。でも、先生に言われたことや復習をすれば、単位は取れたし、成績も良かった。ものは考えよう、ってことなのかな。
「次の試験はどんな問題が出ると思う?」
「えー、なんだろうね」
「教科書から出てほしいな。全然わかんないんだもん……」
虫食い問題は答えが限られているけど。高校生とは違って、記述式の問題が全体の7割を占めるから、答えには迷う。丸暗記すればいいのかもしれないけど、効率が悪いし先生にすぐバレてマイナスだ。
「ねね、ワークスペースで勉強しよう!」
「賛成!」
「どこやる~?」
ネロフィスの提案で、昼休みは勉強会が開催されることが決定。4人は上機嫌に拍手で歓迎。私はというと、相槌を打って、話についていくのがやっとだった。やはり、昨夜から今朝にかけての恐怖がすぐに消えない。まるで監視されているよう。どこにいるのか? だれといるのか? 何を話しているのか? 見透かされてしまいそうで身を縮めた。今も、どこかで見ているのかもしれない。そして、私をぎゅっと縛り付け絵てげないようにするんだ。それが一番効率いいから。
「ご馳走様でした」
「お腹いっぱい!」
「もう走れないよ~」
挨拶をして食事はおしまい。トレーを持って、皿やカトラリーは軽く水で洗ってから、業務用のシンクに入れる。ほかのグループの人たちはまだカフェテリアにいた。まぁ、午後の講義まであと20分だから、ただ話しているだけで一瞬で終わるだろう。元気な友人4人が席を立って歩く。一方で、私の足は止まってしまった。その近くにエイレーネが立つ。
「どうしたの。らしくないじゃん」
エイレーネだ。恋に落ちる今どきの女の子。青春まっしぐら、ひたむきでまじめな性格をしている。まず間違いなくモテる特質を持っていているけど、振られることもある。もしかしたら、と淡い期待を抱いた。
「ううん。何でもないの」
かといって簡単に言葉になるわけないけど。
「そうなの? 何か困ったことがあったら相談してね」
「あ、ありがとう……」
「なんか最近、ニクスが男臭いのよね。それかしら?」
大学生活はいつも通り。これといった変化なし。講義を受けて、休み時間に友人と話して、また講義。昼休みはカフェテリアで集まって、食べつつ談笑。試験前ということもあり、学生の間には妙な緊張感が漂っていた。
「いただきます」
私たちは2年生だからある程度慣れているけど、去年の今ごろは初めての試験に恐れおののいた。未知の不安というものは何よりも恐ろしくて、必要以上に身構えた。でも、先生に言われたことや復習をすれば、単位は取れたし、成績も良かった。ものは考えよう、ってことなのかな。
「次の試験はどんな問題が出ると思う?」
「えー、なんだろうね」
「教科書から出てほしいな。全然わかんないんだもん……」
虫食い問題は答えが限られているけど。高校生とは違って、記述式の問題が全体の7割を占めるから、答えには迷う。丸暗記すればいいのかもしれないけど、効率が悪いし先生にすぐバレてマイナスだ。
「ねね、ワークスペースで勉強しよう!」
「賛成!」
「どこやる~?」
ネロフィスの提案で、昼休みは勉強会が開催されることが決定。4人は上機嫌に拍手で歓迎。私はというと、相槌を打って、話についていくのがやっとだった。やはり、昨夜から今朝にかけての恐怖がすぐに消えない。まるで監視されているよう。どこにいるのか? だれといるのか? 何を話しているのか? 見透かされてしまいそうで身を縮めた。今も、どこかで見ているのかもしれない。そして、私をぎゅっと縛り付け絵てげないようにするんだ。それが一番効率いいから。
「ご馳走様でした」
「お腹いっぱい!」
「もう走れないよ~」
挨拶をして食事はおしまい。トレーを持って、皿やカトラリーは軽く水で洗ってから、業務用のシンクに入れる。ほかのグループの人たちはまだカフェテリアにいた。まぁ、午後の講義まであと20分だから、ただ話しているだけで一瞬で終わるだろう。元気な友人4人が席を立って歩く。一方で、私の足は止まってしまった。その近くにエイレーネが立つ。
「どうしたの。らしくないじゃん」
エイレーネだ。恋に落ちる今どきの女の子。青春まっしぐら、ひたむきでまじめな性格をしている。まず間違いなくモテる特質を持っていているけど、振られることもある。もしかしたら、と淡い期待を抱いた。
「ううん。何でもないの」
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