暗殺ターゲットはヤンデレ彼氏でした

fireworks

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44話 油断

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44話 油断
「♪」
 講義もアルバイトもない休日。今日のやることは買い物と大掃除! お気に入りのブラウスに埃が目立ってきて、取っても取れないから、新しいものを買うことにした。ついでに、バッグやブーツも見たい。楽しい妄想は、不思議と幸せな気持ちを運ぶ。本当はカイロンの言動で頭がいっぱいだけど。なんで、休みの日さえあいつのことを考えなきゃいけないのかな? と思ったら気にならなくなった。ま、多分、言われなくてもついてきていると思うけど。
(面倒だから裏道から行こ)
 護身用の武器は腐るほどあり、ほとんどの暗殺者は三流で容易く殺れる。そんな自信があったから、時間を短縮するために裏道を選んだ。
 マフラーをきゅっと巻いて、絡まった髪をどかして風になびかせる。すぐに手が出るよう、ポケットには突っ込まない。手袋をこすって摩擦を起こす。吐く息は真っ白、雪が積もって一面銀世界。風邪をひくと困るから傘必須。
「あの女……」
「間違いない、『WTW』のButterflyだ」
「ぐへへへ……」
 廃ビルに現れた3人の屈強な男。近道してショッピングモールへと向かう私を追いかける。彼らは「普通」の男ではなくて、「暗殺者」だと後にわかる。息を殺し、足音を立てず、じわりと追い詰める。地理能力が高い彼らは、ターゲットや歩いている方向、近隣の建物を照らし合わせて場所を導き出す。残念ながら、私は気づかないまま、呑気に歩いていた。
「行け」
 私がショッピングモールの入り口に立つと、前後に3人の男がダッシュして近づく。サンドウィッチ状態になり、警戒を強めたけど遅い。サングラスをかけたモヒカン、パンチパーマ、坊主ヘアの男3人。絵に描いたような悪人。こんな真冬なのに、コートを羽織らず防寒具も身につけていない。何より見た目のインパクトが強すぎる。こいつら……忘れるわけない。隣の市で薬物を売りさばく組織、「Oh my god father」のメンバーだ!
「……!?」
「もごもごもごもご」
 前の男が薬物を染み込ませたハンカチを、私の口に押し当てる。抵抗したところ、後ろの大柄な男に動きを止められ敵わなかった。次いで、横からもうひとりの男が脇腹にスタンガンを食らわせる。身体がよろめいたとき、ポケットから何かが落ちた。
「……あっ」
 ママのライター……! 
「お前、俺たちと付き合え」
「こんな女は滅多にいないからな……」
「ぐへへへ……」
 ひび割れたタイルにライターが落ちる。拾おうとしたけど、男に抱きかかえられ、意識があやふやになっていく。あ、何この、薬……。絶対脳をおかしくさせる薬物だ……!
「ん、んんんん……」
「じっとしてろ。お前は殺さずにたっぷり愛してやる」
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