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第6章 夜渡りの騎行
崖面の試練 ― ティタン・リム
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黄昏横丁から続く裏道の果て、リオはフィアを導いて、急峻な岩壁を見上げた。
そこは“ティタン・リム”と呼ばれる、かつて土界の境界線を監視するために築かれた遺構。
崖面には古い石階と滑車機構の残骸が残り、ところどころに魔力陣の痕跡が刻まれていた。
だが今ではそのすべてが沈黙し、岩肌と風と沈黙だけが支配していた。
「ここを登りきれば、風界へ至る昇天気流の渦まで届くはずだ」
だが、登攀の最中、フィアの欠片が再び脈を打つ。
足元にあった封印石がひとつ、鈍く青く点滅した。
「……動力反応だ。リオ、何か起きる!」
リオが叫ぶより早く、岩壁の一部が“起き上がる”。
石の内側に封じられていた“重奏ゴーレム”が三体、共鳴反応に呼応して起動した。
「下がれ!」
リオが結晶装置を展開し、緩衝陣を形成する。
空中に青い球体が現れ、その中にフィアを包み込む。
だが、欠片は暴走を止めない。
鼓膜の奥に、例の“耳鳴り”が再び轟き、フィアの視界が白く染まりかけたその時——
「存在を、維持しろ!」
リオの声が、緩衝陣の中から響く。
その一喝が、暴走寸前の共鳴をわずかに抑えた。
フィアは崩れ落ちるように膝をつく。
ゴーレムの動きが止まり、再び崖壁の岩へと帰っていく。
風が一度だけ、強く吹いた。
それは、まるで“よくここまで来た”と称えるような一撃だった。
そこは“ティタン・リム”と呼ばれる、かつて土界の境界線を監視するために築かれた遺構。
崖面には古い石階と滑車機構の残骸が残り、ところどころに魔力陣の痕跡が刻まれていた。
だが今ではそのすべてが沈黙し、岩肌と風と沈黙だけが支配していた。
「ここを登りきれば、風界へ至る昇天気流の渦まで届くはずだ」
だが、登攀の最中、フィアの欠片が再び脈を打つ。
足元にあった封印石がひとつ、鈍く青く点滅した。
「……動力反応だ。リオ、何か起きる!」
リオが叫ぶより早く、岩壁の一部が“起き上がる”。
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「下がれ!」
リオが結晶装置を展開し、緩衝陣を形成する。
空中に青い球体が現れ、その中にフィアを包み込む。
だが、欠片は暴走を止めない。
鼓膜の奥に、例の“耳鳴り”が再び轟き、フィアの視界が白く染まりかけたその時——
「存在を、維持しろ!」
リオの声が、緩衝陣の中から響く。
その一喝が、暴走寸前の共鳴をわずかに抑えた。
フィアは崩れ落ちるように膝をつく。
ゴーレムの動きが止まり、再び崖壁の岩へと帰っていく。
風が一度だけ、強く吹いた。
それは、まるで“よくここまで来た”と称えるような一撃だった。
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