「最強令嬢、ついに本気を出す!正体バレ!?偽りの令嬢、もう演じない

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第113章 本物の玄学に触れてしまった

第113章 本物の玄学に触れてしまった

陳監督がスタッフを連れて屋敷に駆け込んだとき、もともと散り散りに探していた出演者やカメラマンたちは、二階に集まっていた。
誰もが前方を見つめ、顔には明らかな驚愕が浮かんでいる。

人垣をかき分けて中を覗くと、姜栩栩は映像が途切れる直前と同じ場所に立っており、その向かいで薛一寧が床に倒れていた。
蒼白な顔には恐怖が刻まれ、首を押さえながら大きく息をついている。

「ど、どうなったんだ?」
陳監督が問いたかったのは――まだ生きているのか、ということだった。

「もう大丈夫です。」
商陸が先に口を開き、複雑な表情でそう答えながら視線を姜栩栩へと向けた。

彼らが駆けつける前――正確には、姜栩栩が鏡の領域を破って彼を外へ連れ戻した瞬間、すでに五人の女の霊と屋敷に潜む凶煞を収めていたのだ。

姜栩栩は最初から、薛一寧を五人の女霊に殺させるつもりはなかった。

「怨みにも元があり、借りにも主がある」とはよく言う。
だが実際には、仇討ちであっても新たな因果を背負う可能性がある。

五人の少女は無惨に殺されたが、人を殺したわけではない。
正しく導けば輪廻に戻り、来世に転生することができる。

だがここで薛一寧を殺してしまえば血の因縁を背負い、罰を受けるばかりか、たとえ転生しても運勢は悪くなる。
割に合わないのだ。

――人間の裁きに任せるのが一番だ。

死刑にならなくても、凶煞に取り憑かれ因果に縛られた彼の人生は、刑務所であろうと決して安らかではないだろう。

「こ、これは……一体どういうことなんだ?」
陳監督はまだ信じられずに姜栩栩を見た。
「薛一寧、彼は……本当に……」

――殺人犯なのか?

姜栩栩はその意図を理解し、軽く頷いた。
「今すぐ警察に通報するのがいいわ。」

スタッフたちは呆然とした。
番組の出演者の一人が、まさかの連続殺人犯だったとは。

しかも元アイドル出身だなんて。
こんな顔で犯罪を重ねるなんて誰が想像できただろう。

――いや、姜先生が言っていた。あの顔は整形かもしれないと。

その瞬間から、心の中で彼女を「姜同学」ではなく「姜先生」と呼び変える者が増えた。
それも当然だ。実際に手を下す場面を見ていなくても、彼女がただ者ではないのは明らかだった。

その中で比較的冷静だったのは周和河だった。
スタッフがスマホを取り出して警察に通報しようとしたとき、彼は一歩前に出た。

「必要ないよ。警察からすでに僕に連絡があった。もう向かっている。」

そう言って姜栩栩を見やる眼差しには、尊敬と同時に無力感が入り混じっていた。
その本物の実力に敬服しつつも、番組開始初日に連続殺人犯が露見するという大事態に無念を感じていた。

これでは、たとえ顧京墨がいても『インスピレーション』番組は確実に潰れてしまう。

出演者やスタッフの胸中はそれぞれだったが、姜栩栩だけは至って自然な表情をしていた。

やがて捜査班の警官が駆けつけ、まだ動揺している薛一寧をすぐに連行した。
真相を暴いた姜栩栩も、当然ながら事情聴取のために同行を求められる。

「姜さん、薛一寧の殺人について、署で供述をお願いしたい。」

今回の捜査班隊長・方佑南は、目の前の十八歳の少女を思わずまじまじと見つめた。

乖しい雰囲気の彼女が、あの冷徹な声で殺人犯を指摘した人物だなんて誰が思うだろう。

面相だとか鬼魂だとか、そんなものは信じない。
彼はむしろ心理的な催眠術の類だと考えていた。

長年の経験から推測するに、姜栩栩は偶然薛一寧の正体を知り、あるいは被害者の友人で、復讐のために番組を利用して彼に近づき、催眠で真実を引き出したのだろう――。

そう見当をつけた方佑南は、姜栩栩を責めるような眼差しを向けた。
――なぜ警察にすぐ知らせず、自分一人で犯人に立ち向かったのか。
途中で何かあったら命を落としていたかもしれない。

方佑南は説教をするべきか迷った。
強く言えば彼女を怖がらせてしまう。
だが甘ければ危険を軽んじるかもしれない。

言葉を選んで諭そうとした矢先、姜栩栩の方が先に口を開いた。

「方警官、供述に行く前にお願いがあります。この屋敷で一体の遺骨を掘り起こしていただきたいのです。」

思いもよらぬ言葉に、方佑南の眉が険しくなる。
陳監督や出演者、スタッフたちは一斉に目を見開いた。

――この屋敷に……遺骨が?!

やっぱりここは“陰宅”だったのか!

最も冷静だったのは商陸だ。すぐに問い返す。
「遺骨が埋まっている場所をご存じなのですか?」

その一言で、皆が再び彼を凝視した。
「あなたも、この屋敷に遺骨があると知っていたのか?!」

陳監督は狂喜すべきか発狂すべきか分からなくなった。
そもそもこの番組を企画した大きな理由のひとつは、玄学の真偽を探ることだったからだ。
だからこそ、わざわざ“怪しい”屋敷を選んだのだ。

それが第一回目で、本物を掘り当ててしまうとは。

商陸は表情を引き締めた。
「以前から言ったように、この屋敷の構造は陰宅に似ています。陰宅なら墓主がいるはずです。」

ただ、埋葬場所はまだ突き止められていなかった。

だが姜栩栩の実力を目の当たりにし、彼女に対する敬意がさらに強まった。
――彼女は自分と同じ道を歩む者だと思っていたが、実力は自分以上だ。
この番組に参加して経験を積むのは正解だった。

一方、方佑南も姜栩栩や商陸の断言を無視できなかった。
すぐに本部へ電話をかけ、もう一隊を呼ぶと、姜栩栩に尋ねた。

「その遺骨の場所、分かるのか?」

姜栩栩は唇を結び、皆を連れて階下へ降りると、階段脇――屋敷のほぼ中央を指差した。

「この下です。」

方佑南はてっきり庭や屋敷の外だと思っていたが、まさか屋敷のど真ん中とは。

足元に広がるのは美しい大理石の床。
――これを掘るには、電動ドリルが必要だろう。
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