「最強令嬢、ついに本気を出す!正体バレ!?偽りの令嬢、もう演じない

lilgrave

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第530話 学院大比に勝つ


第530話 学院大比に勝つ

電話はすぐにつながり、
向こうの人物はまだ休んでいない様子だった。

わずかに冷ややかな声色。
低く、掠れていて、気取らない。

「用件は?」

「あなたに贈り物を届けた相手が、私のところに来たわ」

白宴青は回りくどい言い方をせず、はっきり告げる。

「あなたに会いたいそうよ」

「……そうか」

電話の向こうは淡々と応じ、
そのまま、あっさりと拒んだ。

「会わない」

「でしょうね。だから彼女は、条件を出していいと言ってた」

白宴青は続ける。

「話を聞く限り、どうしてもあなたに会いたいみたい」

――たとえ拒まれても、別の手段で調べに来る、という意味だ。

「ふっ」

向こうが小さく笑う。

その笑い声は、白宴青の耳に、なぜかくすぐったく響いた。

思わずスマートフォンを少し離してから、
相手の声が続く。

「それなら、まず学院大比に勝たせろ。
勝ったら、会ってやると伝えろ」

学院大比すら勝てないようでは、
会う資格はない。

会う必要もない。

男の声はどこか気怠げだが、
言葉の端々には、冷ややかな距離感があった。

白宴青は、こうした口調に慣れているのか、
深くは問わず、ただ一言。

「分かった」

ここで会話は終わると思っていたが、
珍しく、向こうがもう一つ聞いてきた。

「……彼女は、どんな感じだ?」

白宴青は、この「感じ」が何を指すのか測りかね、
簡潔に答える。

「優秀だし、面白い子よ」

少し考えて、付け加えた。

「あなたが会っても、がっかりはしないと思う」

――つまり、姜栩栩が学院大比を勝ち抜いて、
彼に会えるだろう、という意味だ。

聞九は低く笑い、
ただ一言だけ残した。

「……待っている」

そうして通話は切れた。

少し考え、
彼は別の番号に電話をかける。

「以前、海市に逃げ込んだ小妖だが、
しばらく処理班は向かわせなくていい」

電話口の男は一瞬戸惑ったが、すぐに応じた。

「承知しました。
では、海市安全分局に対応を依頼しますか?」

「いや。霊事の方で、直接任務を出せ」

向こうの男は内心首を傾げた。

聞先生は、地府との協力を嫌っていたはずだ。

以前、妖気データを登録し、
妖管局と霊事のシステムを連携させる案も、却下されていた。

疑問はあったが、
男は恭しく了承した。

ほどなくして、
霊事のプラットフォームに、新たな任務が表示された。

……

姜家。

姜栩栩は学院のポイント任務を受けたものの、
急いで学院に戻るつもりはなかった。

道教学院の教育方針は比較的自由で、
進度は学生ごとに異なる。

任務で外出していても、
オンライン授業で補講を受けることができる。

今の姜栩栩は作業机に向かい、
目の前の大型モニターには、
師長によるリアルタイム講義が映っていた。

選択科目の風水学。

講義を聞きながら、
彼女は霊力を集中させ、玉の彫刻を進めている。

姜湛の養魂用玉符はすでに完成しており、
今手がけているのは、姜瀚のための贔屓玉。

約束していた三か月も、そろそろだ。

集中して作業していると、
隣の小さなバルコニーから、
白い毛玉が勢いよく飛び込んできた。

散歩から戻ったばかりの小漂亮だ。

口には一本の紐をくわえ、
その先には――亀。

システムが寄生している、あの一匹だった。

姜栩栩は、
システムのエネルギーと融合した銅製の尾戒を着けているため、
当然、その声が聞こえる。

相変わらず抑揚のない電子音だが、
以前より、わずかに感情が混じっている。

【亀は長寿とはいえ、これ以上振り回せば、いずれ持たない】

姜栩栩は、それを聞いても無反応だった。

彼女はとっくに気づいている。

これはシステムと名乗ってはいるが、
単なる人工知能ではなく、
明確な思考と感情を持っている。

だからこそ、
彼女は小狐が好き勝手に弄ぶのを止めなかった。

感情を漏らし始めれば、
いずれ、もっと多くを吐き出すようになる。

無視されたシステムは、
自ら亀を操作し、姜栩栩の方へ這わせる。

狐を止めてほしいのだ。

――亀いじめにも、限度がある。

本来、寄生しているだけで、
亀と感覚を共有するはずはない。

だが、姜栩栩が施した封印のせいか、
最近は五感まで繋がっている。

時々、自分がこの亀そのものだと錯覚するほどだ。

これ以上ない屈辱だった。

創造されて以来、
これほど惨めな時期はない。

必死に這い続け、
ようやく姜栩栩の足元にたどり着いた、その瞬間。

小狐は、主人の邪魔をすると思ったのか、
すぐに紐をくわえ、
亀を遠くへ運んでしまう。

システムは憤慨しつつも、諦めず、
再び這ってくる。

――そして、また運ばれる。

しかも三度目には、
小狐は少し遊び心を出し、
後ろ足で亀をつついた。

「ほら、行け」

もし睨めるなら、
小漂亮の毛一本一本を射抜いていただろう。

【触るな!
姜栩栩、狐を止めろ!】

【聞こえてるだろ、姜栩栩!】

ようやく姜栩栩は、
手を止め、ゆっくりと顔を上げた。

二メートルほどの距離。

システムの声に明確な感情がこもっているのを感じ、
小狐に指示する。

「……連れてきて」

そう言いかけて、
紐をくわえようとするのを見て、付け加えた。

「紐は引っ張らないで」

何度も引きずられた甲羅を思っての、
珍しい配慮だった。

小漂亮は動きを止め、首を傾げる。

亀を見下ろし、
すぐに理解した。

――紐がダメなら、甲羅だ。

システムの視界には、
山のように巨大な狐が、
牙をむき出しにして迫ってくる。

……。

巨大生物に捕食される恐怖。

しかも、頭から。

幸い、亀は反射的に殻に引っ込み、
システムも、見ないふりをするしかなかった。

小狐は何も知らず、
数回跳ねて机の上に亀を置き、
嫌そうに吐き出す。

姜栩栩も、
こんな運び方になるとは思っておらず、
運んだ方も、運ばれた方も、互いに不満そうだ。

しばし沈黙してから、
彼女は言った。

「……次は、やっぱり紐で」

そう言って小狐の頭を撫で、
遊びに行かせてから、システムを見る。

「天道が作ったシステムなら、
いろいろ知っているはずでしょ?」

たとえば――
褚北鹤の金光が、なぜあんなにも特別なのか。

彼女は忘れていない。
このシステムが、
以前、自分の“人”を狙っていたことを。
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