いつも隣にいる

はなおくら

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 話は、母ベラの幼少期に遡る。

 ベラの生い立ちは複雑なものだった。

 ベラの母は彼女が10歳にも満たない歳に亡くなった。

 それから後妻として入った継母にいじめられ大きくなった。

 父は見て見ぬ振りで誰も庇ってくれない。

 いつも見えないところは傷だらけで、心もボロボロだった。

 何もかも絶望を抱えた時だった。

 デビュタントの日、のちの伴侶となるラスハンにであった。

 出会った瞬間からお互い一目惚れだった。

 でもベラの中にはラスハンの狂気が見え隠れしているのがわかった。

 私が冷遇されていると知ると、すぐさま手を回して家紋を亡き者としてくれた。

 そんな彼を恐ろしいとは思いながらも愛情が優っていた。

 彼が自分を閉じ込める人間でもその鳥籠が心地よく安心できるものだった。

 そうして子供達に恵まれた。

 愛情はなかったわけではないが、いざ産んでみるとどう接していいのかわからず放置してしまった。

 それが後に後悔する事と年月を重ねるほど深くなっていった。

 母ベラはそう語り終えると俯いた。

「あなた達が人に無関心な理由は家紋だけではないわ…私たちの愛情が足りなかった…不甲斐ない母親でごめんね…。」

 母は立ち上がると、私の頭を優しく撫でた。

 人生で初めての感覚だと思う。

「…お気持ちは理解したいと思います。」

「…そう…。」

 悲しげにうつむく母に私なりの言葉を懸けた。

「過去は戻すことはできませんが、お気持ちを聞けて良かったと思います…。」

「…リチアありがとう…。」

 なんだかすっきりとしたという表情の母をみてわたしは少し心の荷が降りた。

 隣でわたしの手を握っていてくれたローイの手を重ねた。

「もう大丈夫よ…。」

「わかった。」

 ローイは何も言わずにそう聞くとチアのワープを開いた。

 そろそろしないと父が起きてしまう、私たちを見つめて静かに涙流す母を見つめてわたしは声を掛けた。

「どうか皆さんでお元気でいてください。わたしのことは気にしないで…。」

 目を大きく見張って見ていた人が背筋を伸ばして優しい声でいった。

「いつまでもリチアの幸せを願っています。さぁ!もう行きなさい。」

 そう言われてわたしはゆっくりとうなずきその場を後にしたのだった。

 チアのところに着くまで、ローイは聞きたいことがたくさんあるはずなのに何も言わずに待っていてくれる。

 そんな彼に安心させたくてわたしはローイの方に頭を置いてそっと目を閉じたのだった。

 そうして理解できた母ベラの表情を見て、母もまた被害者だったのだと…。

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