実は正体を隠していました。

はなおくら

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 ご夫妻の屋敷に通された私は、食事の準備が終わるまで部屋に通された。

 厄介になるのは、悪い気はしたが今夜泊まるところも決まっていなかった為ありがたかった。

 しばらくすると、ドアの音が鳴り扉を開けた。

 使用人らしき人に食事の準備ができたと来てくれた。

 お礼を言って私は、食事をする広場に案内された。

 ご夫妻は気持ちの良いほど、親切な方々で、ホッとするひとときを送れた。

 その後、リビングに通されて、お茶の時間を楽しんだ。

 娘のマリアさんが10代で亡くなったと聞いた。

 わたしはとてもよく似ている為、本当に驚いたのだという。

 ご夫妻は本当にお子さんを大切にしていることに胸が温まった。

「あなたが来てくれて、私達嬉しいの。」

 奥様にそう言われてわたしは嬉しくなった。

「ありがとうございます。こんなによくしていただいて…なんとお礼を言ったら良いのか…。」

 そういうわたしにご夫妻はゆっくりしていってほしいと伝えてくれた。

 部屋に戻された私は、ここで住むところを本当に考えても良いと思った。

 前向きになる反面、悲しくなってくるのはアロンの事だった。

 別れも言わず突然離れ離れになってしまいだいぶ立つ。

「アロン…会いたいよ…。」

 1人の空間にポツンと呟いてみても帰ってくる事はない。

 彼は何をしてるのだろうか、もう私を忘れてしまったのかな。

 そう考えると悲しくなってきてしまい、わたしは忘れるように眠りについたのだった。

 翌朝、運ばれた朝食をいただいてわたしは家を出る準備を済ませて、ご夫妻に挨拶に伺った。

 ご主人が書斎にいることを聞き、そちらに通してもらう。

「イゼアさん、おはよう。早起きですね…。」

「おはようございます。」

 ご主人はわたしの荷物を見つめて悲しそうな顔をしている。

 その表情になんとも言えない気持ちになった。

「イゼアさん…これは頼みなんだが、私達の子供としてここにいてはともらえないか?」

「えっ?」

 突然の申し出にわたしは驚いた。

「妻のあんな嬉しそうな表情は久しぶりなんだ…。マリアの代わりになってほしいというつもりはないが、どうかここにいてほしい。」

 ご主人の奥様を愛する気持ちに、ほっこりとするが、ご厄介になるわけにもいかず、私は首を振った。

「申し訳ありません…わたしにとっては過ぎた話です。」

「そんな…。」

 残念そうな顔をされるご主人にお礼を言って部屋を出ようとした時だった。

 今までの会話を聞いていたのか、泣きながら奥様が部屋に入ってきた。
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