3 / 47
3
しおりを挟む
「神様…忘れてしまうことは嫌です。そんな無責任な事するのは嫌です…。」
細々と発するスサリアを見下ろしながらルーンは考えていた。
そして考えた時一つの提案を出した。
「仕方がない…そなたにその記憶を帰そう。しかし今ではない、そなたがやり直すにふさわしいタイミングでそれを贈ろう。…どうする?やり直すか?」
ルーンの提案に納得したスサリアは迷わず首を縦に振った。
「お願いします。生まれ変わって今度こそこの子を守ります。…王になんてならなくていい…生きて幸せでいてくれるなら…。」
スサリアの一言で、ルーンは少し微笑み、左手を天にかざした。
すると、その光がスサリアの体を包み込む。
何か記憶が抜け落ちて行くような感覚に陥りながら長い眠りについたような気がした。
意識を失った。
そして今現在。
光の中生まれ変わりの神ルーンが、手を広げて言った。
「そなたが望む未来に幸あれ……。」
次に目が覚めた時には、テーブルに手を置き椅子に腰掛けて座っていた。
実際はルーンが、王との茶会に記憶を返還したのだ。
「王妃?」
心配気に声をかける王の姿に苦笑いを浮かべてしまう。
「いえ…なんでもありません…。」
記憶が蘇ると、タケトルの事が憎くてしょうがない。
なんとか感情を押し殺し早々に茶会をお開きにして、自室へと急いだ。
王タケトルは、先を急ぐスサリアを後ろから不思議に見つめていた。
スサリアは走り、自室に戻った。
ドアを開ける前一度深呼吸をして、戸を開けた。
部屋の中を見た時、自然と涙が落ちた。
あれ程、会いたくてたまらなかった二人がいる。
息子ケトルを庇って命を落とした侍女タタラの姿とそしてベッドの中ですやすやと眠りについた我が子だ。
「…タタラ…。」
スサリアが声をかけると、うとうとしていた彼女が、顔を上げた。
「王妃様。おかえりなさいませ…どうかなさいましたか?」
タタラは泣くスサリアの顔を凝視していた。
「なんでもないのよ…タタラ、貴方に言いたくて言えなかった事があるの…。」
「はい…?」
スサリアの改まった様子にタタラは少し困惑気味だった。
「ありがとう、私を支えてくれて息子を守ってくれて…。」
スサリアはタタラの体を抱きしめた、その瞬間抑えていた者が溢れ出し涙が流れる。
「王妃様⁉︎」
慌てたタタラが、スサリアを椅子に座らせた。
そして暖かいお茶と毛布を用意した。
「王妃様、お礼を言うのは私の方です。王子をなんの疑いもなく預けて下さった。」
2人は、王子ケルトの寝顔を眺めて微笑みあった。
細々と発するスサリアを見下ろしながらルーンは考えていた。
そして考えた時一つの提案を出した。
「仕方がない…そなたにその記憶を帰そう。しかし今ではない、そなたがやり直すにふさわしいタイミングでそれを贈ろう。…どうする?やり直すか?」
ルーンの提案に納得したスサリアは迷わず首を縦に振った。
「お願いします。生まれ変わって今度こそこの子を守ります。…王になんてならなくていい…生きて幸せでいてくれるなら…。」
スサリアの一言で、ルーンは少し微笑み、左手を天にかざした。
すると、その光がスサリアの体を包み込む。
何か記憶が抜け落ちて行くような感覚に陥りながら長い眠りについたような気がした。
意識を失った。
そして今現在。
光の中生まれ変わりの神ルーンが、手を広げて言った。
「そなたが望む未来に幸あれ……。」
次に目が覚めた時には、テーブルに手を置き椅子に腰掛けて座っていた。
実際はルーンが、王との茶会に記憶を返還したのだ。
「王妃?」
心配気に声をかける王の姿に苦笑いを浮かべてしまう。
「いえ…なんでもありません…。」
記憶が蘇ると、タケトルの事が憎くてしょうがない。
なんとか感情を押し殺し早々に茶会をお開きにして、自室へと急いだ。
王タケトルは、先を急ぐスサリアを後ろから不思議に見つめていた。
スサリアは走り、自室に戻った。
ドアを開ける前一度深呼吸をして、戸を開けた。
部屋の中を見た時、自然と涙が落ちた。
あれ程、会いたくてたまらなかった二人がいる。
息子ケトルを庇って命を落とした侍女タタラの姿とそしてベッドの中ですやすやと眠りについた我が子だ。
「…タタラ…。」
スサリアが声をかけると、うとうとしていた彼女が、顔を上げた。
「王妃様。おかえりなさいませ…どうかなさいましたか?」
タタラは泣くスサリアの顔を凝視していた。
「なんでもないのよ…タタラ、貴方に言いたくて言えなかった事があるの…。」
「はい…?」
スサリアの改まった様子にタタラは少し困惑気味だった。
「ありがとう、私を支えてくれて息子を守ってくれて…。」
スサリアはタタラの体を抱きしめた、その瞬間抑えていた者が溢れ出し涙が流れる。
「王妃様⁉︎」
慌てたタタラが、スサリアを椅子に座らせた。
そして暖かいお茶と毛布を用意した。
「王妃様、お礼を言うのは私の方です。王子をなんの疑いもなく預けて下さった。」
2人は、王子ケルトの寝顔を眺めて微笑みあった。
10
あなたにおすすめの小説
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる