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14.新生活(3)
オレリアがこつこつと片付けをしていたからか、なんとか五日目にはすべての部屋の床が見えるようになった。これから、物の仕分けをしていく必要があるものの、とにかく物が多い。
不要なものはばっさりと捨てたり売ったりした。残ったものは、それぞれあるべき場所へと戻すか、物置行きなのだが。
(何かしら、これ……?)
衣装部屋の奥の奥にあったのは、謎めいた木製の箱だった。生まれたての赤ん坊は入るだろうの大きさの箱。蓋の部分に蝶番がついていて、ぱかぱかと開閉できる形をしている。宝箱のようにも見える。
好奇心からその箱を開けてみると、オレリアは目を疑った。
(どうして、こんなものが?)
箱の中から出てきたのは、女性もののアクセサリーやら衣類である。リボンに首飾りに腕輪に、そして下着やらドレスまで。
(アーネストさまのお母様のものかしら?)
じっくりと目を凝らして確認するものの、それらは真新しいものに見えた。つまり、どれもこれも新品なのだ。
心臓がドキドキとしてきた。アーネストはこれを誰に送るつもりだったのだろう。
てっきり、アーネストが興味のある女性はリリーだと思っていた。しかし、あのときの彼はリリーを通して違う女性を見ていたのだ。もしかして、その女性に送るものだったのではないだろうか。
オレリアが押しかけてしまったから、アーネストが同情して、ここに置いているのでは――
(……だから、抱いてくれない? やっぱり、妻として見てもらえてない? わたしはアーネストさまの相手として相応しくない?)
そんな想いが次から次へと生まれてきて、目頭が熱くなった。
溢れそうになる涙を堪えるために、眉間に力を込めて、ふぅと息を吐く。
箱の中から適当な首飾りを手にして、オレリアは家を飛び出していた。向かう先はアーネストのところ。
この時間であれば、執務室内にいるはず。それに、ジョアンは「いつでも遊びに来てください。奥様が来てくださると、閣下の機嫌がよくなるので、僕たちも仕事がしやすいんですよ」なんて、言っていた。今となっては、その言葉の信憑性にも欠けるが。
アーネストの執務室がある建物は、支部棟と呼ばれている。それは、ガイロ支部にある軍事棟という意味らしい。だから、ハバリー国内の主要都市部には支部棟がある。
ガイロの支部棟からは関所へとも繋がっており、兵が交代で関所の見張りをしている。
オレリアが支部棟のエントランスに姿を現すと「あ、奥様」と、アーネストの部下が声をかけてきた。オレリアがここに来た初日に、ジョアンがアーネストに「奥様を紹介してください。奥様の存在を周知させるべきです」と言ったため、その日のうちに一通り顔見せを行ったのだ。
「閣下でしたら、執務室におります。ご案内いたします」
「ありがとう」
にっこりと微笑み、礼を口にする。
場所はわかっているが、無意味に一人でうろうろと出歩くのもよくないだろう。
彼に案内されて、アーネストの執務室まで向かう。扉をノックすると、入ってくるように言われた。
「オレリアか? どうした」
お前は下がれと、案内してくれた部下に声をかける。
室内にはアーネストとジョアンがいた。二人で書類を確認して、ああでもない、こうでもないと言っていたのだろう。以前は山のようにあった書類も、今ではその山が三分の一にまで減っていた。
「アーネストさま。これは、いったいなんですか?」
バンと机の上にたたき付けたのは、先ほど見つけた女性ものの首飾りである。
「お前……これを、どこから……」
目にした瞬間、アーネストは慌て始める
不要なものはばっさりと捨てたり売ったりした。残ったものは、それぞれあるべき場所へと戻すか、物置行きなのだが。
(何かしら、これ……?)
衣装部屋の奥の奥にあったのは、謎めいた木製の箱だった。生まれたての赤ん坊は入るだろうの大きさの箱。蓋の部分に蝶番がついていて、ぱかぱかと開閉できる形をしている。宝箱のようにも見える。
好奇心からその箱を開けてみると、オレリアは目を疑った。
(どうして、こんなものが?)
箱の中から出てきたのは、女性もののアクセサリーやら衣類である。リボンに首飾りに腕輪に、そして下着やらドレスまで。
(アーネストさまのお母様のものかしら?)
じっくりと目を凝らして確認するものの、それらは真新しいものに見えた。つまり、どれもこれも新品なのだ。
心臓がドキドキとしてきた。アーネストはこれを誰に送るつもりだったのだろう。
てっきり、アーネストが興味のある女性はリリーだと思っていた。しかし、あのときの彼はリリーを通して違う女性を見ていたのだ。もしかして、その女性に送るものだったのではないだろうか。
オレリアが押しかけてしまったから、アーネストが同情して、ここに置いているのでは――
(……だから、抱いてくれない? やっぱり、妻として見てもらえてない? わたしはアーネストさまの相手として相応しくない?)
そんな想いが次から次へと生まれてきて、目頭が熱くなった。
溢れそうになる涙を堪えるために、眉間に力を込めて、ふぅと息を吐く。
箱の中から適当な首飾りを手にして、オレリアは家を飛び出していた。向かう先はアーネストのところ。
この時間であれば、執務室内にいるはず。それに、ジョアンは「いつでも遊びに来てください。奥様が来てくださると、閣下の機嫌がよくなるので、僕たちも仕事がしやすいんですよ」なんて、言っていた。今となっては、その言葉の信憑性にも欠けるが。
アーネストの執務室がある建物は、支部棟と呼ばれている。それは、ガイロ支部にある軍事棟という意味らしい。だから、ハバリー国内の主要都市部には支部棟がある。
ガイロの支部棟からは関所へとも繋がっており、兵が交代で関所の見張りをしている。
オレリアが支部棟のエントランスに姿を現すと「あ、奥様」と、アーネストの部下が声をかけてきた。オレリアがここに来た初日に、ジョアンがアーネストに「奥様を紹介してください。奥様の存在を周知させるべきです」と言ったため、その日のうちに一通り顔見せを行ったのだ。
「閣下でしたら、執務室におります。ご案内いたします」
「ありがとう」
にっこりと微笑み、礼を口にする。
場所はわかっているが、無意味に一人でうろうろと出歩くのもよくないだろう。
彼に案内されて、アーネストの執務室まで向かう。扉をノックすると、入ってくるように言われた。
「オレリアか? どうした」
お前は下がれと、案内してくれた部下に声をかける。
室内にはアーネストとジョアンがいた。二人で書類を確認して、ああでもない、こうでもないと言っていたのだろう。以前は山のようにあった書類も、今ではその山が三分の一にまで減っていた。
「アーネストさま。これは、いったいなんですか?」
バンと机の上にたたき付けたのは、先ほど見つけた女性ものの首飾りである。
「お前……これを、どこから……」
目にした瞬間、アーネストは慌て始める
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