【R18】旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!

澤谷弥(さわたに わたる)

文字の大きさ
67 / 68

エピローグ(1)

 ハバリー国の十五周年記念式典には、大陸内の他の六つの国からも代表が集まる。
 オレリアはアーネストと共に式典へ参加するため、その一か月前には首都サランへと戻った。久しぶりのラフォン城、そして二人の新居となるはずだった離れの部屋。

 アーネストがオレリアを連れてダスティンたちの前に顔を出すと、デンスがオレリアの両手を力強く握りしめ「よかった、よかった」と泣き出した。

 もちろん、それに呆れたのはダスティンであるが、アーネストはぴしゃりとデンスの手をはねのけた。

「アーネスト。しばらく見ないうちに、器量の狭い男になったな」
「涙もろくなった族長だけには言われたくありませんね。いつまでオレリアに、義父ちちと呼ばせるつもりですか」
「ふん。そんなの、一生に決まっているだろうが」

 デンスとアーネストがにらみ合っている様子を、オレリアは隣でハラハラと見守っていたが、マルガレットに手を引かれて彼らに知られぬようにそこから離れる。

「あの人たちは放っておきましょう。それよりもあなたたちの話をいろいろと聞きたいのよ」

 マルガレットだけでなくシャトランも「そうよ」と頷くし、三人の子どもたちもオレリアの手を引きながら、サロンへ行こうと言う。

 子どもたちからすればアーネストは伯父にあたるが、これが初対面であるため、興味深く遠巻きに見ており、まだまだ警戒心も強そうである。

 アーネストとデンスのやりとりは続いていて、そこにダスティンも混ざって何がなんだかわけのわからない状態になっていた。オレリアは後ろ髪が引かれる思いをしながらも、子どもたちの誘いにのることにした。

 そうやって、感動の再会を果たしたものの、すぐに感動が薄れたのは、記念式典の準備に追われたからだろう。

 食事の最終確認やら、式典の手順などを儀典長と共に見直しをし、オレリアがどの場で通訳に入るのかなども、細かく決められた。

 さらにオレリアのドレスもああでもないこうでもないと、マルガレットが誰よりも気合いを入れていた。

 慌ただしく準備がすすみ、式典当日がやってくる。

 数日前からラフォン城入りする各国の代表を迎えるために手伝いも募って、なんとかそれらしい形になった。ハバリー国内からも、それぞれの族長たちが集まり、閑散としていたラフォン城が一気に賑やかになる。

 式典が終わって、そのまま華やかなパーティーへとうつる。
 真っ白い軍服姿のアーネストの姿を見るのは、オレリアも結婚式以来である。
 そんなオレリアのドレスは、夜空のような紺色のドレスであった。フリルやリボンはついていないものの、スカート部分にはギャザーがよってボリュームがある。その分、上半身は身体のラインを強調しており、いつもどこか子どもっぽさを感じた彼女とは、真逆の印象を受けた。

「クワイン夫人」

 ダスティンたちについて通訳をしていたオレリアに声をかけたのは、トラゴス国王であった。あの父親に似ているなと、感じたことはそれだけだった。

「君は今、幸せか?」
「はい」

 オレリアが満面の笑みで答えると、トラゴス国王も満足そうに微笑んだ。
 向こうも言いたいことはたくさんあるのだろう。機会があれば、対話の場を設けてみるのも悪くはないのかもしれない。

 アーネストがシーニー国の国王と話をしている様子が見えた。シーニー国もオレリアにとっては縁のある国だ。今ではトラゴス国からの援助も受け、すっかりと暮らしはよくなったと聞いている。
 ハバリー国の十五周年記念式典であったのに、まるで大陸内の七つの国が一つになったような、そんな一日であった。




感想 49

あなたにおすすめの小説

年下で可愛い旦那様は、実は独占欲強めでした

由香
恋愛
政略結婚で嫁いだ相手は―― 年下で、可愛くて、なぜか距離が近すぎる旦那様でした。 「ねえ、奥さん。もうちょっと近く来て?」 人懐っこく甘えてくるくせに、他の男が話しかけただけで不機嫌になる彼。 最初は“かわいい弟みたい”と思っていたのに―― 「俺、もう子供じゃないよ。……ちゃんと男として見て」 不意に見せる大人の顔と、独占欲に心が揺れていく。 これは、年下旦那様にじわじわ包囲されて、気づいたら溺愛されていた話。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

俺様上司に今宵も激しく求められる。

藤白ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

王太子に「戦友としか思えない」と言われたので、婚約を解消しました

明衣令央
恋愛
婚約者である王太子ヘンリーから「君のことは戦友としか思えない」と告げられた、公爵令嬢アリスティア。 十年以上の王妃教育を積んできた彼女は、静かに婚約解消を受け入れる。 一年後、幸せな結婚を迎えた彼女にとって、ヘンリーのその後は――もうどうでもいいことだった。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。