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エピローグ(1)
ハバリー国の十五周年記念式典には、大陸内の他の六つの国からも代表が集まる。
オレリアはアーネストと共に式典へ参加するため、その一か月前には首都サランへと戻った。久しぶりのラフォン城、そして二人の新居となるはずだった離れの部屋。
アーネストがオレリアを連れてダスティンたちの前に顔を出すと、デンスがオレリアの両手を力強く握りしめ「よかった、よかった」と泣き出した。
もちろん、それに呆れたのはダスティンであるが、アーネストはぴしゃりとデンスの手をはねのけた。
「アーネスト。しばらく見ないうちに、器量の狭い男になったな」
「涙もろくなった族長だけには言われたくありませんね。いつまでオレリアに、義父と呼ばせるつもりですか」
「ふん。そんなの、一生に決まっているだろうが」
デンスとアーネストがにらみ合っている様子を、オレリアは隣でハラハラと見守っていたが、マルガレットに手を引かれて彼らに知られぬようにそこから離れる。
「あの人たちは放っておきましょう。それよりもあなたたちの話をいろいろと聞きたいのよ」
マルガレットだけでなくシャトランも「そうよ」と頷くし、三人の子どもたちもオレリアの手を引きながら、サロンへ行こうと言う。
子どもたちからすればアーネストは伯父にあたるが、これが初対面であるため、興味深く遠巻きに見ており、まだまだ警戒心も強そうである。
アーネストとデンスのやりとりは続いていて、そこにダスティンも混ざって何がなんだかわけのわからない状態になっていた。オレリアは後ろ髪が引かれる思いをしながらも、子どもたちの誘いにのることにした。
そうやって、感動の再会を果たしたものの、すぐに感動が薄れたのは、記念式典の準備に追われたからだろう。
食事の最終確認やら、式典の手順などを儀典長と共に見直しをし、オレリアがどの場で通訳に入るのかなども、細かく決められた。
さらにオレリアのドレスもああでもないこうでもないと、マルガレットが誰よりも気合いを入れていた。
慌ただしく準備がすすみ、式典当日がやってくる。
数日前からラフォン城入りする各国の代表を迎えるために手伝いも募って、なんとかそれらしい形になった。ハバリー国内からも、それぞれの族長たちが集まり、閑散としていたラフォン城が一気に賑やかになる。
式典が終わって、そのまま華やかなパーティーへとうつる。
真っ白い軍服姿のアーネストの姿を見るのは、オレリアも結婚式以来である。
そんなオレリアのドレスは、夜空のような紺色のドレスであった。フリルやリボンはついていないものの、スカート部分にはギャザーがよってボリュームがある。その分、上半身は身体のラインを強調しており、いつもどこか子どもっぽさを感じた彼女とは、真逆の印象を受けた。
「クワイン夫人」
ダスティンたちについて通訳をしていたオレリアに声をかけたのは、トラゴス国王であった。あの父親に似ているなと、感じたことはそれだけだった。
「君は今、幸せか?」
「はい」
オレリアが満面の笑みで答えると、トラゴス国王も満足そうに微笑んだ。
向こうも言いたいことはたくさんあるのだろう。機会があれば、対話の場を設けてみるのも悪くはないのかもしれない。
アーネストがシーニー国の国王と話をしている様子が見えた。シーニー国もオレリアにとっては縁のある国だ。今ではトラゴス国からの援助も受け、すっかりと暮らしはよくなったと聞いている。
ハバリー国の十五周年記念式典であったのに、まるで大陸内の七つの国が一つになったような、そんな一日であった。
オレリアはアーネストと共に式典へ参加するため、その一か月前には首都サランへと戻った。久しぶりのラフォン城、そして二人の新居となるはずだった離れの部屋。
アーネストがオレリアを連れてダスティンたちの前に顔を出すと、デンスがオレリアの両手を力強く握りしめ「よかった、よかった」と泣き出した。
もちろん、それに呆れたのはダスティンであるが、アーネストはぴしゃりとデンスの手をはねのけた。
「アーネスト。しばらく見ないうちに、器量の狭い男になったな」
「涙もろくなった族長だけには言われたくありませんね。いつまでオレリアに、義父と呼ばせるつもりですか」
「ふん。そんなの、一生に決まっているだろうが」
デンスとアーネストがにらみ合っている様子を、オレリアは隣でハラハラと見守っていたが、マルガレットに手を引かれて彼らに知られぬようにそこから離れる。
「あの人たちは放っておきましょう。それよりもあなたたちの話をいろいろと聞きたいのよ」
マルガレットだけでなくシャトランも「そうよ」と頷くし、三人の子どもたちもオレリアの手を引きながら、サロンへ行こうと言う。
子どもたちからすればアーネストは伯父にあたるが、これが初対面であるため、興味深く遠巻きに見ており、まだまだ警戒心も強そうである。
アーネストとデンスのやりとりは続いていて、そこにダスティンも混ざって何がなんだかわけのわからない状態になっていた。オレリアは後ろ髪が引かれる思いをしながらも、子どもたちの誘いにのることにした。
そうやって、感動の再会を果たしたものの、すぐに感動が薄れたのは、記念式典の準備に追われたからだろう。
食事の最終確認やら、式典の手順などを儀典長と共に見直しをし、オレリアがどの場で通訳に入るのかなども、細かく決められた。
さらにオレリアのドレスもああでもないこうでもないと、マルガレットが誰よりも気合いを入れていた。
慌ただしく準備がすすみ、式典当日がやってくる。
数日前からラフォン城入りする各国の代表を迎えるために手伝いも募って、なんとかそれらしい形になった。ハバリー国内からも、それぞれの族長たちが集まり、閑散としていたラフォン城が一気に賑やかになる。
式典が終わって、そのまま華やかなパーティーへとうつる。
真っ白い軍服姿のアーネストの姿を見るのは、オレリアも結婚式以来である。
そんなオレリアのドレスは、夜空のような紺色のドレスであった。フリルやリボンはついていないものの、スカート部分にはギャザーがよってボリュームがある。その分、上半身は身体のラインを強調しており、いつもどこか子どもっぽさを感じた彼女とは、真逆の印象を受けた。
「クワイン夫人」
ダスティンたちについて通訳をしていたオレリアに声をかけたのは、トラゴス国王であった。あの父親に似ているなと、感じたことはそれだけだった。
「君は今、幸せか?」
「はい」
オレリアが満面の笑みで答えると、トラゴス国王も満足そうに微笑んだ。
向こうも言いたいことはたくさんあるのだろう。機会があれば、対話の場を設けてみるのも悪くはないのかもしれない。
アーネストがシーニー国の国王と話をしている様子が見えた。シーニー国もオレリアにとっては縁のある国だ。今ではトラゴス国からの援助も受け、すっかりと暮らしはよくなったと聞いている。
ハバリー国の十五周年記念式典であったのに、まるで大陸内の七つの国が一つになったような、そんな一日であった。
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