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第八章(9)
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以前は高貴なる血筋には神聖力が宿りやすいと思われていたようですが……。
そして大聖堂の秘密が漏れないようにと、聖騎士によってここを守らせるのです。
ファデル神に祈りを捧げたい民を受け入れながらも、彼らには大聖堂の深部までは見せることはありません。
そして彼らがファデル神によって救われたと思ったなら、大聖堂に多額の寄付金を納めるのです。
その寄付金を搾り取るために、わたくしも神聖力を使ったことがあります。
枢機卿らに言われて仕方なく……だなんて、言い訳にもなりませんね。
ですが、わたくしたちは教皇や枢機卿らに逆らえないのです。
わたくしは、魔石がないと生きていけません。十三歳の誕生日会で食べたお菓子に交ぜられていたのが魔石です。
その魔石によって、身体に神聖力が宿りました。
そこから定期的に魔石を食べて生きています。
魔石を食べなければ生きていけない身体になってしまったのです。
魔石の効果が切れると、激しい痛みに襲われます。その後、待っているのは死とも言われました。
大聖堂の地下の奥には、そうやって死を迎えた聖女や巫女たちの遺体が棺に納められております。
魔石の摂取を拒んだ彼女たちの遺体です。
それをわたくしに見せ、教皇らは脅すのです。
死してもなお、こうやって大聖堂に囚われてしまうのかと絶望しました。
となれば、彼らが死ぬまで生きてやると、そう決意したのもそのときです。
ですが、彼らから魔石をもらうために、わたくしは身体を差し出す必要がありました。
こんなに穢れたわたくしを、癒してくれたのがカリノです。
あなたとここで話をするときだけは、聖女ではないわたくしに戻れたような気がしました。
カリノはわたくしを姉だと言ってくれましたね。
その言葉が、どれだけわたくしを救ったか、あなたにはわからないでしょう。
そしてキアロ――。
彼は、わたくしを守るために専属の護衛に名乗り出てくれましたが、わたくしはそれを拒みました。
専属の護衛は、聖女の一番近くにいる代わりに、男性としての機能を奪われてしまうのです。
キアロはそれでもいいと言ったのですが、やはり、わたくし自身がそれを許すことができませんでした。
キアロには普通に幸せになってもらいたかったのです。
こんな腐った大聖堂にいつまでも捕らわれてほしくない。
そう思っていたのに、キアロも同じように思っていたようでした。
キアロは、わたくしに一緒に逃げようと言ってくださいました。
ですが、わたくしは魔石がないと生きていけない身体。そして、何よりも穢れています。
今、わたくしのお腹にはその穢れの証が宿っていることがわかりました。
わたくしだって、心のどこかではキアロと一緒になれる将来を夢みていました。
ですが、もう――…………。
カリノ、わたくしと出会ってくれてありがとう。
そして、キアロと出会わせてくれてありがとう。
あなたには心から感謝いたします。
どうかあなただけは幸せになってください。
あなたのことはわたくしの兄、グラニト国の王太子、ソティルに頼んであります。
そうですね。神聖力によって、わたくしは兄と連絡を取れるようになったのです。
わたくしの言葉が、兄に届くようになった。それだけは感謝しなければなりませんね。
ですから、わたくしの死。それはグラニト国がファーデン国へ攻め入る合図です――。
――そこで、魔道具はぽんと白い煙と共に消え去った。
そして大聖堂の秘密が漏れないようにと、聖騎士によってここを守らせるのです。
ファデル神に祈りを捧げたい民を受け入れながらも、彼らには大聖堂の深部までは見せることはありません。
そして彼らがファデル神によって救われたと思ったなら、大聖堂に多額の寄付金を納めるのです。
その寄付金を搾り取るために、わたくしも神聖力を使ったことがあります。
枢機卿らに言われて仕方なく……だなんて、言い訳にもなりませんね。
ですが、わたくしたちは教皇や枢機卿らに逆らえないのです。
わたくしは、魔石がないと生きていけません。十三歳の誕生日会で食べたお菓子に交ぜられていたのが魔石です。
その魔石によって、身体に神聖力が宿りました。
そこから定期的に魔石を食べて生きています。
魔石を食べなければ生きていけない身体になってしまったのです。
魔石の効果が切れると、激しい痛みに襲われます。その後、待っているのは死とも言われました。
大聖堂の地下の奥には、そうやって死を迎えた聖女や巫女たちの遺体が棺に納められております。
魔石の摂取を拒んだ彼女たちの遺体です。
それをわたくしに見せ、教皇らは脅すのです。
死してもなお、こうやって大聖堂に囚われてしまうのかと絶望しました。
となれば、彼らが死ぬまで生きてやると、そう決意したのもそのときです。
ですが、彼らから魔石をもらうために、わたくしは身体を差し出す必要がありました。
こんなに穢れたわたくしを、癒してくれたのがカリノです。
あなたとここで話をするときだけは、聖女ではないわたくしに戻れたような気がしました。
カリノはわたくしを姉だと言ってくれましたね。
その言葉が、どれだけわたくしを救ったか、あなたにはわからないでしょう。
そしてキアロ――。
彼は、わたくしを守るために専属の護衛に名乗り出てくれましたが、わたくしはそれを拒みました。
専属の護衛は、聖女の一番近くにいる代わりに、男性としての機能を奪われてしまうのです。
キアロはそれでもいいと言ったのですが、やはり、わたくし自身がそれを許すことができませんでした。
キアロには普通に幸せになってもらいたかったのです。
こんな腐った大聖堂にいつまでも捕らわれてほしくない。
そう思っていたのに、キアロも同じように思っていたようでした。
キアロは、わたくしに一緒に逃げようと言ってくださいました。
ですが、わたくしは魔石がないと生きていけない身体。そして、何よりも穢れています。
今、わたくしのお腹にはその穢れの証が宿っていることがわかりました。
わたくしだって、心のどこかではキアロと一緒になれる将来を夢みていました。
ですが、もう――…………。
カリノ、わたくしと出会ってくれてありがとう。
そして、キアロと出会わせてくれてありがとう。
あなたには心から感謝いたします。
どうかあなただけは幸せになってください。
あなたのことはわたくしの兄、グラニト国の王太子、ソティルに頼んであります。
そうですね。神聖力によって、わたくしは兄と連絡を取れるようになったのです。
わたくしの言葉が、兄に届くようになった。それだけは感謝しなければなりませんね。
ですから、わたくしの死。それはグラニト国がファーデン国へ攻め入る合図です――。
――そこで、魔道具はぽんと白い煙と共に消え去った。
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