もふもふ好きにはたまらない世界でオレだけのもふもふを見つけるよ。

12 初デートだよ

　デートの日、朝早くから髪を整えに行って、セットまでしてもらった。

　服のお店が開く時間にエルゼさんに付き合ってもらって、服を買った。

　白いセーターとショートパンツ。膝上のタイツと靴底の厚いブーツ。膝ちょっと下丈のコートとマフラー、手袋。

　お店の店員さんとエルゼさんが盛り上がっていて、ショートパンツは嫌だって言ったのに、コートを脱いだ時に見える膝上から太もものライン！　とか言って、押し切られちゃった。

　ショートパンツなんて子どもっぽいと思うんだけど。

　お昼前って約束だから、店で待っていたら、そんなに待つことなくマイロさんが来てくれた。

　黒いコートとスーツの足元が見える。なんだかすごく大人で格好良い。

　姿を見ただけでぽーってなっちゃって。エスコートされるまま、店の向かいに停めてあった車に乗った。

「ユート、ありがとう。とても楽しみにしていたよ」

　なんて言ってくれて、もうドキドキして、声も出せなくて、うんって頷いた。

　車の中も黒で統一されていて、ゆったりした音楽が流れている。緑みたいな香りがしていて、男の人の車だなって何となく思った。

「ごはん食べに行こうか。好き嫌いある？」

　それにも答えられず、ふるふるって首を振った。

　そっと胸を押さえる。
　車ではコートは脱がない。食事に行った時、効果的に脱ぐのよって、服の店員さんとエルゼさんが言っていたけど、良くわからない。とりあえずコートを着たまま乗ったけど、これで良かったの？　わからない。

　でもマイロさんもコートを着てる。でも、さっき乗ってすぐ、車内温度を下げたと思うんだよ。これも気遣いなのかな？　オレがコートを脱がなかったから、マイロさんも脱がなかった？　だったら大人ってすごいと思う。マイロさんがすごいのか。

「初めてのデートだって言っていたから、デートっぽいデートをしようか」

　こくこくって頷く。

　デートっぽいデートってなに？
　ミルルは、最初のデートはどこに行ったって言ってた？　映画だったかな？　遊園地？　公園だったかも。

「ここだよ。駐車場に入るね」

　車に乗って30分くらいだから、そんなに遠くは行っていないけど、初めて来る場所だった。

　大きな川沿いにあるレストラン。河川敷に遊歩道があって、花壇が連なっている。季節が違えば、色とりどりの花が咲いていたんだと思う。

「行こうか」

　助手席のドアを開けてくれて、手を貸してくれて降りた。ホント、自分がどう行動したら良いのかわからなくて、これで良いのかな？　変じゃないかな？　ってドキドキしてる。

　手を繋いだまま歩き出すから、びっくりした。

　手、繋いでる。
　オレは手袋してるし、マイロさんも革手袋をしているから、布越しなんだけど、でも繋いでる、歩調を合わせてくれてるって、少し後ろを歩いていて、背中からの横顔を見て、うわーってなった。

　なのにオレの方を見て、ふって笑ってくれたから、ドキドキしすぎて、鎖骨の辺りがキュッてする。

　もうお店に入る前にドキドキいっぱいで。どうしよう、倒れちゃったりしないよね？