獣人カフェで捕まりました

サクラギ

文字の大きさ
21 / 112

21 お勉強会

しおりを挟む
 そりゃあね、教員免許は持ってるよ。いろんな資格もあるけど、幼児を見る資格とは違うと思うけど。

 図書館でユウとグランに会ってから、なぜか図書館の一階に大きなテーブルが持ち込まれていて、小さな教室状態になっている。国語と算数を日本語で教えている。給食っぽく軽い昼食が運ばれて来て、ホント、小学校と幼稚園の先生気分だ。トイレまで付き合うんだ。獣人の子は可愛いけど。そりゃあハーツがいなければ暇なんだけど。

「僕ら夏休みで領地からこのホテルに遊びに来ているんだよ」

 人的に言うと6年生のルカが言う。一番年上の子だ。

「ハーツは子どもがいないから、ここにいるのは珍しいんだよ」

「ハーツこわい」

 ユウが言う。そうしたら焦ったグランがユウの口を押さえている。

「そんな事を言ってヒロイがハーツをきらいになったらどうするの? ハーツにおこられるよ」

 小さな声が聞こえてしまった。ここは良くも悪くも声が響く。思わず笑ってしまった。

「大丈夫だよ、グラン、ハーツは優しいよ」

 そう言うとユウがえ~と言う。

「そんなに怖いの?」

「ハーツ、嫌だって言っても肩に乗せて来るし、苦しいって言っても離してくれない」

 ユウが不機嫌になる。思わず笑いそうになったのを留める。

「そっか、それはハーツが悪いね」

「ユウのお父さんはハーツと仲良しだからね。ユウを可愛がっているんだよ」

 ルカが教えてくれた。

「みんなのお父さんは兄弟とか親類とかそんな感じなの?」

「いろいろ。でも仲良しだよ。良く飲みに行ったり遊んだりしてる」

 なるほど、家族ぐるみの付き合いって事か。領地が同じなら学生の頃の友人だとも考えられる。でなければ紘伊に子どもを預けようとは思わないだろうし。

「おやすみはいつまで?」

「あと10日くらいだけど、もうすぐ領地の家に帰るよ」

「そっか、じゃあ、また領地で会えるのかな?」

「ハーツは知らない。いつもいないよ?」

「領地に帰らないの?」

 てっきりハーツが領主だと思っていた。この子達にハーツの事を聞くのは反則だろうか。

「ハーツはモテるからね~って母様が言ってる」

 グランがまたユウの口を押さえている。

「知ってるから大丈夫だよ、グラン」

「仕方ないよ、獅子族は元々モテる種族だからね。ハーツに選ばれたヒロイはすごいんだよ? 良かったね、ヒロイ」

 ルカに慰められる。獣人の美の基準は分からないけど、ハーツがモテるのは聞かなくても分かる。いろんな所に恋人がいても驚かない。

「良かったね、ヒロイ」

 ユウがルカの口まねをする。可愛いけど子どもは残酷だ。本当は選ばれていないんだよ? いっ時の気まぐれなんだよ? そんな事を子どもに言えない。重い何かが腹の奥に溜まる。でも覚悟のうえだ。子供たちとの時間も楽しい。美味しいお菓子を食べながら、勉強を見てあげられる。そう思えばこの時間が尊く思えた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

処理中です...