獣人カフェで捕まりました

サクラギ

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25 獣人国

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 いっぱい愛して貰った後の微睡んだ気分が好きだ。背中から抱きしめられて、胸に回る腕が好きだ。体勢を変えて胸に鼻先を埋めるのが一番好きだ。

「ハーツ先生、獣人国の地図が見たいです」

 昼から抱き合って、軽食を食べてまたして、夜の浅いうちから眠りについて、朝の日差しが出る前に話している。

「地図は図書館にしかないな」

「では口頭で教えて下さい」

 抱きしめられてつむじにキスされる。

「国の中央は自由区でいろんな種族が共存している。王城は中央区の北寄り。王城を中心に放射線状に道が伸びて街が造られ、高い壁が覆っている。大きな地区は東西南北を守っている。西を守るのが我が獅子族の領地だ」

「大陸の西」

「その向こうは砂漠が広がっていて、その向こうは海だ。大陸に住まない遊牧民族や海の中の島に住む民族もいる」

 ハーツの腕に包まれて、声を直に聞くのが好きだ。毛を指先でクルクルすると怒られる。怒られるのも好きでわざとしてしまう。

「東は狼族、北は熊族、南は竜族——」

「待って、架空の生物が入ったけど、竜っているの?」

「浮気か?」

「いやいやいや、浮気って! 違うよ、唯一見た事のない生物だから、竜って」

「トカゲの親戚だろ」

 そういう認識ですか。良いですけど。どうせ常識が違うし。

「竜族にも友人がいる。ヤツとは割と仲が良いよ。嫌いなヤツが一緒だと気が合う」

 ああ、なんか悪巧みの顔つき。楽しそうだけど。

「東西南北の間に小中いろんな領地がある。そこらは潰されたり、広がったり安定していない。覚える必要はないだろう」

「小動物の領地はないの?」

「ある時もある。こう、たまに頭のいい個体が生まれる時がある。そいつが活躍して領地が出来たりする。歴史上に記録がある。その程度だ。そのうち力が強い者に奪われる。その繰り返しだ」

「虎族もいるよね。なぜ獅子族が西を?」

「種族の性質だろう。虎族は個々に動く事が多い。獅子族は群を作る。自ずと増える。人族に好感を持っている」

 なるほど。種族の性質の違いと言われたら納得した。

「獅子の領地に、別種族は住んでいない?」

「いる。従者はたいてい別種族だ。草食系が多い。今は人化する者の方が多くいる。種族で差別されるからだ。獣人同士だと匂いで分かるが、人にはわからないだろ?」

 それはそうだ。あの爬虫類だって襲われるまで気づけなかった。匂いで分かるならすぐに逃げられた。

「爬虫類でも匂いがあるの?」

 言ったらぎゅっと抱きしめられた。

「あいつらはヘドロの匂いがする」

 吐き捨てるように言った。とても怒っている。思い出させて悪かった。なだめるように鼻先を引き寄せてキスをした。
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