獣人カフェで捕まりました

サクラギ

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42 迎え

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 馬にも限界がある。各領を繋ぐ街道の宿場町で馬を変え、休む間もなく走る。ハーツは眠りもせず昼夜駆ける。紘伊はハーツの腕に守られて眠れるし、体の向きを変えてもらって、何とか馬上に居続けられている。

 兵士はハーツに付いて来れない。最後にはハーツだけになって、ハーツは剣をふるいながら、ヒロイを守って領地を目指していた。

 空気が乾いて行く。日差しが強くなって行く。

 2日続けて駆けられるハーツの体力のすごさ。何度も馬を替えて、立ち止まるたびに襲いに来る獣人がいて、それでもハーツは変わらずに紘伊を守り抜く。

「ハーツェリンド様!」

 疲れて眠っていた耳に声が届く。獣人語だったけど名前は聞き取れる。目を開ければ獅子軍が列を成してハーツを待っていた。

「もうすぐ領地へ入る」

 獅子軍に迎え入れられ、用意されていた馬車に乗り込んだ。周囲を兵士が囲んで警戒してくれている。

「さすがに疲れた」

 そう言って馬車の座席に寝転んだハーツをすごいと思いながらも可愛いと思う。

「ありがとうハーツ、格好良かった」

 床に膝を付いてハーツにキスを強請る。後頭部を引き寄せられて、深くキスをした。

「少し眠る。そばに居ろ」

 引き寄せられて体の上に乗せられた。ハーツの胸に頬を付けて、男臭い汗の匂いと獣毛の湿った匂いを堪能する。ハーツの息遣いで上下するのを楽しんでいたら夢の中へ誘われた。

「仲が良いのは良いが、そろそろ降りてくれないか?」

 声が聞こえて驚いた。見ればキースが呆れ顔で馬車内を覗いている。紘伊は驚いてハーツの上から降りると、ハーツは欠伸をしながら起き上がる。

「危機感の欠片もないな」

 キースが手を貸してくれて馬車を降りた。周りに獣人がいっぱいいる。様々な容姿の獅子たちだ。

「ヒロイ、いらっしゃい」

 足元に子どもが駆けて来る。ユウとグランだ。

「ありがとうユウ、グラン」

 周りから盛大な声が上がる。獣人語だから分からないけど、歓迎されているのは分かった。馬車からハーツが降りて来て、キースとハグして何かを言い合っている。仲が良さそうだ。

「ひとまず泊まる場所に案内する。領主が戻ったら報告に行く事になる。それまで休息だ」

 ハーツに肩を抱かれて歩く。周りからの微笑ましいという空気感が恥ずかしい。

「ここは? ハーツの家?」

 すごく広いお屋敷が目の前にある。馬車が停まったのは、中央にモニュメントがあるロータリーで、建物の玄関前だった。

「役所や軍施設が集まっている場所だな。落ち着くまでは身の安全を優先させる。悪いな、ヒロイ。自由はもう少し待って欲しい」

「良いよ、それよりもシャワー浴びたい。ここは暑いね。それに乾いてる。赤土の砂漠も見てみたいな」

 空に薄らと幕が掛かっているように見えるのは、砂が飛んでいるからだろうか。日差しの熱が肌に刺さる。地面の熱がゆらゆらと風景を弛ませている。ここが獅子の領地、ウェルズ。ハーツの故郷だ。
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