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48 熊の領主
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「面倒ごとに巻き込まれて大変だな」
舞台の上から声が降って来る。周りから笑いが起こる。びっくりして左右を確認してしまった。
「俺は別にフォルツ王に不満はないからな。どちらかと言うと前王を糾弾した側だ。従う義理はないのだが」
紘伊は俯いて聞いている。前王とは竜族長の事だ。生きている間に王が変わっていると言う事は、4大種族のうち最低でも2種族が退位を要求した事になる。
「好奇心に負けたんだろ?」
どこからか声が上がる。それに対するのは周囲の爆笑だ。
「純粋な人だと聞いたが」
紘伊に問いかけている。どうなんだという好奇の視線が向かっている。
「はい」
頷いて答えれば周囲からおおーっと言われる。
「だいたいハーツェリンドが人を掠奪するとか、ありえねえからな」
ハーツの名が出る。
「ヒロイからハーツの獅子臭い匂いがぷんぷんして臭いったらねえわ。警戒の匂いまでなすりつけられているだろう? これでヒロイの方から拒んでるなど思えもしねえのにな」
笑いが起こる。どういう事だ? ここではハーツとの仲が受け入れられているのだろうか。
「せっかくここまで来たんだ、10日間遊んで暮らせ。家は用意してやる」
シッシと追い払う仕草をされてしまった。領主はもう席を立ち、舞台から降りて兵士たちの間に混じって行く。
「純粋な人なんだよな? 触っても良いか?」
俺も俺も! と、紘伊の前に列が出来る。手を差し出すと握手会が始まった。なんだろう? これ。アイドルになった気分だ。でも強そうなオスばかりだけど。
ハーツ様とはどこで会った? とか、仲間は連れて来ていないのか? 誰か紹介して欲しい。家族に会って欲しいなど、いろんな事を言って、握手をして去って行く。いったい何なんだろう。本気で落ち込んで、傷つけられる覚悟で来たのに。
「竜族にバレないようにしろ? 戻ったらせいぜい虐められましたって顔をしろよ?」
最後に領主とも握手をした。その後、人が顔を出す。普通に熊族と会話をして笑い合って、家族なのだろう。一緒に部屋を出て行く。
「どういうことだ?」
思わず声に出していた。
「不思議か?」
「はい」
領主の言葉に頷く。人は獣人を恐れて側にさえ近づけないのではないのか。あんなに仲良く出来る人がいるのなら、紘伊なんて別に珍しくもない。
「あれは熊族と人の混血だよ。生まれた時から獣人と一緒に育っているから恐れない」
「獣人から人が生まれるのですか?」
紘伊がそう言うと、領主が笑う。
「違う違う、人から獣人と人が生まれるんだよ」
驚いた。人が産むのは獣人だけだと思っていた。でも獅子族からそんな話を聞いた事がない。
「知りませんでした」
秘密にされていたのだろうか。まだ何か怖い秘密があるのだろうか。
「そう不安そうな顔をするな。気になるのなら聞けば良い」
領主が笑って視線を遠くする。
見間違いかと思った。でも見た瞬間駆け出していた。胸に飛びついて抱きしめる。
「ハーツ、ハーツ」
涙が出た。ずっと緊張していたから気が緩む。ハーツの肩に手を回して、足も胴に巻きつける。離れたくない。側にいたい。
舞台の上から声が降って来る。周りから笑いが起こる。びっくりして左右を確認してしまった。
「俺は別にフォルツ王に不満はないからな。どちらかと言うと前王を糾弾した側だ。従う義理はないのだが」
紘伊は俯いて聞いている。前王とは竜族長の事だ。生きている間に王が変わっていると言う事は、4大種族のうち最低でも2種族が退位を要求した事になる。
「好奇心に負けたんだろ?」
どこからか声が上がる。それに対するのは周囲の爆笑だ。
「純粋な人だと聞いたが」
紘伊に問いかけている。どうなんだという好奇の視線が向かっている。
「はい」
頷いて答えれば周囲からおおーっと言われる。
「だいたいハーツェリンドが人を掠奪するとか、ありえねえからな」
ハーツの名が出る。
「ヒロイからハーツの獅子臭い匂いがぷんぷんして臭いったらねえわ。警戒の匂いまでなすりつけられているだろう? これでヒロイの方から拒んでるなど思えもしねえのにな」
笑いが起こる。どういう事だ? ここではハーツとの仲が受け入れられているのだろうか。
「せっかくここまで来たんだ、10日間遊んで暮らせ。家は用意してやる」
シッシと追い払う仕草をされてしまった。領主はもう席を立ち、舞台から降りて兵士たちの間に混じって行く。
「純粋な人なんだよな? 触っても良いか?」
俺も俺も! と、紘伊の前に列が出来る。手を差し出すと握手会が始まった。なんだろう? これ。アイドルになった気分だ。でも強そうなオスばかりだけど。
ハーツ様とはどこで会った? とか、仲間は連れて来ていないのか? 誰か紹介して欲しい。家族に会って欲しいなど、いろんな事を言って、握手をして去って行く。いったい何なんだろう。本気で落ち込んで、傷つけられる覚悟で来たのに。
「竜族にバレないようにしろ? 戻ったらせいぜい虐められましたって顔をしろよ?」
最後に領主とも握手をした。その後、人が顔を出す。普通に熊族と会話をして笑い合って、家族なのだろう。一緒に部屋を出て行く。
「どういうことだ?」
思わず声に出していた。
「不思議か?」
「はい」
領主の言葉に頷く。人は獣人を恐れて側にさえ近づけないのではないのか。あんなに仲良く出来る人がいるのなら、紘伊なんて別に珍しくもない。
「あれは熊族と人の混血だよ。生まれた時から獣人と一緒に育っているから恐れない」
「獣人から人が生まれるのですか?」
紘伊がそう言うと、領主が笑う。
「違う違う、人から獣人と人が生まれるんだよ」
驚いた。人が産むのは獣人だけだと思っていた。でも獅子族からそんな話を聞いた事がない。
「知りませんでした」
秘密にされていたのだろうか。まだ何か怖い秘密があるのだろうか。
「そう不安そうな顔をするな。気になるのなら聞けば良い」
領主が笑って視線を遠くする。
見間違いかと思った。でも見た瞬間駆け出していた。胸に飛びついて抱きしめる。
「ハーツ、ハーツ」
涙が出た。ずっと緊張していたから気が緩む。ハーツの肩に手を回して、足も胴に巻きつける。離れたくない。側にいたい。
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