俺のモテ期がなんか思ってたのと違う

佐土原いづる

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28話

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「はい、これで終了です! 本番は何が起こるかわかりません、トラブルが起きないよう気を引き締めていきましょう」

おー!

音合わせを終えて、後は本番を待つばかりとなる。生徒のほとんどが体育館に入ることを考えるとかなり窮屈になることが予想される、ケガ人が出るのは避けたいな~。


時間が経ち12時になると、校内放送と共に体育館を開放する。2時間も前から開けるのは生徒の期待を煽る作戦でもある。しかし、ビッグイベントと言ってる割には装飾もセットも無し、あるのはライトとステージ中央に1本のマイク、これだけだ。

俺はステージ横の控室でユイ、会長、雛菊 鞠と共に待機していた。

「僕、買い出し行ってくるね♪ 執事喫茶の様子も見たいし」

「わかった」

「いってらっしゃい♪♪」

「は、はい!」

ユイが女の子に照れている、これはめずらしい光景だ。俺がユイと会ってからは初めてだと思う。

「がっかりしましたよね、こんな設備で」

「駆け出しの頃なんてもっとひどい時もあったし、そんなに気を遣わなくても大丈夫よ♪ マイク一本あれば十分よ!」

彼女の声から確かな自信が感じられる。今やトップスターの雛菊 鞠だが、それまでたくさんの経験をしてきたんだろう。そんな彼女からすれば、思春期の皆を楽しませることなんて朝飯前なのかもしれない。

「あと2時間暇なんだし、話し相手になってもらうからね!」

「わかりました!」

「会長さんも!」

「は、はひ!」

会長はさっきからずっと背筋がピンと張っている。普通そうだよなー、むしろ「お前はなんで普通に話せるんだよ」って感じだよね、自分でもそう思う。最初の出会いがあんな感じだからだと思う…たぶん。

それからしばらくの間雛菊 鞠と話した、というよりひたすら話を聞いていた。この前部屋に行った時はそんなことなかったんだけど、スターの彼女はとにかく舌が回る。更に買い出しから戻ったユイも加わって時間があっという間に過ぎていった。

「いよいよだな」

「えぇ」鞠

「うん♪」ユイ

会場のボルテージはマックスだ。期待、不安、不満、色んな声が聞こえる。無理やりスケジュールを削って、大々的に煽って、前代未聞なんだから。

会長は他の仕事があると言って体育館を離れている。何があってもこのライブは成功させなくてはならない…。

「どうしたの?あらた君。顔色悪いけど」
雛菊 鞠が俺の顔色を伺う。

「いや、緊張しちゃって…」

「ふふ、どうしてよ。私がライブするんだから、大丈夫に決まっているでしょ!」

「そうなんですけど、、。色んなことがあったから。これはただのライブじゃないんです」

「そういえば、誰かに仕組まれたんだっけ?」

「ま、まぁ………。色々あって」

何回色々あるんだよ、でもこの濃密な2週間の事がフラッシュバックするのを抑えられずにいた。

「いたっ!」突然頬をパシっと叩かれる

「ほら!元気出して!そして私を信じて、頼って、託しなさい! 私が全部まとめて吹っ飛ばしてあげる!」
顔を上げると雛菊 鞠が目をギラギラさせていた。本番前の、本気のになっている。

会長、ユイ、昇、生徒会の皆、放送部員、たくさんの人が協力してくれた。そしてやっとここまで来た。後はこの人に、雛菊 鞠に任せれば最高の形でフィナーレを飾ることができるという確信がある。肩の荷がズルズルと落ちていき軽くなるのがわかった。

「俺の、俺たちの思い、全部預けます…。だから、頼みます!!」

「まっかせなさーい♪」

俺の指示で体育館の電気を消し、ステージのみが照らされる。

ざわざわ…

「音源、お願いします!」


1曲目、「レディーゴー!」のイントロが流れ始める
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