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第一の世界
姉妹の時間ー4
しおりを挟む襲撃を受けた
妹が男達を倒した
別の男が現れて私が捕まった
妹が私を庇って刺された
そこから先の事は覚えていない
気がついたら私は実家の自室のベッドの上だった
「ーーー!!!お嬢様!目が覚めたのですね!誰か、奥様達にお知らせを!!」
メイド達の声が聞こえてぼーっとそちらを見る
ーー私何してたんだっけ………
「……そうだ。あの子!!!!」
可愛い妹の事を思い出し飛び起きる。
すると慌ててメイド達にもう一度ベッドに戻る様言われる
「だめよあの子の顔をちゃんと確認しなくちゃ!私、応急処置って得意じゃないからもしかしたらどこかに傷跡が残ってしまったかもしれないもの」
そう言うと先程から話していたメイドが酷く辛そうな顔をする
「あの、お嬢様……その」
メイドが口を開いて何かを言おうとした直後両親が到着したと他のメイドが伝えてきた
「ああサルティナ!目が覚めたのね!本当によかった」
「お前はもう1週間も眠っていたんだよ」
「母上、父上まで………」
2人は沢山の涙を流して泣いていた
私は1週間も眠っていたらしい
でもそうか
1週間寝ていたのか
なら妹はもう少し時間がかかるかもしれないな。かなり深い傷を負っていたはずだ。
ーーあれ?どんな傷を負ってたんだっけ
でも顔は見たいからお見舞いだけは行きたいな
そう思って両親に思っている事を伝える
すると2人は先程のメイドと同じ様に酷く辛そうな顔をする
どうしよう。もしかしたら応急処置が上手くいってなかったのだろうか
そんなに重傷なのだろうか
「もしかしてそんなに良くないのですか?」
不安になって聞いてみると母は手で顔を覆って泣き出してしまった
そして父がゆっくりと私の肩に両手を置き真剣な表情で私を見てくる
「?」
父の手はかすかに震えていてよくみると顔色もかなり悪い
「あの……?」
「サルティナ。落ち着いて聞くんだ。いいね?」
「はい」
「あの子は……お前の妹は、もう亡くなった。死んで龍神様の所へ向かったんだよ」
ーーは?
父は普段から余り冗談を言わない。
でもたまになら言う
今回もその『たまに』なのだろうか
だとしてもタイミングと内容をもう少し考えて欲しい
いくら父だとしてもこれは文句を言ってもいいだろう
しかしいくら声を出そうとしても喉が掠れて声が出ない
「!!!サルティナ、落ち着きなさい」
そう言って父が苦しそうな顔で私を見た後に強く抱きしめる
落ち着く?私は落ち着いている
ただ何故だか酷く目が回る
身体に力が入らず呼吸もしにくい
胃の辺りから何かがせり上がってくる感覚もする
「うっ……おえぇええ」
そうして私は胃液を口から吐き出し、そのまままた気を失った。
あの悪夢としか言えぬ日、可愛い娘達は変わり果てた様子で我が家へ帰ってきた
1人の男が肩に2人を担いでいる
慌てて家の者達が娘2人を男から受け取る
長女は特に目立った外傷は無さそうだが
目を見開いたまま虚ろな表情でブツブツと何か呟いている
そして次女の方は両手の肘から下がなく背中には大きな穴が空いている
一目みて既に息はないのだと悟る
ーー何があったのだ
これは全て私の見ている夢で、私は未だに夢の中なのではないのかと何度も考えたがどうやら夢であってはくれない様だ。
娘達を連れ帰ってきた男の顔を見る。
どこかで見た様な顔だが………
はたしてどこだったか
しかし今は娘達だ
男への感謝の言葉もそこそこに娘達への対応を指示する
せめて我が家へ滞在し礼をさせて欲しいと提案したが男は辞退。そのまま帰ってしまった。
その後とにかく医者に診せようとメイド達が長女と次女を引き離そうとすると
それまで大人しかった長女が半狂乱になりながら暴れたり等様々な事があったが
無事長女の診察と次女の葬儀が終わった
この世界では命が尽きるとその魂は龍神様の元へ招かれると言われている
そして魂を失った器は学園が管轄する全てを飲み込む穴へとその身を捧げ、再びこの世で生を受ける為この地への糧となるのだ
「はぁ………」
ーーまさか娘の葬儀を執行う事になろうとは
あれから妻もすっかり滅入ってしまい、屋敷の中では自然と出てきた『婚姻を断られた過激派の報復では』という考えから襲撃に怯えたメイド達の表情も暗い。
ーー 一体我が家はどうなってしまうと言うのか
妹の死から約1年
妹の死を認められずに私が死ねばよかったと心から思い、せめて妹を殺した人物達を見つけ出してやろうと躍起になった時期もあったがこんな小娘に出来る事などなくただただ生きていた。
しかし転機は訪れた
私の体調も安定したので予てより予定していた学園への入学。
部屋の隣人を見た時私は思わず久しく呼んでいない名を呼んだ
「エ…エリーゼ………」
美しい銀髪に色素の薄い瞳
そして整った顔立に華奢な身体
まさに妹に瓜二つだった
友人となり時を共に過ごす内にわかった事だが彼女は外見だけではなくさっぱりとした性格、よく動く表情、努力家。彼女の至る所に私は妹を見付けた
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儚げな第一印象とは違いかなりおかしな発言が多い彼女
湯気が立つのはこの学園や街を包んでいる泡のおかげだし
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