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第二の世界
焼き菓子
しおりを挟む「そろそろ終わりに致しましょう」
「んんー!!疲れた!」
「お疲れ様です」
「ありがとう。アリネスもね」
今日もお昼前までお茶会計画を頑張った。今からさくっとお昼を食べて、その後はスパルタアリネス先生の舞の授業だ。
ーーえ、鋭気を食事で養わなければ……!
頭を使ったからか、かなりお腹が空いた。
「お食事が終われば舞ですね」
「そうね」
「今日はまた新しい所をお教え致しましょう」
「……そ、そうね」
食事が終わり少しお腹を休ませてから舞の練習を開始する。
先程言っていたように新しい部分が始まりすぐに私はヒィヒィ言う事になった。
「ア……アリネス」
「何でしょうレイチェル様」
「ちょっと聞きたいんだけどね」
「はい」
「この舞……何番まであるの」
「そうですね。これは全部で5部です」
ーーあ!意外と少ない……!!
「そうなのね!」
「ええ。思ったよりも少ないでしょう?」
「ええ!」
私の返事を聞いたアリネスは優しく頷いた。
「ちなみに現在、1部の半分もいっておりません」
「え゛っ」
「まだまだ私がお教えできますねレイチェル様」
「ひー!」
口で綺麗な弧を描いて真顔で笑うアリネスが怖い
「必死に覚えて下さいね」
「はい……」
パン!
扇を閉じる音が1つ響く。そして床に倒れこむ私。
「レイチェル様、おやめくださいませ。その様に床へ倒れ込まれるものではありません」
「や……もう、ほんと……限界…足つる……」
ゼィゼィと息を切らしながら答えるとアリネスは少し肩を竦め「仕方ありませんね」と言って飲み物を持ってきてくれた。
程よい冷たさのレモネードだった。
「ぐあー!!生き返るー!!!」
「まあ、想定よりは進みましたし。良しとしましょう。本日はここまでです」
「はい!ありがとうございました!」
座ったまま背筋をピンと伸ばしてお辞儀をする。立とうと思ったが足に力が入らなかった。
「足……湯浴みの後マッサージ致しますね」
ーー見破られた……てゆーかちょっと笑われた・・
そして私はお湯の準備ができたと言われるまでレモネードをがぶ飲みし、ガクガクの足を引きずってお風呂に入る頃にはすっかりお腹がチャポチャポになっていた。
「あれね、危険だわ」
「はい?」
「運動後のあのレモネード、やばいわよ。もうね。すっかりやられたわ」
お腹をポンポンと叩きながら言うとアリネスは呆れたように笑う
「では、明日からは別の物をご用意致しますか?」
「ううん」
「では、本日と同じものを?」
「うん」
クスクスと笑い合いながら雑談をしていると、脱衣所の外から声がかかる
「この様な場所から申し訳ございません。レイチェル様、今よろしいでしょうか」
ーーこの声よく食事を持ってきてくれるあの使用人の子かな?
「ええ、大丈夫よ。何かしら」
「はい、実は7日後のお茶会でお出しする予定の焼き菓子などを料理人が作ったので確認を兼ねて試食して頂きたいと。しかしレイチェル様はこの後散策に参られますよね?いかが致しますか?」
「!」
ーー外で護衛騎士のみんなと食べればいいんじゃない?
「レイチェル様、また余りよくない事をお考えではありませんよね」
「……アリネスってさ、読心の能力でも持ってたりする?」
「いえ」
「あのう……」
「ああ、ごめんなさい。料理人の方に出来るものだけでいいから持ち運べる様に軽く包んで欲しいって伝えて貰えるかしら」
「かしこまりました」
「ありがとう。よろしくね」
「はい」
ーーよしよし。これで今日はみんなとお茶を……
するとこちらをじっと見つめるアリネスと目が合った
「不可抗力よねっ!味見はしないとだけど、散策もしたいもの。それに何人かに感想を聞くのも大切だもの」
そういうとアリネスは軽く鼻を抑えながら「ですね」とだけ言うと服を脱ぐのを手伝ってくれた。
ーーあ、どうせまた馬鹿だなとか思ってんのね
どこに鼻血ポイントがあるのかは理解出来ないがアリネスの事だ。放っておこう。
するとテキパキと作業を続けながらレイチェルが言う。
「一応聞いておきますが、お茶は何人分必要ですか?」
「6人分!」
「かしこまりました」
ーー楽しみっ
わくわくとした気持ちでお風呂に入り、上がってから軽くアリネスのマッサージを受けてアリネス作・散歩用ドレスに身を包む
「これ、本当に動きやすくていいわ。ありがとうアリネス」
「いえ。とんでもございません。しかし何度も同じドレスをお召しになるのもよろしくありませんね……」
「えーいいよ。これ気に入ってるもの」
「しかし」
「むしろこれを私の衣装というか、トレードマークにすればいいのよ」
ふふんと胸を張れば何故かまた鼻を抑えるアリネス
ーー少しも取り繕わなくなったな。いいけど。
「こんにちはレイチェル様」
ドアを開けるとワカウィーが居た。
「こんにちはワカウィー」
後ろには微笑むルル、嬉しそうにニコニコしながらワカウィーを見つめるナファリ、そのナファリを鬱陶しそうに横目で見つめる睨むウォレン。
ーーナファリは本当にワカウィーが好きなのね
そんなみんなと挨拶を済まして歩き出す。
「今日は前にみんなとお茶を飲んだあの場所へ行きたいの」
「かしこまりました」
歩きながら私が出した提案をすぐに承諾してくれるワカウィー。しかしルルが少し疑う様な目でこちらを見てくる
ーーあ、もうバレたかな
まあアリネスの持つ荷物を見れば何か言わずとも察するかもしれないが。
「レイチェル様……」
「不可抗力!今日のは不可抗力なの!ね、アリネス!」
ルルの言葉に対してアリネスに助けを求めるとまた口元を隠しながら「まあ、そんな所です」という微妙な返事が返ってきた。
ーーまあいっか。
前に通った道をかなり動きやすくなった服でサクサクと進みながら私は決意した
ーーこうやって少しずつ回数を増やしていくんだから!
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