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1年生1学期
5月1日(土)晴れ時々雨 ソフィアと藤原
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連休初日かつ5月初日。この日は文芸部で僕と岸本さんの歓迎会が開かれる。会場となるのは高校近くのファミレスで、午前11時に現地集合することになっていた。
僕が10分前に到着すると、そこには正式に部員となった時以来に見る先輩方がいた。こういうイベント系なら積極的に参加する人が多いのだろうか。
「産賀くん、お疲れ様」
「ああ、岸本さん。もう来てたんだね」
そんな中で岸本さんを見ると、何だかいつも通りで安心する。でも、今日はせっかくの機会だから他の先輩方とも交流すべきチャンスかもしれない。
「おや~ 後輩ちゃんたち、いつの間にか仲良くなってるね!」
そう言って僕と岸本さんのところに混ざって来たのは……確か部室で何回か会ったことがある先輩だ。ミーティングを盛り上げたり、質問攻めされた時も中心となって話したりしていた覚えがある。
「ん~? 何ジロジロ見てるの~?」
「あっ、いえ、その……」
「なーんて! ソフィアの顔、ちょっと彫が深く見えるんでしょ? ソフィアはクォーターだから、それ正解!」
本当は名前を覚えてなくて焦っていたけど、確かにやや明るい髪色とくっきりした顔立ちは、外国人っぽい感じはする。でも、最近は日本の芸能人でそういうくっきりした顔立ちの人が多いから言われないと気付かなかった。
「改めて自己紹介……って、もしかしてソフィアからは自己紹介してないかな? 2年の岬ソフィアです! 呼ぶときはソフィアの方で呼んで欲しいな!」
元気よく喋るソフィア先輩を見て、扉の前から聞こえた騒がしさはこの人から出ていたのかもと思った。
「ウーブ君に、岸本ちゃんだよね。今日は楽しもうね!」
「はい……やっぱりウーブなんですね」
「うん! ソフィアは元ネタ?はよくわかってないけど!」
そんな風にソフィア先輩に絡まれるうちに、他の先輩方が続々とやって来て、最終的に9人が集まった。その中の男子は僕を含めて3人で、1人は部室には来ないかもと言っていた新山先輩だ。
入店すると、一番大きなテーブル席に案内されて、僕と岸本さんは一応主役だからか真ん中に座らせられた。
全員が着席すると、森本先輩が音頭を取り始める。
「えー、今日は新入生の産賀くんと岸本ちゃんの歓迎会でーす。予算は我々が出すので二人は遠慮せずに食べてくださーい。とりあえずポテトとかみんな摘まめそうやつ頼みまーす」
森本先輩が言い終わると、みんな分かれてメニューを見始めた。僕はそのうちに右隣に座った新山先輩に話しかける。
「あのー……もう一人の男子って」
「ああ、こいつが藤原だよ」
新山先輩の右隣のやや髪の長くてほっそりとした男子が、残りの男子で来る可能性があると言われていた藤原先輩だった。
「藤原、この子が新入部員の産賀くん。貴重な男子の一人だよ」
「…………」
新山先輩の呼びかけに藤原先輩はこちらを見てペコリとお辞儀をした。それに対して僕が自己紹介込みで挨拶すると、聞き終わった藤原先輩は特に何も言わずに向き直ってしまった。
「まぁ、藤原はこんな感じで無口だけど、悪いやつじゃないから」
「そ、そうですか……」
男子で今後会う可能性のある人が、まさかの無口とは……どうコミュニケーションを取ればいいか困ったものだ。
それから料理が並び始めると、テーブルは騒がしさに包まれていた。家族で来てもこんな人数にはならないからこの騒がしさは慣れない感覚だ。
すると、新山先輩が僕に話しかける。
「産賀くん、席替わって貰っていい?」
「えっ? はい」
そう言われて席を替わると、新山先輩が絶賛他の先輩方に絡まれまくっている岸本さんに話しかける。
「岸本さんだったね、俺は……」
「あー 新やんがナンパしてるー!」
新山先輩はどうやら盛り上がっている方へ行きたかったようだ。しかし、これはチャンスかもしれない。今のうちに僕も藤原先輩との交流を――
「…………」
「…………」
駄目だ。無心にポテトを食べ続ける藤原先輩に話しかける勇気はない。元々コミュニケーションに自信があるわけじゃないから藤原先輩みたいなタイプ相手だと、本当にどう話せばいいかまるでわからない。
「ウーブ君にシュウ、盛り上がってる? って、あー! シュウったらポテトばっかり食べてー!」
そんな僕に助け舟を出してくれたのはソフィア先輩だった。
「もう、後輩ができたんだから、ちょっとは話さないとダメだよ」
「…………」
「ゴメンね、シュウはシャイだから……」
両極端のテンションだけど、シュウという新山先輩が使っていなかった呼び方からして、二人はそこそこの関係性があるようだ。
「ソフィア先輩と」
「わーお! いいね、ソフィア”先輩”って響き! どんどん言って!」
「はい、ソフィア先輩と藤原先輩は同じクラスだったりするんですか?」
「あー 学年はクラスは同じになったことない気がする……ないよね?」
「…………」
「ないって!」
ん? 今どうして会話が成立したんだ? 僕が見たところ藤原先輩は何の反応もしていないような気がしたのに。
「じゃあ、文芸部で知り合ったって感じですか」
「そうそう! 中学は違うし。ウーブ君は何中?」
「僕は南中です」
「南中は誰か知り合いいたかな~ シュウは西中だったよね?」
「…………」
「だよね~」
これはわからない僕の方がおかしいのだろうか。その後も僕はソフィア先輩と藤原先輩の不思議なやり取りを見ながら過ごすことになった。
「お疲れ様でしたー 解散ー」
1時間半ほどで終わった歓迎会は大いに盛り上がった。僕個人としてはもう少し他の先輩とも話してみたかってけど、ひとまず今日はソフィア先輩と……一応、藤原先輩とも知り合いになれたと思っておこう。
僕が10分前に到着すると、そこには正式に部員となった時以来に見る先輩方がいた。こういうイベント系なら積極的に参加する人が多いのだろうか。
「産賀くん、お疲れ様」
「ああ、岸本さん。もう来てたんだね」
そんな中で岸本さんを見ると、何だかいつも通りで安心する。でも、今日はせっかくの機会だから他の先輩方とも交流すべきチャンスかもしれない。
「おや~ 後輩ちゃんたち、いつの間にか仲良くなってるね!」
そう言って僕と岸本さんのところに混ざって来たのは……確か部室で何回か会ったことがある先輩だ。ミーティングを盛り上げたり、質問攻めされた時も中心となって話したりしていた覚えがある。
「ん~? 何ジロジロ見てるの~?」
「あっ、いえ、その……」
「なーんて! ソフィアの顔、ちょっと彫が深く見えるんでしょ? ソフィアはクォーターだから、それ正解!」
本当は名前を覚えてなくて焦っていたけど、確かにやや明るい髪色とくっきりした顔立ちは、外国人っぽい感じはする。でも、最近は日本の芸能人でそういうくっきりした顔立ちの人が多いから言われないと気付かなかった。
「改めて自己紹介……って、もしかしてソフィアからは自己紹介してないかな? 2年の岬ソフィアです! 呼ぶときはソフィアの方で呼んで欲しいな!」
元気よく喋るソフィア先輩を見て、扉の前から聞こえた騒がしさはこの人から出ていたのかもと思った。
「ウーブ君に、岸本ちゃんだよね。今日は楽しもうね!」
「はい……やっぱりウーブなんですね」
「うん! ソフィアは元ネタ?はよくわかってないけど!」
そんな風にソフィア先輩に絡まれるうちに、他の先輩方が続々とやって来て、最終的に9人が集まった。その中の男子は僕を含めて3人で、1人は部室には来ないかもと言っていた新山先輩だ。
入店すると、一番大きなテーブル席に案内されて、僕と岸本さんは一応主役だからか真ん中に座らせられた。
全員が着席すると、森本先輩が音頭を取り始める。
「えー、今日は新入生の産賀くんと岸本ちゃんの歓迎会でーす。予算は我々が出すので二人は遠慮せずに食べてくださーい。とりあえずポテトとかみんな摘まめそうやつ頼みまーす」
森本先輩が言い終わると、みんな分かれてメニューを見始めた。僕はそのうちに右隣に座った新山先輩に話しかける。
「あのー……もう一人の男子って」
「ああ、こいつが藤原だよ」
新山先輩の右隣のやや髪の長くてほっそりとした男子が、残りの男子で来る可能性があると言われていた藤原先輩だった。
「藤原、この子が新入部員の産賀くん。貴重な男子の一人だよ」
「…………」
新山先輩の呼びかけに藤原先輩はこちらを見てペコリとお辞儀をした。それに対して僕が自己紹介込みで挨拶すると、聞き終わった藤原先輩は特に何も言わずに向き直ってしまった。
「まぁ、藤原はこんな感じで無口だけど、悪いやつじゃないから」
「そ、そうですか……」
男子で今後会う可能性のある人が、まさかの無口とは……どうコミュニケーションを取ればいいか困ったものだ。
それから料理が並び始めると、テーブルは騒がしさに包まれていた。家族で来てもこんな人数にはならないからこの騒がしさは慣れない感覚だ。
すると、新山先輩が僕に話しかける。
「産賀くん、席替わって貰っていい?」
「えっ? はい」
そう言われて席を替わると、新山先輩が絶賛他の先輩方に絡まれまくっている岸本さんに話しかける。
「岸本さんだったね、俺は……」
「あー 新やんがナンパしてるー!」
新山先輩はどうやら盛り上がっている方へ行きたかったようだ。しかし、これはチャンスかもしれない。今のうちに僕も藤原先輩との交流を――
「…………」
「…………」
駄目だ。無心にポテトを食べ続ける藤原先輩に話しかける勇気はない。元々コミュニケーションに自信があるわけじゃないから藤原先輩みたいなタイプ相手だと、本当にどう話せばいいかまるでわからない。
「ウーブ君にシュウ、盛り上がってる? って、あー! シュウったらポテトばっかり食べてー!」
そんな僕に助け舟を出してくれたのはソフィア先輩だった。
「もう、後輩ができたんだから、ちょっとは話さないとダメだよ」
「…………」
「ゴメンね、シュウはシャイだから……」
両極端のテンションだけど、シュウという新山先輩が使っていなかった呼び方からして、二人はそこそこの関係性があるようだ。
「ソフィア先輩と」
「わーお! いいね、ソフィア”先輩”って響き! どんどん言って!」
「はい、ソフィア先輩と藤原先輩は同じクラスだったりするんですか?」
「あー 学年はクラスは同じになったことない気がする……ないよね?」
「…………」
「ないって!」
ん? 今どうして会話が成立したんだ? 僕が見たところ藤原先輩は何の反応もしていないような気がしたのに。
「じゃあ、文芸部で知り合ったって感じですか」
「そうそう! 中学は違うし。ウーブ君は何中?」
「僕は南中です」
「南中は誰か知り合いいたかな~ シュウは西中だったよね?」
「…………」
「だよね~」
これはわからない僕の方がおかしいのだろうか。その後も僕はソフィア先輩と藤原先輩の不思議なやり取りを見ながら過ごすことになった。
「お疲れ様でしたー 解散ー」
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