産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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1年生1学期

5月3日(月)晴れ カラオケは楽しい

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 連休3日目。今日は松永たちと約束したカラオケに行く日だ。GW中だから混み合うと思って事前に予約しておいたので、到着後はすぐに部屋に通された。フリータイムにはできないけど、四人で初めてのカラオケだし、3時間あれば十分歌えるはずだ。

「それじゃあ、ガンガン歌っていこ~」

「松永、今日は何歌ってもいいんだよな?」

 僕は早速曲を入れ始めようとする松永を止めて確認する。先日の通話で聞いた大倉くんの件があるから一応言っておこうと思っていたのだ。ただ、松永から返ってくる答えはおおよそ予想できる。

「なんでもOKに決まってるじゃん! りょーちゃんはわかるけど、二人が何歌うか楽しみにしてるし。ちなみにクラさんはどういう系歌うの?」

「ぼ、ボクは……アニソン」

「おー! 最近はいいアニソン多いよねー 今やってるアニメのやつも入ってるのかな?」

「ま、松永くんもアニメ見るの!?」

「そこそこ見るよー」

 大倉くんに隠していたわけじゃないけど、松永はアニメに限らず割と幅広く見たり聞いたりしている。それもあって松永がカラオケで歌う曲は半分くらいわからないのだ。

 それから松永は本田くんの方にも話を振る。

「ぽんちゃんはどういう系?」

「オレは……よく聞くのはヒップホップ」

「ヒップホップ!?」

 そう驚いたのは松永だけじゃなく、僕と大倉くんもだった。まさか伏兵がいるとは思わなかった。

「でも、みんなわからないだろうし、今日は他のを……」

「ぽんちゃん、なんでもOKって言ったでしょ? そこまで言われたらぽんちゃんが歌うの聞いてみたくなるし」

 松永の言葉に僕と大倉くんも大きく頷く。すると、本田くんは少し照れながらも最初に曲を入力して歌い始めた。

 それからは流行のJ-POPやアニソン、明らかに僕らと世代が違う曲やネタ曲とごった煮のカラオケが続いていった。心配に思っていた大倉くんも楽しそうに歌っていて、こうなるとは思っていたけど、僕も一安心だ。



「飲み物入れてくるけど、ついでにいる人は?」

「りょーちゃん、メロンソーダお願い」

 1時間ほど経つと、程よく場も温まって飲み物も空になっていた。入り口の方にいた僕は松永のコップも持ってドリンクバーへ向かう。

 僕たちの部屋から少し距離があるドリンクバーに着くと、利用中の先客がいた。その先客は女性で、後ろに結んだ髪が特徴的な……

「……大山さん?」

「んー? ええっ!? うぶクン!?」

 後ろから声をかけたので驚かせてしまったけど、先客は大山さんだった。

「偶然会うなんてスゴくない!?」

「そうかな? この辺で遊ぶとなるとカラオケかボウリングになりそうだから……」

「もう、そこは偶然ってことでいいじゃない」

 そう言って頬を膨らませて言う大山さんは可愛く見え……いや、実にあざとい感じだ。

「それよりさ、誰と来てるの?」

「松永たちと。僕を含めて四人」

「ほー アタシのとこも四人。瑞姫とか斎藤ちゃんがいるほ」

 瑞姫……は確か栗原さんの名前だ。宿泊研修で一緒だったおかげか大山さんとよく話している姿を見かける。

「うぶクンたちの部屋ちょこっと覗いてみよっかなー」

「えっ!? それはちょっと……」

「えー? アタシが行ったら困るような歌でも歌ってるの?」

「そういうわけじゃないけど……」

「じゃあ、うぶクンがアタシらのトコ来てみる?」

 そう言われた僕は一瞬、ほんの一瞬だけ気になってしまった。女子だけの空間のカラオケ。だが、すぐにそれは今メロンソーダを待っている松永や大倉くん、本田くんへの裏切りだと気付く。

「なーんて冗談!」

 そんな僕は気にせず、大山さんは笑いながらそう言った。そりゃそうだ。僕を連れて行って盛り上がることはない。

「でも……」

「な、なに?」

「今日はうぶクンから話しかけてくれたね」

 何だか嬉しそうに言う大山さんを見て、僕は恐らく……赤面していた。そういえば、今までノートの貸し借りをする時に話すから僕から声をかけたことはなかった。

「じゃ、今日会ったのはヒミツってことで☆」

 僕が返事をする前に、大山さんはその場から去っていた。秘密にするほどのことではないだろうけど、たぶん僕はこのことを誰にも話せない。

「りょーちゃん、遅かったね」

「いや……混んでた、ドリンクバー」

 結局、その後の僕は妙なテンションで歌うことになった。
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