産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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1年生2学期

9月3日(金)雨のち曇り 岸本路子との親交

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 2学期3日目にしてようやくフル授業になったけど、来週からは一応涼しいとされる午前中に体育祭の練習や準備が入ってくる。それが終われば今度は文化祭がすぐにやって来るから本格的な授業だらけの日々は結構先になるのかもしれない。

 そんな今日は2学期初の部活動だ。とはいっても時間帯が放課後になったこと以外は夏休みから引き続きの雰囲気になる。岸本さんから部活へ行くメッセージを貰って、それに返信した僕は部室へ向かった。

「おー 夏休みぶりー ウーブ君」

 中に入ると、定位置で森本先輩がそう言う。夏休みの前半は補講に行っていたから課題や実力テストがどうなったのかちょっと気になるけど、それを聞くのは僕の役目ではない。

「お疲れ様です。あれ? 水原先輩は来てないんですか?」

「この時間は塾に行くんだってー 一応文化祭前は部活を優先してくれるみたいだけどー」

 そんな役目を負う水原先輩が今日は来ていなかった。そういえばそんな話を聞いていたけど、夏休み中はきっちり来ていたからいない方にすっかり忘れていた。それくらいこの夏休みで印象が変わったのだろう。

 それから岸本さんが部室に来ると、ソフィア先輩と藤原先輩を含めて放課後の部室の面々が揃った。改めて見ると部員はもっといるはずだけど、顔を見るメンバーは固定されている。

「産賀くん」

 そして、その部室でのやり取りの多くはこんな風に岸本さんから声をかけられることで始まる。

「夏祭りの時はごめんなさい。いきなり去っちゃって……」

「いやいや、わざわざ声をかけてくれたんだからそんな。後ろだったから気付かなかったよ」

「そ、そう? 変に思われてないならいいけど……」

 岸本さんは心配そうに言うけど、正直あの日の僕はそれ以外にも色々あって岸本さんと会った周辺の記憶は少し曖昧だ。確か花園さんが何か言いかけて、それを岸本さんが止めて……いや、岸本さんが気にしてしまうから深く考えないようにしよう。

「そういえば……岸本さんは夏祭りの日、ソフィア先輩と藤原先輩のこと見た?」

「ううん。人が多くて産賀くん以外は全然わからなかったわ」

 思わず小声で聞いてしまったけど、岸本さんも目撃していないようだ。二人の動向はソフィア先輩に説教されて以来聞けてないし、先輩方も話さないから結局夏祭りに行ったかどうかさえわらかない。

「産賀くん……その二人が夏祭りに行くっていうのは、その……で、デート的なことなの?」

「うん。僕も詳しくは知らないけど、そういう感じらしい」

 ただ、岸本さんも二人の状況に気付いたみたいだ。いや、僕も含めてこれだけ露骨に聞いたり、噂したりしていればわかってしまうだろうけど。

「つまり……二人は部活で出会って、そこから……そういう感じに?」

「どうなんだろう。確か中学は違うって言ってたし、高校からなのかなぁ」

「でも、産賀くん……なんで言ってくれなかったの?」

「そ、それはまだ確証がなかったからで……」

「この前の視聴覚室でいた時にはもう知ってたんじゃないの……?」

 そう言って少し詰め寄る岸本さんに僕はたじろぐ。僕の初恋の話をした時も岸本さんは喰い付いていたから興味がありそうな話題なのはわかっていたけど、まさかこんな反応をされるとは。

「二人とも楽しそうだけど、何話してるの?」

「うわっ!?」

「きゃっ!?」

 突然、割り込んできたソフィア先輩に僕と岸本さんは驚く。

「息びったりだね! それで……何の話?」

「え、えっと……う、産賀くん」

「ぼ、僕!? それはその……夏の……お祭り的な……」

「あー その話ね! それは……ヒミツ♪」

 前のめりになりかけた僕と岸本さんは拍子抜けでがくりとする。まぁ、他人の恋路に何とやらというものだから聞き過ぎるのはよくないことだ。特に現在も別件で首を突っ込んでいる僕は肝に銘じた方がいいかもしれない。

「それにしても……ウーブくんと岸本ちゃん、何だかより仲良くなった感じがする」

「そうですか? 確かに夏休み中も色々活動してましたけど……」

「そう見えるなら……良かったです」

「……ふーん」

 何か含みのある笑いをしたソフィア先輩はそのまま元の席へ戻っていった。僕はとぼけて返したけど、それはちょっとだけ感じている。これから文化祭もあるし、もっと協力しながら親交を深めれたらいいと思った。
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